ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/05

@DecimalBloat

「ふあぁ……」今日もtwitterをやってるうちに机で寝ていた私は、フォローもフォロワーも結構いてちょっとした有名人だ。でもふと見るとどっちも0になっていた。そうだ、アカウントを作ったばかりの私は、誰をフォローするか悩むうちにそのまま寝てしまったんだっけ…… #twnovel

重藤 貴志［Signature］ @Siqoqtaq

先に飲んでいた僕のグラスを奪い取り、君は一気に麦酒を飲み干した。大きく息を吐いて、何も言わず、怒ったような目でお代わりを注ぐ。疲れているのだろう。下手な言葉は蔑みや憐れみと受け取られかねない。バーテンダーに目配せし、もう一つのグラスをもらう。長い夜になりそうだ。 #twnovel

ひなたま @hinata_ma01

#twnovel 死んだ後、ちょっとした好奇心から三途の川で溺死してみた。目覚めるとそこは光に満ちた世界。「よくやったね。君は輪廻を抜けたんだ」遠くから優しい声が響く。「死後に再び死ぬのをクリア条件にしたけど、思いつかないもんだね。まだ千人もいないよ。おめでとう。じゃ、おしまい」

ふぅん @huxun_m

#twnovel 会議中に同僚の頭の上の電球が灯った。俺は立ち上がり右ストレートでそれを割る。馬鹿野郎、俺より先に思いつくんじゃねえ。上司の電球も灯るがすぐに叩き割る。電球が現われては灯り、俺は割る。俺の頭に電球は見当たらないが、こうやっていつも俺は会議の中心にいる。

雨之森散策 @t_amamori

ある日部屋の天井に小さな太陽が生れ、惑星を纏い次第に星系を構成していった。私は太陽をライターに使い粋な気分に浸っていたが日毎に成長する星系を見るにつれ眩い美しさに呑まれ、やがて太陽の周囲を回るようになった。そして時が過ぎ私に住まう小さな命は私を地球と名づけた。 #twnovel

とおる6th @windcreator

おやすみなさい。彼女はそう言って今日も赤表紙の日記帳を閉じた。何冊目なのだろう。彼女が過ごしてきた過去は日記帳に詰まっている。いつか、彼女はあの日記帳を読み返すのだろうか。それとも、いつまでも思い出として眠るのだろうか。僕は今日も彼女にゼンマイを巻かれて、歌う。 #twnovel

layback @laybacks

娘のあやは深い水溜りの上で自転車をこいでいた。後輪だけが水車のように水しぶきを飛ばしている。「あやちゃんやめなさい」「虹を作るんだもん」「あのね。虹は晴れてる時しかできないの」「できるもん」ふくれっ面。強情さは母親譲りだ。説得を試みる内、雲間から陽が射してきた。 #twnovel

こしいた @KoshiitaRider

かつて部屋から出なくても、仕送りさえあれば何不自由無く生活出来る環境をつくろうとした事がある。ヒキコモリにとって天国のような場所を。そうして出来た箱部屋を籠城生活と龍宮城とかけて、籠宮城と名付けた。その名の通り、時間ばかりが過ぎていったのは言うまでもない #twnovel

若杉朋哉（わかすぎともや） @WakasugiTomoya

自分探しする。啖呵を切り、早八年。完全に自分を見失ってる。毎日コンビニ行く。お弁当温めますか―少し熱めで。一日の会話それだけ。バイトのシフト、店長より頭に入ってる。ショーウィンドーに映る自分はよく見えるから家の鏡はもう見ない。母さん、実は七年間、近くに住んでた。 #twnovel

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 村境の四辻に佇む淡い影は幼児ほどの背丈で、通りかかる者は皆すすり泣く声に足を速めた。あれは母を求める声だ、と女たちは口を揃えはするが、行って抱きしめることなど到底できるはずもなかった。棒をもって振り払った血気盛んな男もいたが、無数の蟻に身体を喰われ死んだ。

泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel タイピング・ジャンキーズは朝に弱い。夜中に激しく指を動かしていればなかなか寝付けるものではない。ブログを更新し、ツイッターで呟き、掲示板に書き込み、小説執筆に流れ着く。指が動く限り書き続ける。彼らを、いや、僕らを中毒から解放する手段は今のところ見つかっていない。

@K_Ichida

#twnovel 自分の肉体を使って音楽を演奏する男がいた。腹を叩いたりして、うまく音階を出す。やがて老いて死んだ。「もうあの音楽も聴けないんですね」古い友人が言うと、男の息子は首を横に振った。「今でも聴けますよ」その時、かすかな風に男の骨で作った風鈴が鳴った。

@K_Ichida

#twnovel 新型エアコンを見ていたら不思議なボタンに気がついた。店員に尋ねてみる。「それは独居老人用機能です。生存反応がなくなると自動的に通報するんですよ」「なんでエアコンにそんな機能がついてるんです？」「通報と同時に強冷房が入るんです、腐らないように」

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 浜辺に妙ちくりんな男が呆けていた。船の帆が破れて帰れなくなったという。帆ぐらい繕ってやると申し入れたのが運のつきだった。私は男と、帆を直すための科学技術を進歩させ続けるはめになった。500年も一緒だと情が移り結局は夫婦となった。結婚式は男の星で挙げる予定だ。

井上マサキ @inomsk

「ドラえも～ん、ジャイアンに勝つ道具出してよ～」「しょうがないなぁ…♪相撲部ライト～」「どっかで聞いたような…」「このスイッチを押せば力士がドンドン出てくるんだ」「へ～ありがとう！」「ちなみにお試し版だから力士は一人しか出ない」「ライトってそういう意味！？」 #twnovel

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。獲物を求めて地下街をさまよううちに、どこをどう間違えたのか見知らぬ地下道に入り込んでしまったらしい。レンガでつくられたかなり年代ものの地下道は分厚い鉄の扉で行き止まりになっていた。「どうやらこの街には俺の知らない秘密がまだまだあるらしいな」 #twnovel

rime @prhymethyme

私だって仕事の合間合間に手を休めて、別室でコーヒー飲みながらツイッターとかしたいぜ。喫煙者が仕事の合間合間に手を休めて、会社の喫煙室でコーヒー飲みながら携帯でメールしたりするのが許されているんだから、非喫煙者には非喫煙室を作ってくれたっていいと思うよ #twnovel

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel 社会が嫌になり、山へ篭もった。自然の中で充実の日々を送る。５年ほどの時が経ち、文明の発展を見たくなった。髪はボサボサで、服はツギハギのまま山を下る。しかし街は暗く、私と同じような格好をした人ばかりがいる。この数年で何があったのか知るのも怖く、私は山へ戻った。

ignis09 @ignis09

#twnovel 畑に吊るしたCD-Rが育っているという、母の一報を聞き田舎まで帰ってきた。成程、大きく育った円盤が地面に足元を埋めて風にゆらゆら揺られている。光合成でもしたのかと眺めていると、突風に吹かれこちらに倒れてくる。ドスンと大きな音を立て、CD-Rの中心でへたり込んだ。

@wakegiorino

#twnovel 彼はへたくそなピエロだった。子どもの頃から憧れたピエロ。サーカスに入って猛特訓にも耐えたのに、彼のピエロは評判が悪い。彼は毎日、精一杯の笑顔で舞台を務めた。うけなかった。ある日、笑顔の彼に大拍手が贈られた。風邪で高熱の舞台だった。以後彼はピエロの本質をつかんだ。

140字物語 @shortshortshot

朝起きると私に超能力が身に付いていた。手を触れずに物を動かす能力、いわゆるテレキネシスというやつだ。早速使ってみる。イスもカバンも。ふわふわ。猫も金魚も。ふわふわ。面白くて色々動かしていたが突然むなしくなった。何やってんだろ私。本当に動かしたいのは彼の心なのに。 #twnovel

佐木ささめ @sakiandu

#twnovel いつからだろう？私が抱きしめるだけの体が細い腕が、きゅっと抱きしめ返すようになったのは？どうせ遠くない将来、私の手を離れて他の女の手を取るであろう期間限定の恋人は、今はまだ私だけに抱擁の温もりを与えてくれる。「ママ大好き」あら、私なんか君を愛してるのよ？

佐木ささめ @sakiandu

#twnovel いつもの口調を封印した貴方は難しい顔でPC画面と睨めっこ。その眉間に皺が寄っているのが勿体なくて、そっと近寄りその皺に唇を落とすと、貴方は眼を点にして固まってしまう。たまには私だって貴方を振り回すのよ？未だ動けない夫にコーヒーを淹れる為、私はヒラリと立ち去った。

ゆず @nanakoro8

#twnovel 私は60年間この部屋に居る、月2回ネジを回さねば止まってしまう古い造りだがそれを良いと言ってくれる主が居た。その主も20年前に他界し、今では奥方が私のネジを巻いてくれていたが、御老体の身には辛かろうと私の下した判断は「あら？　とうとうこの時計も壊れちまったかい」

ゆず @nanakoro8

#twnovel 学生「屏風から虎が抜け出して暴れるので退治して欲しい、と言われた坊主は、わかりました、では虎を出してください。と言ったそうです」　面接官「ほう？」　学生「ですから、この会社に入ってどうなりたいか。以上の質問は私が入社した後にお答えさせていただきます」