「九五式軽戦車の主砲貫徹力」と「九七式中戦車の対爆風効力」についての小話集+おまけ
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【九五式軽戦車はⅠ号戦車を撃破できない?】
で、これ→ http://t.co/gA1EKnHrn9 のこれ→ http://t.co/58lW6Afhd3 掲載されてた資料を発見したので、これでまた新しい小話をしていきます。
2013-08-13 22:53:24元々さっき紹介したまとめは、2つめのサイトに乗っている「九五式軽戦車(九四式三十七粍戦車砲)の徹甲弾は独製Ⅰ号戦車の砲塔後部装甲を貫徹できない」という話がきっかけで、肝心な一次資料が不明なままで考察をしたものでした。
2013-08-13 22:55:43で、サイトに掲載されていた資料は「機甲」という冊子がそれの掲載元だという情報のみを元にして、今日偕行文庫で虱潰しに探して来ました。で、今回その掲載元の一次資料が見つかったので、それを元に考察したいと思います。
2013-08-13 22:58:25では本題に入ります。先ほど紹介したサイト(http://t.co/58lW6Afhd3)の一番下に掲載されていた写真は、陸軍戦車学校で発行されていた機関誌「機甲」の昭和十七年四月号の「速射砲戦技向上の一、二について」という記事の一番最後に参考資料として掲載されていたものでした。
2013-08-13 23:02:25要はこの写真ですね。で、実際のところこの写真は、掲載元にある3枚のうちの1枚の写真でした。 http://t.co/FulunlrSgv
2013-08-13 23:03:55ではあとの2枚の写真はどうなってるのか?それはこうなっています。 http://t.co/xZOOISg1uj
2013-08-13 23:09:44分かりやすく残りの2枚をアップにするとよく分かると思いますが……そう、1枚目の写真は貫徹した写真が掲載されているんですよね。 http://t.co/i7h8ZWIzr2
2013-08-13 23:13:33更に2枚目には「榴弾射撃による破壊及び亀裂の状態なり」という写真まで掲載されています。これはいったいどういうことなのか?詳しく説明していきます。
2013-08-13 23:15:22先ほどに申したとおり「速射砲戦技向上の一、二について」には最後のほうに参考資料が掲載されており、その中にこの試験の事についての詳細が書かれた「実験射撃計書」というものがあります。
2013-08-13 23:19:22それによると、この試験は独製Ⅰ号戦車の砲塔を土のうの上に載せ、○○式軽戦車の車載火器で弾丸効力の検証を行うと共に観測状態を検査するために行われたようです。検証のために持ち込まれた火器は○○式車載重機関銃と○○式三十七粍戦車砲の榴弾、徹甲弾にて行われました。
2013-08-13 23:21:42○○式、となってる部分は実際に「機甲」内でそう書かれているので、実際に何なのかは分かりませんでした。しかし、この記事自体が「騎校○○隊」の執筆であったので、恐らくは九五式軽戦車の九七式車載重機関銃と九四式三十七粍戦車砲で正しいのだと思います。
2013-08-13 23:24:10試験は車載機関銃を50、100、150、200mの距離で25発ずつの計100発、三十七粍戦車砲の榴弾が300mで2発、徹甲弾を400mで2発と300mで3発で行われました。勿論試験結果も残っています。
2013-08-13 23:29:24でもまあ、射撃される側のⅠ号戦車砲塔の計測を手作業で行なったためか、Ⅰ号戦車の装甲と傾斜角度が資料だとちょっと違っている(資料だと厚さ10mm、傾斜角35度だが、実際は厚さ13mmの傾斜角50度)ので、ここはとりあえず実際の数値で考えてみます。
2013-08-13 23:30:34で、気になる射撃試験結果ですが、まず車載重機関銃の方は命中弾を平均11~13発は出したのですが、全て「表面塗装を脱するのみにて侵徹威力を認めず」という結果に終わっています。一応は車載機関銃も徹甲弾にて射撃を行なっているのですが、まあここは当たり前の結果でしょうし、仕方ありません。
2013-08-13 23:33:22次に三十七粍砲の榴弾での射撃試験結果です。300mで2発の砲弾を30度の角度で射撃して1発が命中。結果「甲板一部を破壊し四隅のマドを開扉せり」と、なかなかの威力を吐き出しています。それがこちらの2枚目の写真ですね。 http://t.co/NEb0AMZ5Mm
2013-08-13 23:41:33この結果を見て、判定は「榴弾をもってする射撃も効力あり」としています。ただし、その結果に付け加えて「射程の影響は更に影響を要す」とあり、使えなくはないけど消極的な意見でまとまったようです。
2013-08-13 23:44:18そして気になる徹甲弾の試験結果です。確かに試験では徹甲弾を400mの距離で射撃し、2発中1発が命中し、超飛を起こしています。しかし、試験表には更なる追加条件が書かれていました。それは命中角です。
2013-08-13 23:54:33400mで超飛された砲弾は命中角60~65度にて射撃を行って試験されていました。つまり、元々の装甲の厚さと傾斜角に合わせて命中角を考慮して計算する必要があるわけです。それを鑑みると……まあ、かなりきつい角度で当たってるわけですから、そりゃ貫徹するわけないですね。
2013-08-14 00:00:01ちなみに、試験では400mで1発、300mで1発の砲弾が命中し、その2発ともが超飛していますが、これらは全て命中角60~65度にて命中したものです。
2013-08-14 00:02:16では他の角度ではどうなのか?その試験結果も勿論あり、300mから命中角を直角で2発射撃しています。その結果は……この上の方の写真です。 http://t.co/vm3BPtuhL8
2013-08-14 00:04:11まあ九四式戦車砲の九四式徹甲弾は350mで30mmの装甲板を貫徹できるので、当たり前の結果ですね。まあ3枚目のキャプションはよく分かりにくいっちゃ分かりにくいんですが……
2013-08-14 00:09:48でもまああまりに砲塔の端に当たると弾かれることは確かなので、試験判決としては「避弾経始の良好なる甲板は命中弾をを得るも超飛率多く確実に貫徹する面積少なし。貫徹せば威力大なるは爆炎により観測し得らる」としています。
2013-08-14 00:10:10