銀ねずの和歌タイム

平成25年10月11日に始まりました。
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銀ねず @ginn_nezz

【1】花の色は今日ぬぎかへついつかまた苔の衣にならむとすらむ(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「更衣」。玉葉集入撰。「更衣」は「衣替え」のことで、要するに夏が始まるのです。でも「今日から夏だ!」という清々しさよりも春が終わったことを惜しむのが王朝和歌。

2013-10-24 00:36:02
銀ねず @ginn_nezz

【2】花の色は今日ぬぎかへついつかまた苔の衣にならむとすらむ(藤原俊成) #waka #jtanka 「花の色は今日ぬぎかへつ」は、春着を脱いで夏の衣に着替えるということ。暑いからね。でも俊成卿はさらに「苔の衣」を出してきました。「苔の衣」とは…僧衣、つまり出家です。

2013-10-24 00:36:14
銀ねず @ginn_nezz

【3】花の色は今日ぬぎかへついつかまた苔の衣にならむとすらむ(藤原俊成) #waka #jtanka 何度も何度も書きますが27さいなのに! ということで述懐バリエーションその2「出家」から夏歌が始まります。今年の春は「人生の春」が来なかったので夏を超えて一気に出家まで。

2013-10-24 00:36:25
銀ねず @ginn_nezz

【4】花の色は今日ぬぎかへついつかまた苔の衣にならむとすらむ(藤原俊成) #waka #jtanka でも本当のところは、出家する前に出世してやる! という若々しい宣言なのだと思いますよ。あはれとおもへみよしののはな。(了)

2013-10-24 00:36:34
銀ねず @ginn_nezz

【1】播磨潟藤江の浦にみつ潮のからくて世にも沈みぬるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「藤」。お題で「藤」とあったら藤の花を詠むところ、「藤」の字を自由に詠み込むという題詠blogみたいな歌詠みやがった! 藤原氏の「藤」なので、気が引けたんでしょうかね。

2013-10-22 15:03:57
銀ねず @ginn_nezz

【2】播磨潟藤江の浦にみつ潮のからくて世にも沈みぬるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 「藤江の浦」の海水がとりわけしょっぱいというのは寡聞にして知らないのですが…万葉集以来の歌枕で「からく(辛く≒つらく)」を導くための序詞として持ち出しています。

2013-10-22 15:04:09
銀ねず @ginn_nezz

【3】播磨潟藤江の浦にみつ潮のからくて世にも沈みぬるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 別に満ち潮が塩辛いから自分が沈滞するわけでなく、塩辛い満ち潮のように我が身に覆い被さる苦しみによって浮かび上がることができないでいる、ということです。

2013-10-22 15:04:24
銀ねず @ginn_nezz

【4】播磨潟藤江の浦にみつ潮のからくて世にも沈みぬるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 単に自分がつらい思いをしていることを伝えるだけでなく、序詞を駆使できる歌人であることをきっちりアピール。でも「藤」の使い方どうなのよ。(了)

2013-10-22 15:04:34
銀ねず @ginn_nezz

【1】埋木となりはてぬれど山桜をしむ心は朽ちずもあるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「桜」。何度も書きますが27さいなのに「埋木(うもれぎ)」。自分は埋もれ木のようになってしまったけれど、「山桜を惜しむ心」は朽ちてはいませんよ。

2013-10-20 02:04:22
銀ねず @ginn_nezz

【2】埋木となりはてぬれど山桜をしむ心は朽ちずもあるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 「山桜を惜しむ心」は、たとえば『風流を愛する心』と受け取ってもいいと思いますが、高い山に咲く花とすれば雲の上に咲く…つまり宮中での出世ということだと思います。

2013-10-20 02:04:32
銀ねず @ginn_nezz

【3】埋木となりはてぬれど山桜をしむ心は朽ちずもあるかな(藤原俊成) #waka #jtanka 俊成卿の若い頃は和歌がギリギリ生活とともにあったので『風流を愛する』はまだちょっと早い気がします。やっと27さいらしい感じの歌が出てきた…。あきらめてないのがいいです。(了)

2013-10-20 02:04:43
銀ねず @ginn_nezz

【1】春しらぬ越路の雪も我ばかりうきに消えせぬ物はおもはじ(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「残雪」。玉葉集撰入歌。基本的に雪は春には融けて消えてしまうものですが、人生の春(=出世)を知らない私ほどに死んでも死にきれないような憂いはしないだろうっていう。

2013-10-18 03:41:21
銀ねず @ginn_nezz

【2】春しらぬ越路の雪も我ばかりうきに消えせぬ物はおもはじ(藤原俊成) #waka #jtanka 雪は雪でも「越路の雪」という豪雪地帯を盛ってきたのがいいじゃない。「雪」の深さと「うき(憂き)」の深さと、春が来ないからすごいことになってます。

2013-10-18 03:41:31
銀ねず @ginn_nezz

【3】春しらぬ越路の雪も我ばかりうきに消えせぬ物はおもはじ(藤原俊成) #waka #jtanka 「越路の雪」はすでに万葉集にあります→【み越路の雪降る山を越えむ日は留まれる吾をかけて偲はせ/笠金村】。万葉以来の越路を扱った数々の和歌により王朝歌人は越路の雪を詠めるのです。

2013-10-18 22:36:43
銀ねず @ginn_nezz

【4】春しらぬ越路の雪も我ばかりうきに消えせぬ物はおもはじ(藤原俊成) #waka #jtanka それにしても融けて消える雪の気持ちを忖度するってどうなんでしょう。なんという自由自在。(了)

2013-10-18 22:37:00
銀ねず @ginn_nezz

【1】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「若菜」、新古今集撰入歌。「若菜」は、現代では七草粥として残っていますが、これも新春最初の子日に食したようです。松引き抜いて、若菜を摘んで、という宮中行事。

2013-10-15 14:07:02
銀ねず @ginn_nezz

【2】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka ただこれも子日の松と同じく貴族じしんは摘みに行かなくなってました。召使いに摘みに行かせておいて【君がため春の野に出て若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ/光孝天皇】とやります。

2013-10-15 14:07:25
銀ねず @ginn_nezz

【3】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka 子日も若菜も、どちらかというと工夫しがいのない題で、同じ春歌でもたとえば梅や桜のように、勅撰集に大量に掲載されることはありません。そういうしきたりというか仕様というか。

2013-10-15 14:07:36
銀ねず @ginn_nezz

【4】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka 俊成卿のこの歌が載った新古今集では紀貫之と並べて掲載されていて、さながら「古」と「今」の第一人者といった扱い。さすがは新古今、さすがは後鳥羽院。さらにさすがは俊成卿。

2013-10-15 14:07:44
銀ねず @ginn_nezz

【5】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka 袖が濡れるのは涙が落ちることですから、無為に「年をつむ(老いる)」ことを嘆くわけです。27さいなのに! でも太宰治のデビューは『晩年』でしたから、通じるものがあるのかも。

2013-10-15 14:07:52
銀ねず @ginn_nezz

【6】沢におふる若菜ならねどいたづらに年をつむにも袖はぬれけり(藤原俊成) #waka #jtanka 哀れを誘うという意味では述懐百首のなかでもまだ穏健(というかマシ)な作品で、ほんと、俊成卿は自由自在。代表作にはならないけど佳品だと思います。特に初句六音がいい。(了)

2013-10-15 14:08:00
銀ねず @ginn_nezz

【1】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首「子日」。「子日」は「ねのひ」と読みます。新春最初の子日は宮中行事で、こぞって野辺に出掛けて若い松の木を根ごと引き抜くのだそうです。干支の最初の「子」と千歳の松の組合せ。

2013-10-14 20:01:04
銀ねず @ginn_nezz

【2】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka ただ奈良時代ならいざ知らず、後代になると貴族は召使いに小松を取りに行かせて自分たちは宴席やってたみたいです。新春まだ寒いし。要するに「子日」はおめでたい歌なのです、が。

2013-10-14 20:01:13
銀ねず @ginn_nezz

【3】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka 解説した通り子日には若い松を引き抜くのですが、この歌では「古い松の枝のような自分(27さいなのに!)は子日になっても引き抜いて(出世させて)もらえない」と述懐しています。かなしい。

2013-10-14 20:01:21
銀ねず @ginn_nezz

【4】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka 「春日野の松」について。和歌で「春日(かすが)」が出てきたら、まず春日大社と思ってください。藤原氏の守護神で、神域に神木として伝説の松の木がありました。

2013-10-14 20:01:30
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