日本帝国海軍駆逐艦の主砲/対空スペックについてざっくりと

以前チラっと書いた事があるのですが、友人から予備知識抜きだと厳しいとの話があり、少々蛇足込で書いて見ました。 誤認などもあろうかと思いますが、お目汚し程度に宜しくお願い致します。 また、指摘・訂正いただける部分があれば、是非お願い致します。 ・・・秋月型・夕雲型・松型の艦これ実装が待ち遠しい(そこ)
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M-鈴木 甲28 @kapitan_black

では駆逐艦の主砲をどうするのか?丁型駆逐艦(松型)は89式を採用したが、甲型駆逐艦は当然ながらC型砲塔を使用していた。結果、陽炎型でさえ一番高い位置に装備していた2番砲をおろして3連装25mm機関銃を2基装備する機銃座に換装してしまっていた。

2013-09-08 13:03:46
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

だが、改陽炎型の甲型駆逐艦最終群たる夕雲型は違った。練成不良なまま実戦投入を余儀無くされ戦績に見るべき物は少ないかも知れない。しかし夕雲型は主砲とその管制に於いて、これまでに無い進化を遂げていた。

2013-09-08 13:03:55
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

まず、主砲をD型と呼ばれる最大仰角75°の新型とした事で(発射速度こそ相変わらず4発/分と89式の実用速度の半分程度だが)経空脅威への対処能力を格段伸長させた。当然強度面でも改善されていた。

2013-09-08 13:04:17
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

しかし、主砲砲塔に対空射撃盤を持たない点で夕雲型の対空射撃能力は特型駆逐艦のB型砲塔と(強度と軽量化のブラッシュアップを除き)同一であり、装填仰角が固定位置であるが故の発射速度評価も変わらない様にも見えた。

2013-09-08 13:04:25
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

にも関わらず、対空兵装強化が叫ばれた折、二番砲塔を機銃座に置き換えた陽炎型とは異なり夕雲型は砲塔をそのまま維持しており、当時の評価として同型の砲が比較的高く評価されていた事を窺わせる。

2013-09-08 13:04:37
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

推測ではあるが、これは甲型駆逐艦として初めて「主砲の統一管制」を行う艦橋上の射撃盤に対空射撃盤の機能が盛り込まれた事に起因するのでは無いだろか?

2013-09-08 13:04:48
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

89式12.7cm高角砲の実用射撃速度に較べ5~60%しか無いとは言え、他の駆逐艦が対空統一射撃能力を持たないのに比べて「12.7cm高角砲3門」相当の火力を持つとの評価も可能であり・・・

2013-09-08 13:04:57
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

つまりは単装1基、連装1基で合計で89式を3門装備していた丁型駆逐艦「松型」に匹敵する対空火力を期待されていたと考えるのは妄想に過ぎるだろうか?

2013-09-08 13:05:12
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

ちなみに某所で大人気「ぜかまし」事、丙型駆逐艦島風も「高角測距儀」としては秋月型の4.5mに次ぐ99式3m高角を装備しており、夕雲型と同様に比較的高い対空射撃能力を期待されていたと思われます。はい。

2013-09-08 13:05:32
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

さて、一方防空巡洋艦が様々な理由で頓挫する中、直衛艦構想から発展し、妥協と確執を経て誕生した防空駆逐艦=乙型駆逐艦「秋月型」は水雷兵装こそ残すもののその主力兵装は対空砲だった。

2013-09-08 13:05:40
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

新たに開発された98式65口径10cm連装高角砲はローラーパスや重量、砲身間隔まで殆どの値を89式12.7cm連装高角砲と同一乃至近似に収めたもので、口径こそ小さくしたものの弾速と速射性と追従性を向上させる事で、一気に対空火力を倍増させる。

2013-09-08 13:05:47
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

動力旋回速度が約2倍、俯仰角速度も15%増しとなり速射性はほぼ同一(15発/分)、そして初速は720m/sから1000m/sに上昇していた。この事で高速の航空機に追従し、短時間で目標エリアへの弾幕が形成可能となり、射高も向上した。

2013-09-08 13:05:56
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

最大射程こそ14kmと89式より1km短いけれど(初速は早くても軽量の弾頭は空気抵抗で射程が短くなる傾向がある為射程距離は劣る)有効射高は8.1kmから11kmへ伸長している。

2013-09-08 13:06:07
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

加えて新型の94式高射装置を艦橋上に備えており(計画では前後2群の予定だったけど、予算と生産能力の不足から断念)、信管も改良型の98式となって、新型砲の性能を十分に生かせる設計になっていた。

2013-09-08 13:06:19
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

この様に高性能で、設置上の互換性がある事から、可能であれば全ての89式12.7cm連装高角砲は98式10cm連装高角砲に換装したかった・・・ただ、89式の量産にすら苦悩し、10年式を大量配備せざるを得ない当時の日本の工業力では夢又夢でしか無かった。

2013-09-08 13:06:32
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

ちなみに、砲身は薄肉内筒砲身と単肉自緊の2種類が開発されていたそうで・・・と言うのも初速が早く、焼耗率が高いこの砲の場合、砲身命数が短く内筒交換方式が必須と考えられていた。しかし技術的問題から単肉自緊に甘んじていた模様・・・

2013-09-08 13:06:44
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

実は98式高角砲は10cmも8cmも謎が多く、未だに防衛省の蔵書が公開されていない事も大きいそうです。(はよ!)

2013-09-08 13:06:59
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

以上、脱線しがちではあったけれど、WW2中の駆逐艦搭載主砲についてのアレコレでした。はい。

2013-09-08 13:07:14
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

っつうかね、以前思いっきり端折って、書きたいとこだけ書いたら、比較的軍ヲな友人から「詳しくないとわかんない」と言われて、思い出せる範囲で(いや、実はチョコチョコ本を参照しながら)書いて見ました・・・・お目汚し程度に

2013-09-08 13:09:50