掌小説語り～自作つぃのべる集4～

リュカ @ryuka511

思わずスケッチブックを取り出し夢中でペンを走らせていた。その内に、画家でなくとも絵を描く道はいくらもあると気付く。舞台は都会でなくてもいいのだ。描き上げた絵を見せてやろうと顔を上げると、猫の姿は無かった。次の駅への到着を告げるアナウンスが響いていた。 #twnovel 2/2

リュカ @ryuka511

ねぇ、知ってる? クリスタルって泣いてるんだよ。だって英語の綴りはcrystal、ﾞcryﾞって入ってるでしょ。きっと地球の想いを感じて泣いてるんだよ。嬉しい涙だったらいいけど、悲しい涙は流させないようにしないとね。 #twnovel

リュカ @ryuka511

魔王城周辺は月明かりも届かない暗闇だった。一同は言葉も無く焚き火を眺める。元兵士に元学者、元商人、元盗賊、居場所の無い彼らは酒場で意気投合し共に旅に出た。「生きて帰ろうな」「あぁ」自分達は英雄になりたいわけでは無い。やっと見つけた大切なものを奪われたくないのだ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

病院を取り囲む記者を医師は見下ろす。黒い噂の絶えない政界の大物が入院した。極めて難しい手術で成功率は低い。手術後、TVは大物政治家の死と過去の悪事を暴き立てネット上では天誅と騒がれた。医師は苦悩する。どんな人物だろうと救わねばならない。私は最善を尽くしたはずだ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

「ボス、どうします?」船の甲板から海賊の頭領は漆黒の海を睨む。この海に沈んだ財宝を狙って来たが、魔の海とも呼ばれる暗い海は海賊達でさえ顔を強ばらせた。生暖かい風と不気味な海鳴りが響く。「ここはヤバ過ぎる。引き返すぞ。」財宝よりも部下達の命を守る事が自分の使命だ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

ハロウィンパーティーの為にキッチンに立ちお菓子を作る。親戚に近所の子供達も大勢集まるから大変だ。「あら、1つ足りないわ。やぁねぇ、たくさんいるから数え間違えたのね。」笑いながらお菓子を作り足す。楽天的な彼女の作るお菓子は、何故か毎年数が増えていく。 #twnovel