映画『風立ちぬ』における罪と罰、そして赦し

備忘録用にまとめました。
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宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

主人公が悪人であることに慣れていない人が多いのかもという件、もう少し説明すると、物語より上位にいる審級(語り手だったり作者だったり、それは色々)が主人公に対して肯定的なのか否か、あるいは好意的なのか否か、ということが分かりづらい物語に慣れていない人が多い、ということになる。

2013-08-22 03:02:00
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

あ、風立ちぬという物語が悪人主人公たる二郎に対してどういう態度をとっているかというと、好意的だが、厳しい、ということになります。ほんと父性的。あまりに父性的。

2013-08-22 03:17:14
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

あ、しつこく補足しますとね、カストルプが二郎のドッペルゲンガーだという僕の読みですけど、あれは二郎が身に覚えのないことで特高に追われる、というエピソードからも裏付けられると思いますね。もちろん表面的には政治犯カストルプと別荘で親しげにしていた、という理由でしょうけど。

2013-08-22 03:32:59
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

そういえば、二郎がホテルのレストランで菜穂子と最初に視線を交わすシーン、幾分離れた二人の席の間にはカストルプの席があって、クレソンをむしゃむしゃ食べてるんよね...ファウストの背後に悪魔がいる、というのと逆の構図で面白い。

2013-08-22 14:10:49
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

昼間にこういうエアリプを交わしたのだけど、両者の解釈が両立するとしたらそれは、二郎が菜穂子の意図を意識的にか無意識的にか誤読している、ということだからだと思う。 https://t.co/o3vQHfi7jM https://t.co/iJOl6pWxEw

2013-08-23 03:23:03
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

僕にはあの二人が普通の意味で愛し合っていたとはとても思われない。二郎はただ"美しい"飛行機を菜穂子にも投影していたに過ぎないが、菜穂子の方は怨念じみたとでも言うべき健気さで二郎を愛していた。その"イビツさ"(これは岡田斗司夫氏が何かの動画で使っている言葉)はラストにも生きている。

2013-08-23 03:27:36
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

二郎が菜穂子の「生きて」を赦しと解したのは間違いないが(でないと「ありがとう」の説明がつかない)、菜穂子は死してなお二郎の生において生き続けるためにわざわざあそこで登場した、ということになる。これが呪い。

2013-08-23 03:35:21
宇宙忍者ケマケマくん @space_kemachan

基本的にあの映画は二郎の物語であって、菜穂子の物語を再構成するにはあまりに情報が足りず、わずかな暗示を手がかりにするしかない。そこが難しい。あと堀辰雄を不用意に参照すると収拾がつかなくなるからそれはしない。

2013-08-23 03:46:55