佐和隆光『市場主義の終焉』まとめ

佐和隆光『至上主義の終焉』岩波新書、2000まとめ
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H.Takano @midwhite

セーフティネットには公的なものと私的なものがある。ベンチャービジネスなど勝ち目の乏しい競争に敢えて挑戦する人は、別に公的セーフティネットを頼りにしているわけではなく、親の援助や頼れる先輩など私的なセーフティネットを頼りにしている。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 18:21:19
H.Takano @midwhite

イギリスの政治思想史家ジョン・グレイは自由な市場経済を「自然」とは見なさず、むしろ権力と国家によって社会工学的に設計されたものに過ぎない主張する。彼によれば市場は民主的討議と政治的修正から遮断されねばならず、民主主義と自由市場は対立する。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 19:13:50
H.Takano @midwhite

能力主義下の自由競争における敗者の数は、勝者よりも圧倒的に多い。一般に競争の参加者が増えるほど敗者の数は増えるため、参加者が増えるほど個々人が勝者となる確率は低下する。競争の敗者は実際問題、社会の底辺に沈澱し、惨めな後半生を余儀なくされる。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 19:32:08
H.Takano @midwhite

さらに能力主義の原則は飽くまでも「原則」であり、必ずしも原則通りに機能するわけではない。他人よりほんの少し天賦の才に恵まれた故に破格の報酬を得る者もいれば、天賦の才に恵まれているにも関わらず、不運が重なったために低い報酬に甘んじる者もいる。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 19:35:21
H.Takano @midwhite

その上、ギデンズによれば「能力主義社会で特権を手に入れた人は、必ず自分の得た特権を子どもに贈与しようとする。こうして能力主義そのものが途絶えてしまう」。このように能力主義社会の孕む自己矛盾こそ、ケインズ主義が所得再分配を推奨する理由である。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 19:40:38
H.Takano @midwhite

ギデンズの定義によれば、市場主義と社会主義を止揚する第三の道とは「包摂を平等、排除を不平等と考える」。これからの「ポジティブな福祉国家」は、資金ではなくリスクを共同管理する。リスクへの挑戦に報償を与え、それに失敗した人へは補償措置を講じる。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 20:40:17
H.Takano @midwhite

グローバル化は一方で国境を超える動きを生み、他方で国内の地方自治を推進するという双方向性を持つ。ジョン・ネズビッツはこれをグローバル・パラドックスと名付け、「世界経済が巨大化するほど最末端の活動組織が勢いを増し、強力化すること」と説明した。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 21:23:41
H.Takano @midwhite

現在の日本では、統治の権限が国家に集中しているが、グローバル化の進展は権限を双方向に分散させるだろう。一方ではグローバル市場経済の管理を司る国際機関に国家の権限の一部を委任する。他方では国家の権限の一部を地方自治体やNGOに委譲する。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 21:28:25
H.Takano @midwhite

グローバル化の双方向性によって国家が所管するには大きすぎる社会経済的問題や、国家が所管するには小さすぎる政治経済的問題が次々に提起される故に、権力の上方統合と下方拡散は進行する。権力は前者のために上方統合を、後者のために下方拡散を迫られる。(佐和隆光『市場主義の終焉』2000)

2013-09-24 21:33:28
H.Takano @midwhite

【読了】『市場主義の終焉―日本経済をどうするのか (岩波新書)』佐和 隆光 ☆5 http://t.co/pq58HpCfam #booklog

2013-09-24 21:47:09