「独白~新選組隊士たちのつぶやき 第二章 土方歳三~明治元年十月~北への旅で」
松本匡代先生の「試衛館の青春」スピンオフ「独白」をまとめました。こちらは第二章 土方歳三編です。
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
そんな事を泣き言一つ言わず、黙々とこなしていたかと思うと、あいつがたまらなくいじらしく愛しく思えた。 涙が出た。 あいつを引き寄せ抱きしめた。 #試衛館の青春
2013-05-23 18:27:22
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
あいつの身体は、思いのほか華奢だった。平助よりも、病に罹る前の総司よりも、細く頼りなげだった。 二十五歳。もう、立派なおとなのはずなのに、俺の腕の中にいるあいつが、その時の俺には、陣地に戻る途中に出会った白虎隊の少年達と、いくらも違わないように思えた。 #試衛館の青春
2013-05-23 18:28:31
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
ピン・・・。 俺は、訳も目的もなくあいつの名を呼んだ。 涙が流れ、嗚咽を堪えるのに苦労した。 俺の胸で、あいつも泣いていた。 それは、新選組の斎藤一ではなく、試衛館にいたころのあいつだった。 #試衛館の青春
2013-05-23 18:29:51
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
庄内、仙台と、無駄だと知りながら。援軍を求めて廻った。 そして、会津の落城を知った。 #試衛館の青春
2013-05-23 18:31:17
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
あいつは? 無事に決まっているじゃないか。 あいつが戦で死ぬわけがない。 俺は確信している。 会津に置いてきてよかったんだ。 会津の人達と、なんとか生きる術をみつけて、新しい時代を生きていってくれるだろう。 #試衛館の青春
2013-05-23 18:32:18
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
また、波が出てきた。いま、どのへんを走っているのだろう。 蝦夷か・・・。 北の果て。 どんなところだろうか。 俺の最期の地・・・。 (第二章 了) #試衛館の青春
2013-05-23 18:34:10
松本匡代@早耳屋お花事件帳&試衛館の青春&独白新選組&夕焼け土方歳三はゆく&石田三成の青春
@mk106732
以上で、今宵の「独白」終了です。今宵もお付き合いくださり、ありがとうございました。 明日から、第三章「土方歳三~元治二年三月~光縁寺にて」を始めます。どうぞお楽しみに! #試衛館の青春
2013-05-23 18:42:42