第八十話:一握の砂 第八十一話:炎の奥 第八十二話:彼岸の花

角川Twitter小説コンテストにて執筆中の『チョッとした話』を読みやすいようまとめてみました。読了後面白いと感じてくださったら章タイトルや本文のファボやRTなどいただけるとありがたいです。 以下のURLからもどうぞ。http://commucom.jp/t/fo9FMO
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さく@今日も生きる @C_N_nyanko

「そう、なら良かった」  彼女は少し影のある微笑みを浮かべた。 「私ね、売られたの」 「え?」 「ついに買われたの。知らない化物に。それで今は、籠の中なの」 「どこなの?」 「どこだろう、わからない」 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

2013-07-13 23:47:50
さく@今日も生きる @C_N_nyanko

 彼女は首を振った。 「あのね、言いたくて言えなかったことがあったの」  彼女は僕の手を、ぎゅっと握った。  なぜだか、ひどく切ない気になった。  この手が、簡単にほどけてしまうような、そんな、脆い感覚。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

2013-07-13 23:48:17
さく@今日も生きる @C_N_nyanko

――彼女は本当は、もう遠いところにいるんじゃないだろうか。  するりと、手がほどけた。 「あたしね、あんたが好きだった。ちょっとしか一緒にいなかったけど、大好きだったよ」  じゃあまたね、と、彼女は僕から離れた。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

2013-07-13 23:49:00
さく@今日も生きる @C_N_nyanko

「待って!」  僕は、手を伸ばした。  目が覚めると、僕はひとりで部屋に横たわっていた。 「あ……」  僕は小さく呟く。  鮮明に思い出したのだ。  彼女が今近くにいない理由。もう会えない理由は。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

2013-07-13 23:49:27
さく@今日も生きる @C_N_nyanko

 僕は身を起こして、小さく呻いた。 ――僕は、あの手をつかめなかった。  息を吐きだして、外を見やる。  窓の外には、一面の彼岸花が咲いていた。  また君に、会いたい。  僕は、何も掴めなかった手を握りしめた。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

2013-07-13 23:51:59