「伊藤計劃以後」?のSFについて
不快感には2種類あり、一つは一人の作家の死が陳腐な形で消費されることへの感情的な反感。何かしら有名な人が亡くなったとき、別にファンでもなんでもない人が「一つの時代が終わったな…」みたいなことを言い始めたときに抱く「おい、ちょっと待てよ」という感情。
2013-07-24 11:30:47もう一つは、「伊藤計劃的であるかor伊藤計劃の作品テーマを発展的に用いているかどうか(そして、そうでないものは価値が無い)」という評価軸がジャンル読者(の一部の層に)に根付いてしまう可能性に対する鈍感さ。
2013-07-24 11:38:49いまのSF関連出版物の刊行状況は割とバランスよくて、ぼくにとっては居心地がいいのだけど、これを「伊藤計劃以後」というドグマが歪めてしまうのが嫌。伊藤計劃の作品とドラマチックな生涯の組み合わせにはそれだけの力がある。……と、これもまた過大評価だと笑われそうだな。
2013-07-24 11:56:29「伊藤計劃作品をSF史を論じる上での里程標にしよう」、「作中のテーマを研究しよう、発展的な形で自作に盛り込んでいこう」という試みには、別に不快感は持っていません。個別に「あれ、その論おかしくね?」と思うものはあれど、試み自体は比定しない。どんどんやればいいと思う。
2013-07-24 12:05:16藤田直哉氏の表明
文芸評論 博士(学術)日本映画大学准教授。編著『東日本大震災後文学論』『地域アート』『ららほら』単著『新世紀ゾンビ論』『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『娯楽としての炎上』『攻殻機動隊論』、RTや「いいね」するものは、真実・事実だと裏を取っているわけではなく、必ずしも賛同しているわけではないので注意してください。
さて、共著の現代SF論『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』(南雲堂)が明日発売されます。「日本的ポストヒューマン」という概念に説得力があるか、伊藤計劃以後という言葉に意味はあるのか、様々な議論を呼んでいますが、ぜひご一読いただければと思います。
2013-07-24 19:01:52ぶっちゃけた話、生前に伊藤計劃を評価できなかった僕としては(円城塔の方がすごいと思っていたし、今でも思っている)、「伊藤計劃」を神格化する目線には違和感を持っています。それが内容的に意味を持つのか、セールスの文句なのか、受容者の変化なのか。その辺り、ちょっと距離感はあります
2013-07-24 19:11:28岡和田晃氏の論考は、伊藤計劃以後というのは、単なる商業的なタームではなく、そこに描かれている内容の「政治性」こそが「伊藤計劃以後」の核心であるという、内在的な説をとっています。ぼくは、そうかなぁと思いつつも、数ある意見の中の一つとしてそれを尊重しています。
2013-07-24 19:13:00だから「伊藤計劃以後」なるものに、内実として意味があるのか、ないのか。それは小説の内容なのかそれ以外の要素なのか。などなど、それらを総合的に考え、「伊藤計劃以後」現象そのものを評論の俎上に挙げてみよう、というのが本書の試みです。というか、全員がそうではないけどね。
2013-07-24 19:15:07あと、一応、ぼくのSF史観。90年代「冬の時代」は「活字SFがダメだっただけ」(ゲームはミリオンいっていた)→他メディアのSFを認めようというキャンペーン→リアル・フィクションの成功→「リアル・フィクションの後」としての円城・伊藤→日本SFの夏へ。だと思ってます。
2013-07-24 19:21:38『ゼロ年代SF傑作選』という文庫本の解説に、ゼロ年代とリアル・フィクションについてのまとめを書いているので、そちらも参照してください。諸説あるとは思うけれども、ぼくはリアル・フィクションの成功が伊藤・円城につながり、「夏」を導いたという史観です。
2013-07-24 19:23:07『ポストヒューマニティーズ』への反応(野尻氏再度反論、など)
S-Fマガジン 2013年 09月号 [雑誌]: 本 http://t.co/HNogd4rt7E 到着。ニコ生でやった川上会長と私の対談が載っています。司会は塩澤さん。
2013-07-25 16:56:48fmfm、SFマガジンの大森さんの記事によると、岡和田晃は例の評論でピアピア動画を一刀両断しているそうな。悪い予感が的中したらしい。
2013-07-25 19:02:29“同作は不穏なまでに楽天的で、あたかもボーカロイドが地球を救うと言わんばかりの展開を見せているが、その本質は「萌え」記号の無自覚な賞賛”というに尽きるだろう”――ですってよ。
2013-07-25 19:04:58もちろん自覚してるし、オープンテクノロジーの中で萌え要素なんてごく一部でしかない。RT @kikumaco: @nojiri_h 自覚的な賞賛よね
2013-07-25 19:08:19「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意思に属する」って言葉があるのに、文芸評論家は悲観的なものばかり誉める。暗い顔して人の心の闇を描いていれば知的なことをしたとでも思うのかね。
2013-07-25 19:11:43科学音痴、テクノロジー音痴の文芸批評家はSFの敵だ。RT @ani_goodp: まだ若いんだから読み込みが浅くても許してあげよう RT @nojiri_h: ピアピア動画で賞揚しているのはオープンテクノロジーのほうなんだけど。
2013-07-25 19:16:52御意。RT @kiki_jmsdf: .@nojiri_h 高専ロボコンにおいて、厚紙に描いた絵がガムテで貼ってあるロボットに対して、その絵を評価しちゃってるような…。
2013-07-25 19:17:30ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後:岡和田晃「『伊藤計劃以後』とハイ・ファンタジーの危機」 http://t.co/Km6LrpVgkH を読んだけれど、ハイ・ファンタジーがこれから盛りあがるはずという見込みと“伊藤計劃以後”のつながりがサッパリわからない。
2013-07-31 23:13:12ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後:そもそも“伊藤計劃以後”の意味がわからない。「伊藤計劃以後」?のSFについて - Togetter http://t.co/EWQLhgSlDv を読んでもわからない。まあ、そもそも私、伊藤計劃は『虐殺器官』しか読んでへんしな……。
2013-07-31 23:14:13ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後:恐らく“伊藤計劃以後”の意味を端的に述べているのは“高度資本主義の実質的な包摂のなかでいかなる倫理を保持するか”p.59 かなと。「高度資本主義」はグローバリズム、格差社会、情報環境といった、もう少し含みがあるんだろうけど。
2013-07-31 23:15:32