CO2増加と「陸の赤潮」

二酸化炭素濃度の急激な増加は、陸上植物の生態系に大きなダメージを与えるかもしれない。二酸化炭素は光合成を促すと言われるが、生態系全体ではそれほど単純ではない。藻の繁殖を促す窒素やリンなどの栄養塩は、赤潮を発生させて魚を大量死させる。二酸化炭素増加は「陸の赤潮」の原因になりはしないだろうか。
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shinshinohara @ShinShinohara

地球温暖化への異論として「二酸化炭素はどんどん増えてかまわない、植物もよく育ち農業生産が伸びるからだ」という意見がある。私も地球温暖化には確信がもてないのだが、二酸化炭素がいくら増えようとかまわないという意見はいささか乱暴だと思う。生態系への理解不足を感じるからだ。

2013-05-13 18:08:36
shinshinohara @ShinShinohara

「二酸化炭素増加は植物がよく育ち農業生産が伸びる」という論理がもし成り立つなら、赤潮は海を豊かにするはずだ。赤潮は人間が海に垂れ流した窒素やリンを栄養にして藻が異常増殖したものだ。藻類だから本来は酸素を作り、魚のエサにもなるはずである。しかし現実には海を酸欠にし魚を大量死に導く。

2013-05-13 18:10:17
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ赤潮が海を酸欠にするのか?藻が光合成して作った酸素は水面より下に溶けない。それでいて異常増殖した藻が夜間に水中の酸素を使い尽くす。藻の死骸が水底に落ちると腐敗してさらに酸素が失われる。藻が増える結果、水中の酸素は増えるどころか減ってしまうのだ。

2013-05-13 18:10:42
shinshinohara @ShinShinohara

しかも赤潮の藻は魚のエサにもならない。むしろ毒を作り、酸欠のダブルパンチで魚を大量死させる。単純な発想なら「窒素やリンなどの無機塩類は藻類の栄養になり、光合成を促し、魚のエサにもなって海を豊かにする」と考えたくなるが、現実には藻の大量発生は海の生物を大量死させてしまうのだ。

2013-05-13 18:11:15
shinshinohara @ShinShinohara

本来なら光合成を促すはずの窒素やリンがなぜ酸素を奪い、魚を大量死させるのか?それは赤潮で増える藻類が「特殊な条件で増殖する」ものだからだ。自然界では窒素やリンが大量に存在することはあり得ない。そのあり得ない特殊環境に適応した藻類だけが増殖して、赤潮になるのだ。

2013-05-13 18:12:36
shinshinohara @ShinShinohara

本来の海では窒素やリンは海底にしかない。プランクトンや魚の死骸は海底に沈むからだ。それを海藻が吸収し、上から降り注ぐ光を浴びて光合成する。海底の光合成だから酸素が海中に行き渡る。光合成には窒素やリンが不可欠だが、窒素やリンは少ない方が光合成が盛んになるという逆説が成り立つのだ。

2013-05-13 18:14:24
shinshinohara @ShinShinohara

二酸化炭素も同様のことが起きないか。二酸化炭素が光合成を促すのは事実である。しかし赤潮のように、アンバランスな栄養は生態系を崩壊させてしまうような特殊な生物だけが増殖するということが起きる可能性がある。二酸化炭素が異様に高まったとき、地球の生態系はどうなるのだろうか。

2013-05-13 18:15:06
shinshinohara @ShinShinohara

植物は二酸化炭素だけを吸って生きているのではない。様々な養分を土壌から吸収している。もし二酸化炭素だけが増加すれば、他の栄養素が少なくても二酸化炭素さえあれば増殖できる特殊な植物だけが繁栄し、そのような性質を持たない他の植物は駆逐されてしまうかもしれない。

2013-05-13 18:16:36
shinshinohara @ShinShinohara

二酸化炭素の異常な増加は「陸の赤潮」を発生させる恐れがある。富栄養化した海で特殊な藻による赤潮が発生したように、二酸化炭素で富栄養化した陸上は、その特殊環境に適応できる特殊な植物だけが繁栄を始める恐れがある。その植物を、私たち人類をはじめとする動物が食べられるとは限らない。

2013-05-13 18:18:31
shinshinohara @ShinShinohara

地球が温暖化するのか寒冷化するのかは別として、二酸化炭素濃度の急激な上昇は「陸の赤潮」を発生させ、生態系を破壊し、人類の存続を危うくするかもしれない。少なくともその危険性があることだけは、頭に入れておくべきだろう。

2013-05-13 18:19:04