第一回大罪大戦黒陣営【交流フェーズ03】
- sinlite_ohari
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難しい注文を、と苦笑を浮かべながらルクスーリアにそっと微かな傷をつける。次いでラストの言葉に目を見開く。 「――っ。さっきルクスが紅って。君も、色欲だって」 己は姿を見たことはない。故に話からの推測だが、覚えていない様子に戸惑った様子でルクスーリアを見やる。記憶がないのかと。 →
2013-07-09 14:27:22→ 彼女は自分と同じ?それとも――迷い、言葉を選ぶよう、口を開く。 「君が本当に紅の色欲なのかどうかは僕にはわからない。でももしそうなら、伝えなきゃいけないことがある。そして君が決めなきゃいけないことも」 切に訴える声。敵意はない。まっすぐに見据えるのは一度紅も知った瞳。 →
2013-07-09 14:28:27→ 「君を傷つけるつもりはない。ルクスを大切に思う心も否定なんてしないから。怖がらないで…もし君がそうなら、君と僕はとても近いはずなんだ。…だから、落ち着いて。そして自分を否定しないで。今の自分も、思い出せない自分も」 切に話そうと言葉をかける自分の方が、泣きそうなのは、何故?
2013-07-09 14:30:17痛みに悦びを覚えても、体は悲鳴をあげていたようだ。 幾分か、楽になったところで、向けられた瞳に首肯する。 「はざまを、ぬけて、へやに、はこんで」 「おきて、きた、ときには」 彼女は、記憶に鍵をかけてしまったのだ。→
2013-07-09 16:17:53『座』を思い出したのは、本質は忘れられないものかと、ただそう思っていた。 だけど、もし。 鍵をかけてしまいこんだ上で、黒に身を委ねていたのなら。 紅であることまで、彼女の本質だったのなら。 記憶の箱を開けたとき、彼女は……?→
2013-07-09 16:20:01「アタシは、アタシは……」震える声。嫌な汗が吹き出てくる。「アタシは、ルクスーリア以外の人を、知らない。ルクスーリアの言うことだけ、信じたい。我が儘なんだろうけれど、ね」彼女には『自我』というものが欠落していた。故に、『黒』『紅』というものを認識していなかった。→
2013-07-09 21:58:29→だが、ファンシーとの戦いで『自分が色欲である』という『認識』をした。それ以上のことを彼女は思い出せない。きっとああいう戦いの場で追い詰められないと、『自我』が『解放』しないのだろう。今はとにかく、自分の知らない自分を知りたい。ルクスーリアと会う前の自分を知りたい。→
2013-07-09 22:31:08→インヴィディアが泣きそうな顔になる。変に気を遣わせてしまったのだろうか。ルクスーリアが彼女の名を呼ぶ。「ルクスーリア……アタシのこと、教えて?」すがるように、呟いた。
2013-07-09 22:32:54――いや。 弱気になるな。『大丈夫』だ この声が、例え自分の帰る場所がここじゃないと思っても、この声が、消えるものか。 この気持ちが、開いた箱の蓋に掻き飛ばされることが、あるものか。 そう、思ったから。 「ラスト」 先よりは楽になったのか、言葉の調子が戻ってくる。
2013-07-10 03:15:25記憶をたどれば、睫の影が落ちる。 「貴女は、けもののようでした」 「ふるえるけもの」 「震えながら、気持ちいいものを求めた」 「受け止める私に、」 「貴女は、気持ちがいいだけなら色欲ではない、と」 「言っていました」 「貴女が思う色欲が何だったのか、未だに聞けないままですが、」
2013-07-10 03:15:48「ここに来てからの貴女は」 「私から離れませんでした。牙を突き立てるものに怒りました」 「知らない、と言われた紅の強欲は、悲しそうな顔をしていました」 「私が欲しいと願ったのは、紅の首。もしかすると、帰ってこないのでは、と思いました」 「それでもラストはここにいる。黒を、選んだ」
2013-07-10 03:18:46「私から話せられるのは、全部」 「いえ、一人、《執着》と、会いました。見事な御体の。」 「虚から来た紅、と言ってた、ラストの事は知らないかもしれない。」 私から話せるのはここまで。
2013-07-10 03:19:16私たちは、そんなあなたを、信じたいと思う。そう続け立った言葉はインヴィディアが袖をつかんで阻んだ、 それはきっと、枷になる。
2013-07-10 03:19:23「ラスト」 「私の言葉を信じてくれるなら、私が大切にしたい人の言葉も、聞いてあげて、」 「ラスト。横にいるから。ここにいるから。」 「ねぇウーヌス、聞かせて?」 「貴女がむこうで見た来たもの、人すべてを」
2013-07-10 03:19:40「アタシは、ルクスーリアと、違う」ぽつり、低い声を出し。「全てを受け止める覚悟は、ない」ひとつひとつ言葉を探しているようだ。「アタシは、『依存する色欲』だから、だから……」身体が、声が、心が、震える。「相手に『依存』するの。快楽を求めるだけじゃなくて、相手の全てを盲信する。→
2013-07-10 08:07:03→それが、アタシの、『色欲<ラスト>』」目を伏せ、溜め息をつく。無意識に、ルクスーリアの手を握り締めていた。そのまま身体を寄せて。「アタシの『依存』を『受け入れる覚悟』が、ルクスーリアには、あった……から」ようやく、彼女は思い出しただけの『自我』を整理し始めた。→
2013-07-10 08:12:25→「だから、だから……アタシは、『紅』だった頃──本当にアタシが昔『紅』だったのなら──自ら望んで記憶に蓋をして、ルクスーリアに『依存』することを、選んだのかも、しれない」だとしたら、だとしたら……何て、悲しいことを、したんだろう。自分で自分を責め立てる。→
2013-07-10 08:15:57→ルクスーリアに寄せた身体が、求めるかのようにぴたりとくっつく。「今は、ルクスーリアのこと、信じる……信じる……っ!」半ば泣き叫ぶように。彼女は、それ以上は何も言わず黙っていた。
2013-07-10 08:17:32重ねられた手に、右手を添える。 「全部を、受け入れる必要は、ありません」 「でも、『自分』とは、向き合って」 「受け入れてあげて、下さい」 それから、なだめるように、背へと手を伸ばすと二三度撫で。 ウーヌスへ、頷きを渡した。
2013-07-10 10:01:26「ラスト。信じるってとても凄い事なんだ。 まして、君とルクスは持つ色が違う…よかった、君に会えて」 覚悟は無いと言いながら己と向き合おうとする彼女をとても強いと、優しいと感じた。 同時に救われた気がした。自分の選んだ心が肯定されたようで。 今にも泣きそうなのに、嬉しげに、笑う →
2013-07-10 12:08:27→ 「少し長いけど、聞いて貰える?一つ、話をあげる。僕の見て来た全部」 そ、っと二人の傍らに膝をつき、見上げながら口を開く。 「僕はプライドの処に居たんだ。紅の傲慢、君の色の王様。但し、罪科も記憶も全て奪われて。奪ったプライドの右腕の代わり『ウーヌス(右腕)』としてね」 →
2013-07-10 12:08:45→ 「敵で屠るべきだった紅は…皆優しかった。僕等と同じ。仲間を想い悼む。何ら変わらなかった。 …憤怒(ラース)と怠惰(スロウス)、彼等は君が帰らない事を…嘆き悲しんでいたよ。言葉には出さなかったけどきっとプライドも」 今尚耳に焼きつく泣き声の様な叫びを、伝えねばならないから。 →
2013-07-10 12:08:57→ 「ウーヌスとしての僕を紅は拒絶しなかった。受け入れてくれたよ。…同様に新たに座を、居場所を貰う虚の大罪も見た。執着(オブセッション)や不羈(ファンシー)の様に」 奇しくも今回二人ともが狭間で対峙した相手。どちらも新たな居場所を見つけた。罪を許された。新たな罪達。 →
2013-07-10 12:09:13