第一回大罪大戦虚陣営【交流フェーズ03】

虚(ゼロ)は色欲、ヴォルプターモ[ @reclew_sin ] 虚(ゼロ)は暴食、イストリーブ[ @gomokumame_sin ]
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【暴食の雛】 @gomokumame_sin

『色欲』に促されるままに、薬の香りのする湯船に浸かった。抱きしめられた自身の身体を、湯越しに見つめる。成人男性にしては薄い、骨の浮いた身体。がりがりにやせ細った腕。 本来の俺ならば、チェーンソーなど振り回すどころか持ち上げるのにも苦労するのだ。俺は道端のゴミの一つに過ぎない。→

2013-07-07 12:20:47
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

まだ寝てはいけないと思うのに、湯の温かさと人の温もりに眠気が襲ってくる。俺は、俺が思った以上に疲れているようだ。 痩せこけた膝を抱え、膝頭に額を乗せて丸くなる。いつでも起きて動けるように、いつもこの体勢で眠る。→

2013-07-07 12:21:22
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

俺の体重は異様に軽い。ここで寝てしまっても、誰かが運ぶことに問題が起きることはないだろう。そう気づいてしまえばもう限界だった。意識は暗闇の中へ転がり落ちる。

2013-07-07 12:21:33
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

湯船に浸かっている間に『暴食』は眠ってしまった。 よほど疲れていたのだろう… 起こさないようにゆっくり、ゆっくりと『暴食』の身体を持ち上げると特に労することなくそれは持ち上げることが出来た。 『大罪』になり、人も軽々持ち上げることが出来るほどの力が備わったのだろうか。→

2013-07-07 12:38:06
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

『暴食』の身体がかなり痩せ細っていることは見てとれたが、女には男の重さなど分からなかった。 自身の『化け物』加減に少し憂鬱になりながらも、女は『暴食』の身体を洗い清めた。

2013-07-07 12:44:45
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

とろとろと瞼を押し上げると、いつの間にか全てが終わっていた。小さな子供のように『色欲』に全てを任せてしまったのだと気づく。 髪の水分をタオルで拭いながら、『色欲』を背にぽつりと、一言。 「……悪い。ありがとう」 何だかすごく、気を遣ってもらっているような気がして。

2013-07-07 16:23:20
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「あらあら」 眼をさましたかと思えば感謝を述べられた。 気にしなくてもいいことを…私は自身のためにしているというのに。 「ほら、まだ濡れてるわよ 」 水分の拭き取りが不十分な髪をしっかり拭い、もう当たり前になったように手を差し出した。 「寝所でゆっくり休みましょう?」

2013-07-07 17:07:29
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

髪を拭かれ、差し出された手を再び握る。 ――いい歳して何やってるんだか。 これでは本当にエダクスと変わらないようなガキだ、それでも。……甘えてもいいのなら、甘えたかった。 幼いころの空白の愛情を埋めるように、何も考えず、ただ、甘えていたい。

2013-07-07 17:57:10
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

『暴食』を連れて部屋に入ると既に香は満ちていた。 この安眠香が『大罪《自分たち》』にどれ程の効力を及ぼすかは解らないが、無いよりはマシだと思いたい。 「さ、もう何も考えずに寝ましょう。 疲れを取らなきゃいけないわ」 そう言い、未だに繋いだままの手を引いた。

2013-07-07 18:48:17
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

手を引かれ、促されるままに寝台に潜り込む。憧れたふかふかの寝床。部屋にはよくわからない不思議な香りが満ちていた。 嗅ぎ慣れない香りが、一度は去った眠気を誘う。言われた通り何も考えず、目を閉じる。 ――目を閉じた闇の中、少年の影が、よぎった。

2013-07-07 19:04:17
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

寝台に横になった『暴食』を抱き込むようにして女も横になる。 心臓の脈拍の音は精神を落ち着かせる効果があるとどこかできいたことはあるが自分の心臓は動いているのだろうか。 『大罪』になってから脈を計ったことなどないし、それが少し心配だった。

2013-07-07 19:07:56
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

闇の中で俺は胎児のように丸くなる。温かく、規則的な鼓動がどこからか聞こえる。鼓動に重なり合うように、きゃらきゃらと笑う子供の声。 姿は見えなかった。ただ、エダクスが楽しそうに笑っている。 あいつが楽しそうなら、それはそれで、いい。 笑い声が途切れた。静寂と闇。もう夢は見なかった。

2013-07-07 19:18:07
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「………」 どうやら、眠ってくれたようだ。 寝顔を見る限り、悪い夢を見ているような様子もない。 …安心したからだろうか、女もかなりの睡魔に襲われていた。 少し仮眠をとろうと思い、女の目蓋はゆっくりと降りて、そのまま女は眠りについた。

2013-07-07 19:22:15
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

眠りに落ちてから何時間が経っただろう。思ったよりすっきりと目覚めて、『色欲』の腕の中から抜け出す。 「とりあえず……」 『はらへったー』 「そう、腹減ったな」 囁くエダクスと共に、食べるものを探してふらりと部屋から出た。→

2013-07-07 20:21:51
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

屋敷の中を歩き回り、手すり、屋根の残骸、床板、簡単に手に取れて食べられるものは何でも口に入れた。ばきばきと噛み砕かれる屋敷の一部。 破壊の痕跡を追いかけるように、屋敷を食べ続ける。ここは、『嫉妬』がフックを突き立てた所。追い回された『怠惰』が降ってきた凹みから床板を拾う。→

2013-07-07 20:22:01
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

玄関。ここで二度も異常な重力に潰されかけた。一度は『強欲』と共に、もう一度は『憤怒』が眺めていた。 模擬戦をした。『色欲』が撒いた毒の香と『傲慢』によって、『暴食』(俺)は負けた。リベンジを果たすと約束した。→

2013-07-07 20:22:30
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

俺たちは『大罪』。世界から弾きだされた嫌われ者。 いつか『世界』から排除される存在だったとしても、その消滅はこんな形ではなかったはずだ。 『罪』を冠した扉の前。座り、そして見上げる。思案する。この扉を用意しているのは、『誰』だ、と。

2013-07-07 20:23:00
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…っ!?」 目が覚めた。 あまりにも長く眠っていたようだ。 腕の中には『暴食』はおらず、部屋はもぬけの殻だった。 しかし気配を探ると大きな、しかしか弱い気配を感じ取り屋敷の中にはいるものと知って安堵する。 …湯浴みをし、就寝したあとは…やはり食事だろうか?→

2013-07-07 20:25:29
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

部屋から出て、使用人に厨房の使用許可をもらい厨房に入る。 『傲慢』がおらずとも管理は怠っていなかったようですぐにでも使えそうだ。 調味料類を確認すると、塩・砂糖・豆板醤・甜麺醤・牡蠣油・芝麻醤…鶏油は自分で作ればいいだろうか。 久しぶりにもつ包丁が、なぜか懐かしく思えた。

2013-07-07 20:30:10
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

どこからか良い香りが漂ってくる。これは……厨房だろうか?きちんとした、料理の匂いだ。 『うまそう』『くいにいこう』 エダクスに促されて、匂いの発生源に向かう。そこには、厨房に立つ『色欲』の姿があった。 「……アンタ、料理できたのか」 若干失礼な言葉を吐く。

2013-07-07 21:42:12
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「ちょっとしたものしか作れないけれどね」 中華鍋を返す。 女が今作っているのは回鍋肉であった。 厨房からみえる食堂の机にはいくつもの中華料理が並べられてあった。

2013-07-07 21:59:29
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

食卓に並ぶ料理の数々を見る。 「……ちょっとした……?」 見たことのない料理ばかりだが、どれもとても美味そうだ。ドーム状に盛られた具入りのライスを勝手にスプーンで崩し口に運ぶ。 「……うまい」

2013-07-07 23:27:13
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

@gomokumame_sin 「お口にあったようで何よりだわ」 自分も席につき食事をとる。 …うん、上手くできたほうだ。 「作ればまだまだあるから、たくさん食べても大丈夫よ?」 そういって炒飯の付け合せに作ったスープを一口すする。

2013-07-07 23:40:49
【暴食の雛】 @gomokumame_sin

喰ってもいいなら、遠慮なく喰わせてもらおう。マナーなんてものは知らないから、礼儀もへったくれもなく皿を空けていく。 あらかた料理を片づけてしまうと、席を立った。 「……やり残したこと、ないか」 俺の準備は、できた。

2013-07-08 00:39:17
暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…そうね、ないかしら」 装備もまだ余っている。 戦いになっても大丈夫だろう。 「…もう、扉に向かうのかしら?」 『暴食』に問う。 その表情は、誰か真意を読み取れたものは居るのだろうか。

2013-07-08 00:47:00