火砲小話~VYa 23mm機関砲の14.5mm版の車載化計画
HOAA! VYa 23mm機関砲(IL-2に搭載されたアレ)の14.5mmネックダウン版なんてあったんですね。1942年7月頃の計画で、諸元は全く不明ながら、初速増大によって装甲貫通力90mm(!)を見込んでる。軽戦車向けの武装として計画、と #SW42
2013-08-25 19:01:59ここでいう軽戦車とはT-60のこと。既に20mm ShVAK航空機関砲の車載型TNShを搭載していたけども、これを14.5mm版VYaに替えようという話。ただし、計画が動き出した20日後にはT-60自体の生産中止が決定されたために、14.5mm版VYaもお流れとなる #SW42
2013-08-25 19:04:5242年夏のT-60の生産中止は、新型軽戦車T-70の生産開始が故。こちらは45mm 20-K戦車砲装備だけども同年に開発された硬芯徹甲弾は射距離65mで100mm、300mで80mmの装甲を貫通し得る(参考:http://t.co/YoAYp7VHRH)
2013-08-25 19:09:5045mm砲でここまでの威力が期待できるのなら、ピーキーな14.5mm超高初速機関砲の出番は無くなろうもんですね
2013-08-25 19:10:5514.5mm版VYaの性能は「90mmの装甲を貫通する見込み」という事以外全く不明。でも、PTRDが初速1010m/s程度で最大40mmを貫き得ることをもとに概算はできる。ソビエト的にVYa14.5の弾頭がPTRDと共通だとすると……1520m/s程で90mmを貫き得るかしら
2013-08-25 19:15:37VYa14.5の予定初速が1520m/s程度だとすると、WW2ではほとんど未知の領域。しかし独軍の2.8>2cm sPzB41が1400m/sを達成してたことを思えば、荒唐無稽とまでは言い切れない。ただ、きっと銃身寿命は酷いだろうなあ……
2013-08-25 19:19:32VYa 23mm機関砲はだいたい200gの弾頭を900m/sで撃ち出す。これは81,000Jくらいのエネルギーを持つことになる。重さ65gの14.5mm弾頭でこれと同じエネルギーを持つ時の速度はというと……1580m/sくらい。おお、推定の1520m/sに結構近い
2013-08-25 19:28:48机の上で数字をひねってみた分には、どうやら23mm弾薬莢と14.5mm弾頭の組み合わせで1520m/sは達成できそうな気がします。実際には摩耗やら摩擦やら何やらが関わってきて、そこまでうまく行かないのでしょうが
2013-08-25 19:30:20ゲルリッヒ砲並の初速で機関砲なんてものじゃあ、それこと一回の戦闘ごとに銃身廃棄くらいの勢いになっちゃうんだろうなあ
2013-08-25 19:31:16しかし、VYaに23mm版だけでなく14.5mm版もあったとなると、単にVYaと呼ぶよりはVYa-23、VYa-14.5と呼び分けたほうがいいのかも知れません
2013-08-25 19:33:52そういえばソ連は、空軍と陸軍の関係が近いお蔭か、独立空軍を持っていた国にしては航空武装の地上転用が割と珍しくないような気がします。現場の応急レベルでなく、正式な武装として航空武装を使うことが意外に多い
2013-08-25 19:36:32T-70に搭載が計画されたSh-37 37mm機関砲も、元は航空機用でしたっけ http://t.co/j1u6sNNhQh LaGG-3 シリーズ34のモーターカノンとして搭載 http://t.co/6ZtGcwmPsN イマイチ素性のわからない砲ですが……
2013-08-25 19:51:18ソ連航空機関砲は割と結構な沼がありそうなんですが、ほとんど手を付けてない。そのうち掘ってみたいところですが……
2013-08-25 19:53:06なんとなーく1940年台頭のソ連火砲、特に超高初速砲は、貫通力の実測値が計画値を下回りやすいように思う。107mm M-75対戦車砲が188mmの貫通力を目指していながら165mmしか達成できなかったり等々。彼らには未踏の領域であるし、何か試算しきれてない未知の要素があったのかな
2013-08-25 20:13:42M-75とZIS-6以外の開発状況がよくわかっていないんで、何とも言いかねますが。BL-9なんかの計画値はどうだったのか、そのうち調べてみたい
2013-08-25 20:14:39超高初速域での貫通力が試算値を下回る傾向があったとすると、VYa14.5mmも同じ目に遭うんじゃないかしら。仮にこれが1520~1570m/s程度の初速を達成できたとしても、目標値の貫通力90mmには届かなかったりしそうな
2013-08-25 20:18:13逆に試験での貫通力が計画値を上回ったのが45mm砲の硬芯徹甲弾。以前のまとめでも触れたけども、計画値の2~3割増という結果。硬い弾では試算より良く、普通の弾では悪いとなると、もしかして40年代頭のソ連では超高速域での弾頭の破損・変形の影響がうまく見積もれていなかったのかも……?
2013-08-25 20:23:27先日ちょっと触れたVYa 23mm機関砲の14.5mmネックダウン版ですが、銃本体は作られたか不明なものの、14.5mmにネックダウンした23x152mm弾薬自体は作られていて、それを使用する対戦車ライフルも実際作られていたみたいです
2013-08-27 19:13:12その14.5mmネックダウン23mm弾薬を使う対戦車ライフルの詳細は不明なものの、初速が1500m/sであったことと、不明な時期(恐らく43年春)に虎戦車に対する射撃試験を実施し貫通弾を得たことは確からしく http://t.co/lOmdUS848F 13番が貫通箇所ですと
2013-08-27 19:16:33初速が私の推測(1520m/s)とそんなにずれてなかったのは嬉しいところ。しかして、14.5mmの対戦車ライフルですら、初速次第では実際虎の装甲を貫き得るんですねえ……
2013-08-27 19:17:42