解説 "Information Thermodynamics on Causal Networks" by sosuke110

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Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

例えば「一つのモデルで設定を与える」→「情報ー熱力学関係式をつくる」、というのはケーススタディの域をでない。

2013-06-13 19:55:25
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

一般的に成り立つ式を得るには、一般的な設定の与え方が必要だ

2013-06-13 19:56:45
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ハミルトニアンも定義できない、熱浴は複数ある、大量の系が時間的にある瞬間は相互作用して、それである瞬間は長距離相関で時間が遅れて影響が伝わり・・・などという場合に設定を出来るだけ数学的にシンプルに与えるにはどうするか

2013-06-13 19:58:50
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

もちろん各系は、小さい系で「揺らぐ」系である。

2013-06-13 20:00:01
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

「情報」とエントロピー生成の式を一般的に導出するのに、一般的な設定の与え方はどこまで系の詳細を捨象してよいのかということを考えなければならない。

2013-06-13 20:04:38
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

結論をいう。 必要なのは、因果関係の順番と因果関係の入り方だけである。

2013-06-13 20:05:35
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

そして「揺らぐ系」の因果関係の与え方を記述する、ちょうどいい数学が実はあるのである

2013-06-13 20:07:18
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

論文のタイトルにもあるCausal Networkというのが、欲しかった数学的な表現(グラフ理論)である。特に確率過程を表現する際はベイジアンネットワークとよばれる。

2013-06-13 20:10:00
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

方法論は次のような感じ。 「一般的な相互作用し合う複雑な系の発展を、グラフ理論で扱う」→「グラフの用語でエントロピー生成と"情報"の一般的な関係式を導出する」

2013-06-13 20:12:30
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

グラフ理論を通じて、系を限定しない(相互作用がフィードバックであるかどうかも関係ない)ときの普遍的な関係式を得ようというわけだ

2013-06-13 20:14:54
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

その試みが成功したのが、この論文だ。

2013-06-13 20:15:20
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

系のエントロピー生成は、 「着目系の始状態と他の系の間の相関の情報」+「系が発展していくときに他の系に流れた情報流」から「着目系の終状態と他の系の間に残ってしまった相関の情報」 で制限される。

2013-06-13 20:20:18
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ある種の保存則みたいなのがあって、他の系との関係でどれだけ情報が使えるか、という量がエントロピー生成の制限を決めているということがわかる

2013-06-13 20:23:58
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

これがメインの結果。そしてこれらの情報量は系の因果関係の順番(グラフ上のトポロジカルな順序に対応する)で定義される

2013-06-13 20:26:57
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ある意味でグラフのトポロジーと、情報、そして熱力学が結びついた結果ともいえる

2013-06-13 20:27:56
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

さてここまで語ったところまでだと数学数学してると思うだろう。確かに数学数学はしてるが、これは物理の研究だ

2013-06-13 20:33:48
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

なので、現実の系に適用しなければならない、もしくは現実の系を記述すると信じられている模型に適用しなければならない

2013-06-13 20:34:58
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

論文で行ったのは主に三つのこと。

2013-06-13 20:35:29
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

一つ目に、自分の結果が今までの通常の熱力学第二法則と、Maxwellのデーモンを説明可能なSagawa-Uedaを、きちんと含んでいることを確認。当然といえば当然だ

2013-06-13 20:36:51
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

次に相互作用し合う多粒子ブラウン運動に適用する。そして情報流が、今までの研究で使われているよく知られているエントロピー生成の表現と結びつくことを示す。

2013-06-13 20:39:18
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

そして最後に生体内で行われるような化学反応によるフィードバックループのモデルに適用する。しかも、フィードバックループには時間遅れがあるという、おまけつきだ。

2013-06-13 20:40:53
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この、時間遅れというおまけつきにも適用可能なことこそが実は既存の熱力学の予言範囲と、本研究の大きな違いであったりもする

2013-06-13 20:42:22
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

時間遅れというおまけつきの場合、異なる時間での状態間のシャノンエントロピー、というのが実はでてくるのだ。

2013-06-13 20:43:35
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

このあたりが今回の論文で書いたこと(ツイッター上で出せる情報)になる。

2013-06-13 20:44:46