ディオティマかく語りき エロスとイデアのヒミツの関係 -プラトン『饗宴』より-
- Hellenike_tan
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(承前)"ἄλλο"(他の)も同様で、"οὐδὲν"以降がそれに係ります。"σῶμα μετέχει"は「肉体が属する」。全体で「それが美しい個別の顔、美しい個別の手、その他肉体が属する部分の美しさとして見えることもない」となります。
2013-09-15 15:40:13【211aの続きから終わりまで】"οὐδέ τις λόγος οὐδέ τις ἐπιστήμη, οὐδέ που ὂν ἐν ἑτέρῳ τινι, οἷον ἐν ζῴῳ ἢ ἐν γῇ ἢ ἐν οὐρανῷ" (続きます)
2013-09-15 16:00:19(承前)"που ὂν ἐν ἑτέρῳ τινι"は英語の"where"に相当する"που"に導かれ、"ὂν"(~である)に"ἐν ἑτέρῳ τινι"(他のどこかに)が後続します。"ζῴῳ"、"γῇ"、"οὐρανῷ"はいずれも"ἐν"に続く与格型です。(続きます)
2013-09-15 16:05:15(承前)全体で「何らかの言説や何らかの技能でもなく、生物の中、地上、天界といった他のどこかにあるというものでもなく」となります。
2013-09-15 16:10:13【211bの冒頭】"ἢ ἔν τῳ ἄλλῳ, ἀλλ᾽ αὐτὸ καθ᾽ αὑτὸ μεθ᾽ αὑτοῦ μονοειδὲς ἀεὶ ὄν," …ようやくここまでたどり着きました…(続きます)
2013-09-15 16:30:16(承前)最初の"ἢ ἔν τῳ ἄλλῳ"は前段を受けて「他のところにも」としている箇所です。続く"αὐτὸ καθ᾽ αὑτὸ μεθ᾽ αὑτοῦ μονοειδὲς ἀεὶ ὄν"が、毎週のようにポストしている「イデアとは」の部分です。(続きます)
2013-09-15 16:35:15(承前)"καθ᾽ αὑτὸ"は"κατά ἑαυτό"が省略などを受けたものです。"ἑαυτό"は「自らを」という対格型です。"κατά"が対格支配なので「自らに従って」という意味になります。(続きます)
2013-09-15 16:40:14(承前)"κατά"の"ά"はエリジオンで落ち、"ἑαυτό"は"αὑτὸ"という形をとります。ここで、"κατ' αὑτὸ"となる訳ですが、エリジオンの後ろに続く母音が有息の場合、直前の子音字は帯気音に変化します。"κατ'"→"καθ'"です。(続きます)
2013-09-15 16:45:14(承前)次の"μεθ᾽ αὑτοῦ"も"μετά ἑαυτοῦ"で、"μετά"が属格支配のため「自らとともに」という意味になります。なお、この「自らとともに」は、「他のものを伴っていない」という意味を含んでおり、「自らのみとともに」という意味合いになります。(続きます)
2013-09-15 16:50:13【211bの続き】"τὰ δὲ ἄλλα πάντα καλὰ ἐκείνου μετέχοντα τρόπον τινὰ τοιοῦτον," (続きます)
2013-09-15 18:00:24(承前)小辞"δὲ"(しかし)が来ます。直前で対比した「普通の美」と「美のイデア」について、また前者に戻ることになります。"ἄλλα πάντα καλὰ"は「他の全ての美しいもの」。"μετέχοντα"は"μετέχω"の現在分詞能動態中性形複数主格・対格です。(続きます)
2013-09-15 18:05:14【211bの続き】"οἷον γιγνομένων τε τῶν ἄλλων καὶ ἀπολλυμένων μηδὲν ἐκεῖνο μήτε τι πλέον μήτε ἔλαττον γίγνεσθαι μηδὲ πάσχειν μηδέν." (続きます)
2013-09-15 18:30:17(承前)"γιγνομένων"は"γίγνομαι"(生み出す)の現在分詞中・受動態複数属格。"γιγνομένων τῶν ἄλλων"は「述語的用法」と解して「他のものが生み出す(ものの)」でしょうね。(続きます)
2013-09-15 18:35:13(承前)"ἀπολλυμένων"はἀπόλλυμι"(滅ぼす)の現在分詞中・受動態複数属格。これしか示されませんが、同じ構文の"γιγνομένων"に代入されるのは明らかです。直後に"μηδὲν"(何も~しない)と来ます。(続きます)
2013-09-15 18:40:15(承前)以下一転して否定文が続きます。"μήτε τι πλέον μήτε ἔλαττον"は「満ちることも減ることもない」。"γίγνεσθαι"(生み出すこと)は、"μηδὲ πάσχειν μηδέν"(何も受けることもない)が続きますから…(続きます)
2013-09-15 18:45:15(承前)"μηδὲν γίγνεσθαι μηδὲ πάσχειν μηδέν"(生み出すことも受けることもない)という大枠の構文に含まれるとみるべきでしょう。(続きます)
2013-09-15 18:50:13(承前)全体で「他のものが生み出すものと他のものから滅びるもののように、満ちることも減ることもなく生み出すこともなく何も受けることもない」となります。前半は「他の美一般」の話、後半は「美のイデア」の話です。
2013-09-15 18:55:15