【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 長崎大学山下俊一氏の影に隠れがちですが、広島大学神谷研二氏も、福島県のアドバイザーであると同時に、首相官邸専門家チームの一員です。
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島薗進 @Shimazono

1【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】首相官邸災害対策ページ・原子力災害専門家グループ・コメント5/31に神谷研二氏(福島医大副学長)「専門家、行政関係者の皆さん、今こそ「リスク・コミュニケーション」を」との文を掲載。 http://t.co/8lf0366RKb

2013-06-01 10:49:16

首相官邸
原子力災害専門家グループ
神谷 研二
 福島県立医科大学副学長
 広島大学副学長(復興支援・被ばく医療担当)

専門家、行政関係者の皆さん、
今こそ「リスク・コミュニケーション」を

島薗進 @Shimazono

2【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】ここでの神谷氏のリスク・コミュニケーションの見方は適切なものか。また、これまで放射線の健康影響について政府や福島県に近い専門家が述べてきたリスク情報とそれに基づく施策が信頼されてこなかったことを十分に反省し改めようとするものだろうか?

2013-06-01 10:49:33
島薗進 @Shimazono

3【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】神谷氏自身こう述べている。「これまで残念ながら、まだまだこうしたリスク・コミュニケーションは十分に成功しているとは言えません。自戒も込めて、今一度、私たち専門家や行政関係者が心得るべきポイントを考えてみました」。主要な論点は以下の部分。

2013-06-01 10:49:50
島薗進 @Shimazono

4 【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の…】「専門家にとって最適だと考えられる防護基準が、一般の方々の納得を得られるとは限らないのです。専門家や行政関係者も、ひとりひとりの市民の“主観的な”リスク認識を尊重し、それを共有することから、相互のリスク・コミュニケーションが始まります」

2013-06-01 10:50:44
島薗進 @Shimazono

3【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】このリスクコミュニケーション観では、専門家・行政関係者が「客観的」なリスク把握をし、市民が「主観的」なリスク把握をもつということが前提になっている。だが、原発災害による放射線被曝リスクについてこのような理解は妥当だろうか。

2013-06-01 10:50:57
島薗進 @Shimazono

4【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】そもそも専門家の間でもリスク評価は多様であり市民の間でも多様だ。そのことを科学者・研究者も市民も学んできた。にもかかわらず、政府側の専門家こそが「客観的」情報をすべて独占しているように言い張ってきたからこそ信頼を失ったのだ。

2013-06-01 10:51:09
島薗進 @Shimazono

5【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】振り返ってみよう。神谷研二氏は長瀧重信氏らが座長を務める「低線量被 ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(2011年12月)に提出した書面 http://t.co/WKXViL7JXf  で次のように述べている。

2013-06-01 10:51:27

別添1
発表概要
PDFのタイトルからはわかりにくいが
「低線量被 ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(2011年12月)の資料

島薗進 @Shimazono

6【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】「福島原発事故後、放射線の単位や放射線情報が氾濫した。しかし、住民には、放射線データの意味や評価が十分に説明されず、専門家の意見も異なった」(この時は「専門家の意見も異なった」とはっきり述べている。今度はこの問題は忘れたのか?)。

2013-06-01 10:51:41
島薗進 @Shimazono

7【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の…】「即ち、リスクコミュニケーションの不足が、住民の健康に対する不安を増幅した。LNTモデルによる低線量放射線のリスク推定は、その可能性の程度を確率的に 推定するものである。従って、リスクを確率論的に捕らえることと、リスクの比較が重要であるが」

2013-06-01 10:52:14
島薗進 @Shimazono

8【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】「国民はそれに慣れていない。国民もメディアも、シロかクロ かの二元論でとらえる傾向があった。これを克服するためには、国民全体の放射線リテラシーが必要」。 まさに一方的なリスクコミュニケーション観を披露しているのだ。これについては、

2013-06-01 10:52:27
島薗進 @Shimazono

9【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】12年2月に神谷研二氏の「国民はリスク評価になれてない」論を批判したhttp://t.co/bJQbenxx5L  拙著『つくられた放射線「安全」論』p49-50でも触れてる。1年半後、今度は双方向的なリスコミが重要だと述べているが、

2013-06-01 10:53:49

宗教学者 島薗進氏による神谷研二氏の「国民はリスク評価になれてない」論呟き

島薗進 @Shimazono

10【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】今度は放射線の健康影響についてのリスクの理解が定まっておらず専門家の意見が多様であることを無視している。そして、市民のリスク理解をまったく「主観的」なものと捉えている。結局、科学的真理は政府側の専門家のみが握っていることになる。

2013-06-01 10:54:05
島薗進 @Shimazono

11【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】すでに日本学術会議は2012年4月9日の提言「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために ―事実の科学的探索に基づく行動を」http://t.co/dtRjDpCIZd において「放射線健康影響評価の基礎数値となる様々な測定結果・」

2013-06-01 10:54:20

日 本 学 術 会 議
東日本大震災復興支援委員会
提 言
放射能対策の新たな一歩を踏み出すために
―事実の科学的探索に基づく行動を―

島薗進 @Shimazono

12【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】「推定結果には、不確かさ情報を付随させて公表することが求められる。また、不確かさ情報に基づいて、測定結果や推定結果の精度管理あるいは改善を計画し実施する必要がある」。専門家の意見が分かれるということは、リスク評価が不確かだということだ。

2013-06-01 10:54:40
島薗進 @Shimazono

13 【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】この提言は、健康影響等について可能な限りの検査・調査を行い、被災民・市民が求めるリスク情報の精度をあげていくべきだと述べている。だが、神谷氏はひたすら初期の測定がきわめて不確かだった被曝線量の情報だけを持ち出して健康影響は出ないと示唆

2013-06-01 10:55:19
島薗進 @Shimazono

14【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】1つの視点からのこういう推測に頼るのではなく、健康状況の把握を丁寧に行い、その結果に基づく情報を発信していくのが、神谷氏が副学長を務める福島医大が行っている県民健康管理調査の役割のはずだ。しかしそれが果たせておらず信頼を失っている。

2013-06-01 10:55:44
島薗進 @Shimazono

15【今こそ「なぜ信頼を失ったか」の反省を】神谷氏は神谷氏らが導いてきた福島県県民健康管理調査が多くの住民の信頼を失っており、福島県医師会にも日本医師会からも厳しく批判されていること、国による新たな健康支援体制の構築が求められていることをどう考えているのだろうか?

2013-06-01 10:55:57