批評とは何かについての東浩紀さんのつぶやき

ゼロ年代批評から、現在の批評への違和感、東さん自身の批評観について
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東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

朝起きたら @Faust_Editor_J との対談が決まっていたぜ。

2013-09-18 10:40:48
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

こんなタイトルはどうかな。→ 太田克史×東浩紀「ゼロ年代とはなんだったのか: 『ファウスト』を産み出した伝説の編集者×批評家タッグが語る「本当の」あの時代:ゼロアカ世代必見! 奇跡の対談! おれたちの戦いはいま始まったばかりだ!」

2013-09-18 10:41:30
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

どうもなんか昨日おれは酔っ払って痛いツイートをしたようだな。

2013-09-18 10:44:49
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

でもゼロアカ再生というかゼロ年代批評どうするか問題については、最近けっこうマジで考えていてー

2013-09-18 10:49:05
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

だから昨日いきなり爆発しちゃったんだけど。なんというか、これは震災とも関係あるのかもしれないけど、ぼく、ここ1-2年、すごい年取った感じがして、ロートルが若者に文句言っても醜いだけだから静かに距離だけ取ろうとか思ってたんだよね。宇野常寛さんとかあのあたりに対しては。

2013-09-18 10:50:51
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

しかし、いろいろぐるぐると考えた結果、そうやって距離取るのもそれはそれで無責任だし醜いことだなーという気がしてきたわけ。やっぱ、ぼくの本読んで感動しましたって批評の世界に入ってくれたひとはいるわけだから、彼らにはちゃんと答えないと。あたりまえのことだよね。

2013-09-18 10:52:31
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

でもそんなあたりまえのことができないくらい、あの「若手批評」の人たちの仕事には嫌悪感があったんだよね。メディアに寄り添って有名になりたいだけ。社会を変える、とか言ってるだけ。なんだろ、このひとたち、これが批評ならもうどうでもいいやーとか思っちゃってた。

2013-09-18 10:54:11
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

それで、批評家が批評家批判するほど空しいことはないので、もうそれなら「批評」の世界は宇野さんとかあそこらへんに任せて、ぼくとしてはさっさとフィールド変えてちゃんと世の中のためになる仕事したいと思って、福島第一観光地化計画とかやり始めた。

2013-09-18 10:57:18
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

でもこんどはその結果、ぼくが10年間かけて育ててきた「批評好き読者さんのコミュニティ」がバラバラになっちゃったんだよね。それはゲンロンカフェの集客なんかにも如実に表れていて、むーけっこうまずいなーと思っていたところだったのです。コミュニティに罪はないからね。

2013-09-18 10:58:49
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

だから、まあ、「老人の繰り言」とか若手編集者たちに悪口を言われるのを覚悟であのくだらない「若手批評」をきちんと斬り捨て、ちゃんとした批評の世界を再生する、というのがぼくの仕事なんだな、とうんざりしながら思いを新たにした、というのが昨日のツイートの主旨です。

2013-09-18 11:01:44
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

ちなみに、ぼくがここで「批評」と言っているのは、小林秀雄に始まり、江藤淳や吉本隆明を通って柄谷行人に至る、いわゆる文芸批評のことね。日本では批評は、基本的にこの「文芸批評」をコアにして成立してきた(これは日本の特殊事情)。

2013-09-18 11:23:28
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

多種多様な批評行為に一本軸を通していた「文芸批評」は文化史的にとても大事な存在なのだけど、その求心力が急速に衰えるのが70-80年代。90年代後半には社会学やサブカル批評にその位置を乗っ取られた。そしていまや批評がそういう「歴史的ジャンル」だということすら忘れ去られてる。

2013-09-18 11:26:08
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

彼は批評家ではないのでは。RT @kazumone @hazuma 古市さんに対しては、どの様にお考えでしょうか?

2013-09-18 11:26:37
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

この歴史を押さえないと、批評の凋落とか批評の再生とか言っても印象論にすぎなくて意味不明だと思うので書いておいた。ぼくが「批評家」と呼ぶのは、「評論家」とは違い、このような歴史性とジャンル性を押さえた存在です(これは別にぼくの勝手な命名ではなく、柄谷以来そういう区別になっている)。

2013-09-18 11:28:26
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

歴史性の有無は大事で、たとえば濱野智史の「アーキテクチャの生態系」が、ネットサービス紹介みたいな形式を取っていながら「批評」に分類されるのは、彼がそれを押さえているから。現代社会について語ればなんでも批評家ってわけにはいかないわけです(厳密な意味では)。

2013-09-18 11:31:30
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

優秀な方だと思います。RT @kazumone ゼロ年代社会学者としての古市さんの印象をお聞きしたかったのです。すいません。“@hazuma: 彼は批評家ではないのでは。RT @kazumone @hazuma 古市さん

2013-09-18 11:31:58
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

批評が歴史的なジャンルであるとはどういうことかというと、要は一定の「議論の蓄積」「発展」があるということです。戦後だけとっても、坂口安吾がこうで江藤淳がこうで柄谷行人がこうで、そして最近は……みたいな「押さえとくべき基本」がある。それをすっとばす批評は「感想」でしかない。

2013-09-18 11:36:53
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

これは別に教養主義がどうとかハイカルチャーがどうとかいうことではなく、批評家を名乗る以上、そりゃ押さえ解くべき「型」があるよねってことです。どのジャンルでも同じ。ただ、日本では「批評」は一子相伝的なところがあって、学問として体系化されていないので、その存在が外部から見えにくい。

2013-09-18 11:38:31
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

そういう状況のもとで、サブカル批評、社会学、ネット論壇がうわっと押し寄せて、いまや「若者文化をかっこよく解説する便利な言葉が批評」みたいに勘違いされてしまっている。いやいや、そりゃありえないでしょうw、というのがぼくの批評観です。

2013-09-18 11:41:14