モーサイダー!~Motorcycle Diary~Episode of Summer X~

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IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「あなたの伴侶としては当然ですわ」 「伴侶にした覚えはない」 「ひどい!  あの真夏の夜! わたくしのあんなところやそんなところまで、何もかも見たくせに! 志智ったら、わたくしとは遊びだったの!?」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:21:50
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「お、おまっ……こんなところで何言ってるんだ!!  あああ、ティックだっているだろうが! いや、違う。おやっさん、そういうんじゃないからな!  これは━━」  よよよ、とふざけた演技で泣き崩れてみせる亞璃須。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:22:02
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 そして顔を真っ赤にして硬直するティックと、離婚調停へ臨む浮気男を見送るときの表情で首を振る『おやっさん』へ、志智が必死の抗弁を試みようとしたその時だった。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:22:14
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「……あ」  いつの間にか、川野駐車場へ一台のスーパースポーツマシンが滑り込んできていたことに、志智は気づく。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:22:24
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(あの時の……!!)  忘れられるはずもなかった。  志智にとっては、2ストロークマシンの対抗する突破口を教えてくれた人物であり、そして4ミニ軍団に勝利したまさにその瞬間、圧倒的な格の違いを見せつけられたマシン。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:22:34
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 すなわち、『深紫(ディープパープル)のYZF-R1』とその主がそこにいたのだ。 「やあ。三鳥栖志智(みとす しち)……くん、だよね」 「えっ」  そして、ヘルメットを脱いだ谷川淳が、当然のように自分の名前を呼んだことに、志智は驚愕する。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:23:06
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「あ、あの、どうして俺の名前を……?」 「あはは、そうか知らないんだ。  そこにいる吉脇さんと僕はちょっとした仲でね……キミのことは、ぽろぽろ聞いていたんだ」  振り向くと吉脇は、我が意を得たりという顔で微笑んでいる。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:23:22
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「僕は谷川淳だ。自己紹介がずいぶん遅れたね。今後ともよろしく」 「は、はい……どうも。三鳥栖志智です」 「くすっ。もう知っているさ」  谷川と握手を交わす志智は、なぜ自分が異常な緊張を感じているのか、よく分からなかった。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:23:46
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 尊敬に値する技量を持った相手だからだろうか。  それとも実年齢と不相応なほど若く見える━━さらには中性的な谷川の顔立ちが、何かを志智に与えるのだろうか。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:23:54
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「それと、そちらのかわいらしいお嬢さんもね。もっとも、すでに知っているのはお互い様かな」 「伝説の走り屋さんと対面できて光栄ですわ。  ところで大多磨周遊みたいな場所では、ビッグモタードこそ最速だと思いますけれど、いかが?」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:24:06
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「くくくっ、強気なお嬢さんだ。  こっちもその気になってしまいそうだけれど、あいにくと今日はそういう用事じゃなくてね。  志智くん。キミ、すこし前にVTR250と走らなかったかい?」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:24:18
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「あ、は、はい、走りました、けど」 「緊張しなくていい。……ん、そうだ。落ち着いて」  谷川は志智の肩に手を置くと、まるで宗教画の女性のような笑みを浮かべた。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:24:30
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「もちろんキミの意志次第なんだが、あのライダーと……もう一度、走ってみるつもりはないかい?」 「えっ」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:24:43
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「コースはここから登りと下りの複合……そうだな、月夜見第一の折り返しでいいと思う。  なあに傾斜がキツいうちはスパーダが有利さ。そいつのエンジンはよく仕上がっているからね。勝負はキミが下りでいかにリードを守るかだな……」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:24:59
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「は、はあ……あの、俺は構いませんけど」 「よーし、決まりだ。来週この時間でいいかな?  何しろ相手は仕事が不定休でね。日曜日は厳しいんだけども」 「はい、俺はそれで」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:25:15
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「OK。スムーズで助かるよ。  じゃ、吉脇さん。何かあったら連絡します」 「ええ、どうぞよろしく。我が盟友」 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:25:26
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「はははっ」  何がそんなに楽しいのだろうか。夏の終わりにしては厳しい日差しのせいか。それとも、山肌に並んだ猿たちの顔がおかしいのか。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:26:00
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 谷川淳が悠然と『深紫のYZF-R1』にまたがり、走り去ったそのあと、日原院亞璃須(にっぱらいん ありす)はぶつかるような勢いで、志智の背中に抱きついた。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:26:21
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「志智。  いちおう確認しておきますけれど、あなた同性愛の趣味も近親相姦の性癖もありませんわよね?」 「……お前が何を言ってるのか、カケラほどもわからない」  志智の感想は掛け値なしの本音だった。 #mor_cy_dar

2013-09-25 12:26:36
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2013-09-25 12:26:58
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

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2013-09-25 12:27:08