法哲学者大屋雄裕先生による「日本国憲法の改正要件は厳しいはウソ、はウソ」

先に同趣旨のまとめが出来てたようなので、そちらにお願いします。 http://togetter.com/li/491239 まとめ主の専門外で持て余し気味です。
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Takehiro OHYA @takehiroohya

ところで東京新聞で憲法96条改正に関する特集記事があって辻村先生などがコメントしている、というので見てきた。4月13日付のこの記事で、私が読んだ実物は中日新聞のもの。結論から言うと、やはりひどい。http://t.co/sYZg195glI

2013-04-20 17:17:31
Takehiro OHYA @takehiroohya

憲法改正あるいは96条改正の是非については措く。個人的には、現憲法は統治機構に直したほうがいい部分を抱えていると思い、憲法改正の要件を通常の法律より重くするのは当然だが現行規定は重くしすぎていると思うが、問題はこういった点ではなくコメント(あるいは記事)が嘘を並べているところ。

2013-04-20 17:18:28
Takehiro OHYA @takehiroohya

要するに、憲法改正を法律と同じ条件にしている国は珍しく(軟性憲法・イギリスなど少数)、難しくしている方が多いという話(硬性憲法)で、これは正しい。だがそのなかで、日本国憲法における改正の難易度が他の国々とそれほど変わらない、というのは明らかに虚偽の主張。

2013-04-20 17:19:09
Takehiro OHYA @takehiroohya

アメリカについてはすでに述べたが、上下両院の出席者の2/3であって、日本のような定数の2/3ではない。州議会における批准はあるが国民投票はない。関与するアクターが限られるし、各州で順次議決していって一定数を超えるまでやればいいので、一発勝負の国民投票よりは容易な手段だと見るべき。

2013-04-20 17:19:35
Takehiro OHYA @takehiroohya

他の先進国の例も見る(最新の規定ではない可能性あり)。ドイツでは連邦議会の構成員数・連邦参議院の表決数の2/3が必要になるのでこの点は日本と同じだが、国民投票はない(連邦参議院は週ごとに「表決数」が違うので票数ではないが、まあ同じこと)。

2013-04-20 17:20:30
Takehiro OHYA @takehiroohya

フランスは、政府提出の改正案を大統領が両院合同会議に付託した場合、有効投票の3/5が必要だが、人民投票はない。付託しない場合or議員提出の改正案は、両議院で過半数が必要となり、人民投票になる。

2013-04-20 17:20:47
Takehiro OHYA @takehiroohya

イタリアはちょっと面白い。まず、両議院で少なくとも3ヶ月の期間をおいて引き続き2回の審議が必要。おそらく国民的な議論をこの間にせよという趣旨か。で、第2回は議員数の過半数が必要とされる。逆に言うと第1回は投票の多数でいいわけだ。

2013-04-20 17:21:18
Takehiro OHYA @takehiroohya

そして第2回投票が2/3以上だった場合、人民投票は不要。半数以上2/3未満の場合、たとえば有権者50万人の請求があれば人民投票になる。有効投票の過半数で成立。

2013-04-20 17:21:28
Takehiro OHYA @takehiroohya

ずらずら書いたが、《議会で特別多数が必要なら、国民投票はない》というのがポイント。逆に国民投票が必要なケースでは、国会は過半数水準になっている。議会の特別多数と国民投票の双方を常に要求する日本国憲法の手続きは、やはり厳しいということになる(繰り返すが、その評価は別の問題)。

2013-04-20 17:22:39
Takehiro OHYA @takehiroohya

しかし、同じ過半数といっても母数が有権者数か・投票数か・有効投票数かでぜんぜん話が違うというのは憲法改正手続法を第一次安倍内閣が作ろうとしたときにこの人たちがさんざ持ち出した論点のはず。それをまるっと無視して今度は日本もアメリカも変わらないと言い出すとか、恥ずかしくないのかな。

2013-04-20 17:23:25
Takehiro OHYA @takehiroohya

というわけで「「日本だけ厳しい」はウソ」という記事自体がウソという、救いようのない話。まあオチ部分が小林節先生というので先日言及した毎日と同じスジかなとは思ったが、もう関係者については「曲学の徒」ということでいいかと思う。「阿世」に成功しているのかどうかは、知らない。

2013-04-20 17:23:55