第一回大罪大戦【エピローグ】

大罪大戦は終わりました。 紡がれた物語は、この場所で終わります。 エピローグ
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ラスト エピローグ::いつかまた、きっと

シーン主導CP:ラスト 
シーン参加CP:プライド・リリヤ(グリード)・イラ

ラスト/アドウェナ @temari_sin

ふと目を覚ますと、暫し辺りを見渡し。「あちゃー……アタシ、死んだ?」思い返せば、ルクスーリアに首を斬られた。そりゃ死ぬわ。うん、アタシ、死んでる。彼女は紅いミニワンピースを着ていて、そこから出ている肌は何事もなかったかのように真っ白。何もない真っ白な世界で彼女は立ち上がる。→

2013-07-23 08:57:22
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→……と、頭が重い。どうやら死に際に伸びた髪の毛はそのままらしい。自分の背丈の三倍もある髪の毛を引きずり、彼女は歩き出した。→

2013-07-23 09:00:11
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→そう言えば。アタシが死んだ後、生き残ったのはウーヌスだけということは気配で感じる。きっとアンタなら、アンタなら……『黒』も『紅』も『虚』もない世界を作ってくれるに違いない。そうだよね? アタシは『紅の色欲』という肩書きから逃れることは出来なかった。……本当に、出来なかった?→

2013-07-23 09:05:59
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→アタシが『紅』でなくて、ルクスーリアが『黒』でなければ。そう考えたことは何度もあったが、お互いに『紅』も『黒』も越えた繋がりを持っていたはず。彼女は考える。考えることは苦手だから、上手くまとまることはないが。考えているうちに、生前の後悔ばかりが脳裏をよぎっていく。→

2013-07-23 09:10:14
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→プライドに抱いてもらえないまま。あの時身体が動けば、髪の毛じゃなくてアタシの身体でスロウスを撫でたかった。ラースの肌に触れることは出来たが、目の前で失った。グラトニーには何度ご飯を取られたことか。まだ文句言い足りない。エンヴィーには新しい服を用意してたのに、渡せなかった。→

2013-07-23 09:14:53
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→そして。グリードには、黒の城で散々酷いことを……言った。記憶に鍵を掛けていたことが原因だったとしても、あの行為はきっと、グリードの心を深く、傷付けた。孤独を嫌うアタシが、黒の城で孤独だったグリードを……ああ、何て、バカなことを!→

2013-07-23 09:18:15
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→彼女はかつてグリードがしていたように、心から願った。グリードに、会いたい。会いたい……謝りたい! 思い出す、グリードの悲しそうな顔と声。しかし、凛と強く佇んでいた。グリードに会って、会って、謝りたい!!→

2013-07-23 09:19:48
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

だれかが『私』を呼んでいる。微睡みからその淵へと浮かび、呼び声に耳を澄ませた。 手探りをするように、『世界』の裾野を広げていく。『私』なら、ここにいる。そう伝えるために。 『私』はラストを見つけて、『世界』にいざなう。青空の下、草花に覆われた丘の上、一本の大樹が聳える風景の中へ。

2013-07-23 09:39:24
ラスト/アドウェナ @temari_sin

一歩足を踏み出すと、ぐらり、真っ白だった世界は緑色に。「死後の世界……だもんね、何が起こってもおかしくはないか」草木の生えた地面を踏みしめて歩く。真ん中にそびえる大樹まで辿り着くと、その太い幹に手を添えて。「ねぇ、アンタ……ここは、どこ? グリードって女の子の居場所、知らない?」

2013-07-23 09:50:46
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

大樹の幹に手を触れたラストは、違和感に気付くだろうか。それはたしかに、そこに在ることを感じさせるけれど、覚える感触はどこか、不確かだ。精細さを欠いている。 ここは記憶で『表現』された『世界』だ。『グリード』にも『リリヤ』にも、これほど大きな老木の樹皮に触れた経験が、記憶がない。→

2013-07-23 10:40:52
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

→だからどんなにそれを表現しようとしても、想像でしかない感触は、実際のものとは程遠かった。 踏みしめた大地についてもそう。ラストは『世界』に触れているわけではない。『世界』の『表現』を受け取っているにすぎないのだ。 真実『世界』に触れられるものは、今はまだ、『宝物』ただ一人。

2013-07-23 10:41:10
ラスト/アドウェナ @temari_sin

木の幹に触るなんて、いつ以来だろう。大罪になる前──アタシが『ジュリア』だった頃──だろうか。子供の時に触れた幹の感触を思い出しながら、幹を撫で。……? これが幹? これが、草の茂った大地? 彼女の中に「違和感」という言葉が浮かぶ。アタシが知っている大地、幹とは、全く違う。→

2013-07-23 11:08:37
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→ここはアタシの中の世界とは違うようだ。それだけを直感で感じた彼女は、呼び掛ける。自然豊かな土地で育った彼女にとっては、植物に話し掛けることは当たり前。「ねぇ、アンタ。アタシね、自分の知らない世界、ここに来ちゃって……」早く、早く、グリードに、謝らなくちゃ……。

2013-07-23 11:11:53
LiljaのIra @Fiteenl_sin

不意に、「あたらしいもの」を感じて、それで眼を開いて身体を起こした。白い衣の裾に積み重なった鍵が転がって、からからと音を立てる。 声が聞こえた。誰だろうかと、視線を巡らせる。大樹、大きな幹の中、洞の中は暗く、『暖かい』。 外に繋がる裂け目を見つける。数度眼を瞬かせて、立ち上がる。

2013-07-23 12:22:55
LiljaのIra @Fiteenl_sin

——落ち着いている。気持ちも気分も、感情も。 全てが曖昧な感覚しか返さない中幹に手をつく。確りと触れて、そして蒼空の許、明るい大地へと顔を覗かせた。 ——それに気付いて、視線を向けたのなら驚くかもしれない。ラストが最後に見た『黒の憤怒』とは程遠い、幼い少女がそこにいるのだから。

2013-07-23 12:22:56
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

そより、風が吹いた。おはよう、とでも言いたいのか。

2013-07-23 13:02:53
ラスト/アドウェナ @temari_sin

からからと金属の鳴る音と共に、木の幹から人が顔を出す。あどけない少女は何だか眠たそうな顔をしていて。ほら、死後。死後だから! 何が起こってもおかしくない! 自分にそう言い聞かせて、彼女に声をかける。「……おはよう、でいいのかな?」風が、吹いた。

2013-07-23 16:10:12
LiljaのIra @Fiteenl_sin

風が吹いて髪が揺れるのをそのまま、彼女を見上げて首を傾ける。 「……おはよう?」 『ここ』でのそれは、生きていた時のそれとは同等なのだろうか。思った疑問がそのまま、語尾に現れる。仕草も声も、やはり子供のそれで、そしてそれ以上に何を言うでも問うでもない。ただ、見上げる。

2013-07-23 17:08:55
ラスト/アドウェナ @temari_sin

少女からの返事があったことにひと安心。一応話が出来る状態のようだ。少女と同じ目線までしゃがんで。「あのね、アタシね、人を探して迷い込んじゃったの。『グリード』っていう女の子なんだけれど……知らない?」絶対ここにいるはずなの、と念を押した。

2013-07-23 18:04:44
LiljaのIra @Fiteenl_sin

グリード、という名前に、青い眼を瞬く。同じ高さまで降りてきた彼女の眼を見て、そしてこくりと頷いた。 「しってる」 グリードとは、言わず。た『リリヤ』と言って分かるかがわからないから、そう答えて。そして、再び首を傾げて問い返す。 「……『ルクスーリア』は?」 一緒ではと、言外に。

2013-07-23 18:30:37
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「知ってるの!」頷いた少女の前で、彼女はにこりと微笑んだ。そして、次に『グリード』が何処に居るかを聞こうとした時。少女の質問に、彼女は驚いて眼を見開いた。「ルクスーリア、ああ、ルクスーリアを知っているの? そうだなぁ、何て言えばいいのかなぁ……」彼女は返答につまり、苦笑した。

2013-07-23 18:46:45
LiljaのIra @Fiteenl_sin

曖昧な返答に、少しだけ視線を落とした。この人と一緒じゃないのなら、どこにいるのだろう。その疑問はそれ以上は口に出さずに、一度『世界』の幹に手を当てて、そして彼女を見やる。少し迷ってから、言った。 「『パウルス』なら、」 覚えているだろうか、この人は、この呼び名を。 「……ここ」

2013-07-23 19:02:11
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

ひらり。 ひとひらの、紅色をした木の葉が、舞う。 紅色が、特別な色が、ラストの手のひらの中に、落ちる。 この『世界』で、それだけは、確かに触れた。

2013-07-23 19:11:53
ラスト/アドウェナ @temari_sin

ああ、少女の視線に翳りが……。彼女は少女の頭を優しく撫でた。「ルクスーリアとはね、『さよなら』しちゃったの。とっても大切な人だったんだけれどね」溜め息まじりに、しかし精一杯明るい声で答えると。「え……『パウルス』?」彼女が首をかしげた刹那。→

2013-07-23 19:21:22
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