在日外国人の地方選挙権と地方「被」選挙権について

北条 久奈さんの憲法学からの考察をまとめました。 関連まとめ→「外国人参政権は憲法違反!」ってウソ?ホント? http://togetter.com/li/56400
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@Hisana_Houjou

なんか昼間にとぅげったーで見たし、一度、外国人参政権について確認しておくのもいいことだと思うわ。あくまでも法学的な意味で。まず、政治的には外国人参政権付与には反対の立場だということを最初に明言しておく。 #seiji

2010-10-04 21:06:15
@Hisana_Houjou

まずは国政参政権についてだけど、これは明確に違憲ね。これについての異論ってのはきかないわ。まぁ、興味がある人は「ヒッグス・アラン事件」でググればいいと思うわ。問題は地方参政権よね。でも、地方参政権についても法学的にはほぼ決着ついてると言っていい。 #seiji

2010-10-04 21:06:42
@Hisana_Houjou

まずは地方の被選挙権について。これはあんまり議論になってない気がするけど、参政権というのは被選挙権と選挙権の両方の問題だから個別に検討する必要がある。で、被選挙権なんだけどこれは違憲説が通説的見解と言うべきね。 #seiji

2010-10-04 21:07:32
@Hisana_Houjou

で、外国人の公務就任権についての最高裁大法廷の判決があるのね(平成17年1月26日最大判民集59巻1号128頁)。この判決で最高裁は「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない」と判示しているわ。 #seiji

2010-10-04 21:08:22
@Hisana_Houjou

で、「公権力行使等地方公務員」とは「地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの」としているわ。 #seiji

2010-10-04 21:09:15
@Hisana_Houjou

もう少し噛み砕いて言うと、地方公務員の中でも他人の権利義務関係を確定させるような権力をもった者であるとか、地方公共団体の重要な政策を決定したりその決定過程に参加するような者と考えればいいと思うわ。 #seiji

2010-10-04 21:09:35
@Hisana_Houjou

となると、例えば地方議会議員は条例という地方公共団体における立法権の行使に参画する者であるし、首長なんかはもっといろいろな権限を持っているわよね。最高裁の判決をそのまま読むなら、外国人に地方被選挙権を与えることは違憲と言わざるを得ない。 #seiji

2010-10-04 21:09:55
@Hisana_Houjou

では、一方で地方選挙権についてはどうなのかということになるんだけど、これがあの有名な平成7年2月28日の最高裁判決よね(最判平成7年2月28日民集49巻2号639頁)。これによると最高裁は「地方選挙権は与えても与えなくてもどっちでもいいよ」と言ってるわけ。 #seiji

2010-10-04 21:10:16
@Hisana_Houjou

学説上は、外国人地方選挙権について「憲法は付与を禁止している」という説、「憲法は外国人に与えなければいけないとしている」という説、「別に与えても与えなくてもどっちでもいいとしている」という説、この3つの説が考えられるのね。それぞれ禁止説・要請説・許容説と呼ばれてる。 #seiji

2010-10-04 21:11:09
@Hisana_Houjou

で、まぁ、最高裁の判決を見ると、「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、…外国人には及ばないものと解するのが相当である。」としてるので、ここで要請説が排除されたわけね。 #seiji

2010-10-04 21:11:42
@Hisana_Houjou

さらに、「…外国人のうちでも…居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、…法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当」となる。 #seiji

2010-10-04 21:12:18
@Hisana_Houjou

これはなぜかというと、「住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから」、当該権利の性質上、与えても問題ないとしてるわけね。 #seiji

2010-10-04 21:12:43
@Hisana_Houjou

マクリーン事件の最高裁判決(最大判昭和53年10月4日民集32巻7号1223頁)によると、「基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、…外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」としているわ。 #seiji

2010-10-04 21:13:03
@Hisana_Houjou

つまり、外国人に保障される基本的人権というのは当該権利の性質がどうかが問題になるとしているわけ。そして、最高裁は地方選挙権について性質を検討したうえで、地方選挙権は外国人に与えても与えなくてもどっちでもいいよ、としたわけね。 #seiji

2010-10-04 21:13:18
@Hisana_Houjou

で、憲法15条1項の規定についてだけど「憲法15条の言う『固有の』権利とは、国民のみが『専有』する権利」ではなく、国民から「奪うべからざる権利」と解するべきとされているわ。(昭和28年3月25日法制局一発第二九号内閣総理大臣官房総務課長栗山廉平宛法制局第一部長回答) #seiji

2010-10-04 21:13:53
@Hisana_Houjou

まぁ、そもそも憲法の文言上から外国人に保障される人権について論ずるのは文言説って言ってほとんど影響力を持たない説なんだけどね。前述のマクリーン事件で最高裁が性質説を採用したし。 #seiji

2010-10-04 21:14:06
@Hisana_Houjou

そんなわけで、外国人の地方選挙権については憲法学的には許容説がほぼ通説的見解といえるわ。地方被選挙権は違憲かな。だから地方参政権といっしょくたに論ずるのはよくないわね。被選挙権と選挙権は切り離して考えないと。 #seiji

2010-10-04 21:14:33
@Hisana_Houjou

とりあえずしんどいからこの辺で。ツイッターって長文かけないから面倒ね。もっといろいろ論じようと思えばいくらでも論じられるんだけど、しょうがないよね。 #seiji

2010-10-04 21:14:54