鈴木光司『エッジ』がシャーリイ・ジャクスン賞を受賞/『エッジ』英訳版を出版したヴァーティカル社について
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おはようございます!とご挨拶するには、まだ少し早い時間ですが、昨日の朝、予告していた米国の文学賞シャーリイ・ジャクスン賞の結果速報です。残念ながら伊藤計劃「The Indifference Engine」は中編部門を受賞することができませんでした。
2013-07-15 04:17:56なお、長編部門にノミネートされていた、鈴木光司さん『エッジ』は見事受賞されたようです!鈴木さん、おめでとうございます!
2013-07-15 04:19:48- 「The Indifference Engine」の英訳は、アメリカで刊行されたSFアンソロジー『The Future is Japanese』(Haikasoru、2012年5月)に収録。
今回の長編部門の『エッジ』以外の候補作
- 『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン
- The Devil in Silver, Victor LaValle
- Immobility, ブライアン・エヴンソン
- The Drowning Girl, ケイトリン・R・キアナン
1.警官の点数稼ぎのため捕まり、古い精神病棟に無理やり収監された主人公はそこで怪物に襲われる。はたして病や薬による幻覚なのか? おちゃめな老婦人や凶暴少女などの患者仲間が印象的。退院させてもらえない恐怖がリアル。(ヴィクター・ラヴェイル The Devil in Silver)
2013-07-15 01:58:032.主人公が冷凍睡眠から目覚めるとそこはほぼ終わりかけた世界。半身不随の彼は、救い手として文字通り担ぎ出され、おんぶにだっこ状態でゴキブリ以外生物のいない放射能まみれの荒野を進む。目的は敵?のアジトからあるものを盗むこと。(ブライアン・エヴンソン Immobility)
2013-07-15 02:05:03(承前)この本の徹底したホモソーシャルなところや、コーマック・マッカーシイ作品や犯罪ものの外道な落語を摂取したときと同じ受容体が刺激される感覚はいつかきちんと言葉にしたい。 なお本書は『新潮』誌2013年2月号で、都甲幸治氏の連載で取り上げられた。その時の仮題は『不動』
2013-07-15 02:19:10なお、過去の長編部門受賞作は以下の通り。邦訳はない。
- 2007年度 - エリザベス・ハンド - Generation Loss
- 2008年度 - ジェフリー・フォード - The Shadow Year
- 2009年度 - Victor LaValle - Big Machine
- 2010年度 - Robert Jackson Bennett - Mr. Shivers
- 2011年度 - シェリ・ホールマン - Witches on the Road Tonight
- 2012年度 - 鈴木光司 - 『エッジ』
今回のノヴェレット部門受賞作、カレン・ラッセル「帝国のための糸繰り」
- シャーリイ・ジャクスン賞は長編部門、ノヴェラ部門、ノヴェレット部門、短編部門、個人短編集部門、アンソロジー部門に分かれている。「ノヴェレット部門」は短編よりも長く、ノヴェラよりも短い作品が対象。
- ノヴェレット部門受賞作、カレン・ラッセル「Reeling for the Empire」はちょうど今月、「帝国のための糸繰り」のタイトルで『文學界』2013年8月号に翻訳掲載された。
【文學界8月号・翻訳小説】カレン・ラッセル「帝国のための糸繰り」は明治らしき日本が舞台のSF。「斡旋人」にふるまわれるお茶により体内で生糸を作りだす蚕女工に変えられた少女たちの物語です。訳者・藤井光さんによれば「現代アメリカ発、カフカ経由、明治日本着」ともいうべき世界観とのこと!
2013-07-05 01:31:10今月の『文學界』には、カレン・ラッセルの短篇「帝国のための糸繰り」を載せてもらっています。 http://t.co/mseKOsWuP2 明治の日本、殖産興業の流れのなかで「無縁工場」と呼ばれる製糸工場で働く女工たちは、実は謎の茶によって人間蚕に変えられていた…という作品です。
2013-07-05 13:28:13【RT言及】カレン・ラッセルは本邦に上陸したばかり。ショートストーリー部門受賞作ジェフリー・フォード“A Natural History of Autumn”の舞台も日本で、ヤクザ絡みの男と「秋を研究しに」旅館に訪れた女が、人面犬に遭遇する話。
2013-07-15 01:38:00過去の日本作家の受賞・ノミネート
- 小川洋子の英訳短編集『The Diving Pool』は2008年度の短編集部門受賞作。「ダイヴィング・プール」、「妊娠カレンダー」、「ドミトリイ」の3編を収録。うち「ドミトリイ」は中編部門(ノヴェラ部門)の候補にもなっていた。
- 「ダイヴィング・プール」は中公文庫『完璧な病室』、「妊娠カレンダー」と「ドミトリイ」は文春文庫『妊娠カレンダー』で読める。
- 乙一『ZOO』の英訳版は2009年度の短編集部門ノミネート。
『エッジ』を英訳出版したヴァーティカル社について
鈴木光司『エッジ』英訳版を刊行したヴァーティカル http://t.co/lJ5xw4Vu8e は、日本の小説や漫画の英訳版を出版するために、2001年に日本人が創立した会社。2003年の創刊ラインナップには鈴木光司『リング』が入っており、その後も鈴木光司の作品を次々と英訳刊行。
2013-07-15 02:17:05ヴァーティカルの社長インタビューは『ミステリマガジン』2007年6月号掲載。鈴木光司『エッジ』英訳版は2012年6月出版。それ以降だと同社からは松本清張『霧の旗』、北方謙三『逃がれの街』、乃南アサ『軀(からだ)』、高嶋哲夫『メルトダウン』、石川智健『グレイメン』の英訳が出ている。
2013-07-15 02:20:24ヴァーティカル http://t.co/lJ5xw4Vu8e から英訳版が出ている鈴木光司の作品は『エッジ』以外に、『リング』、『らせん』、『ループ』、『バースデイ』、『仄暗い水の底から』、『楽園』、『神々のプロムナード』。
2013-07-15 02:29:18ヴァーティカル http://t.co/lJ5xw4Vu8e からはほかに、栗本薫『グイン・サーガ』(5冊)、瀬名秀明『パラサイト・イヴ』、貴志祐介『クリムゾンの迷宮』、京極夏彦『姑獲鳥の夏』、東野圭吾『秘密』、大沢在昌の新宿鮫シリーズ(2冊)などの英訳も。
2013-07-15 02:27:37