銀ねずの和歌タイム

平成25年10月11日に始まりました。
3
前へ 1 ・・ 5 6
銀ねず @ginn_nezz

【5】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka その神木の、根でも幹でもなく、枝。かつて栄えた藤原氏の末裔である自分を、そんなふうに卑下する。卑下ではなく現実だと俊成卿に言われそうですが。

2013-10-14 20:01:37
銀ねず @ginn_nezz

【6】春日野の松の古枝のかなしきは子日にあへど引く人もなし(藤原俊成) #waka #jtanka とりあえず述懐バリエーションその1、藤原氏の末裔である自分を見つめる、が二首めに来ました。しかしおめでたいはずの子日がこんなことになってしまうとは。(了)

2013-10-14 20:01:45
銀ねず @ginn_nezz

【1】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka 述懐百首『立春』。俊成卿27さい、述懐百首は読んでると非常につらいです。官位は上がらないし、不遇のわが身をかこつ歌がこれでもかと並んでいますよ。

2013-10-13 17:46:29
銀ねず @ginn_nezz

【2】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka 「こぞ」は「去年」。二句「暮れにきと思へば」の「思」は「も」と読んでください(くれにきともへば)。去年も何も変わらずに暮れたし、今年も変わらないから立春が全然嬉しくないと。

2013-10-13 17:46:39
銀ねず @ginn_nezz

【3】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka 俊成卿の「述懐百首」は、私個人としては和歌史の一大事件だと思っています。だって和歌はもともとコミュニケーションツールで、自己の境遇を見つめるのは漢詩の役目でしたから。

2013-10-13 17:46:48
銀ねず @ginn_nezz

【4】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka といっても述懐歌の始祖が俊成卿というわけではなく、「堀河百首」という中世和歌のスタンダード百題にことよせて述懐歌を詠みきったことがすごいのです。相当つらい試みだと思います。

2013-10-13 17:46:56
銀ねず @ginn_nezz

【5】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka 問題は俊成卿がなぜそんな、誰もやったことのない、つらい試みをしようとしたのか。結果としてはこの試みが契機となって崇徳院という相互理解者を得ることになったわけですが。

2013-10-13 17:47:04
銀ねず @ginn_nezz

【6】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka 不遇の時期を冷静に見つめる。しかも言いっぱなしにせず堀河百首という秩序に従って。すでに乖離を始めていた歌人の生活と表現を、一致させようとする試み。

2013-10-13 17:47:12
銀ねず @ginn_nezz

【7】こぞもさて暮れにきと思へば春たつと聞くよりかねて物ぞ悲しき(藤原俊成) #waka #jtanka これが俊成卿の人生の「底」であり、表現の基盤になったと私は思うのです。(了)

2013-10-13 17:47:21
銀ねず @ginn_nezz

【1】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 同百首。俊成卿は無技巧な歌を詠んでも「おっ」と思うようなの作るし、技巧的なの詠んだら詠んだで舌を巻くようなの作るしで、何というか、自由自在です。

2013-10-12 18:26:32
銀ねず @ginn_nezz

【2】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 掲出歌はとにかく「津の国のこや」をバカバカしいと思わないことが重要です。「こや」は掛詞で伊丹市にある「昆陽(こや)」という地名と『これこそ!』とか『これは!』の「こや」。

2013-10-12 18:26:41
銀ねず @ginn_nezz

【3】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka それから「あしで」。これは「葦手書(あしでがき)」という、今で言ったらギャル文字みたいなのが流行っていたそうですよ。要するに葦手書で書かれた手紙と思ってください。

2013-10-12 18:26:50
銀ねず @ginn_nezz

【4】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 津の国(摂津)は葦といっしょに詠まれることが多いです→【難波潟みじかき葦のふしの間もあはでこのよをすぐしてよとや(伊勢)】などなど。さて核心へ。

2013-10-12 18:26:59
銀ねず @ginn_nezz

【5】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka この歌の成立は百首歌なので題詠です。お題は『見手跡恋(手跡を見る恋)』、思い人の筆跡を見るという、えらく限定されたシチュエーションです。昔のひとはかなり無茶やってます。

2013-10-12 18:27:07
銀ねず @ginn_nezz

【6】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 『(私の心を)かき乱すなんてもんじゃない! これこそがあの人の書いた文字(和歌)かと思うと!』と、女性から流行りの葦手書による返歌をもらった男の喜びがこんな風に。

2013-10-12 18:27:15
銀ねず @ginn_nezz

【7】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 恋歌に技巧を使うのは優れた歌詠みだということを相手に伝えるため。でも俊成卿の時代にはすでに題詠でここまでやってました。研鑽しあう歌人仲間のために、技巧を詰めこむ。

2013-10-12 18:27:23
銀ねず @ginn_nezz

【8】かきみだす心地こそすれ津の国のこやその人のあしでと思ふに(藤原俊成) #waka #jtanka 俊成卿22さい、才気煥発といった感じ。「津の国のこや」、このドヤ顔感には正直参りましたよ。(了)

2013-10-12 18:27:31
銀ねず @ginn_nezz

【1】いとかくや過ぎにしかたは恋ひざりしぬる夜もありて夢に見えしは(藤原俊成) #waka #jtanka 同百首。「いとかく『や』…恋ひざり『し』」まで疑問(反語でもいいかも)の係り結び。「こんなにも、昔の私は(あの人を)恋しく思わなかったのだろうか、いや、そんなことはない」。

2013-10-11 16:09:18
銀ねず @ginn_nezz

【2】いとかくや過ぎにしかたは恋ひざりしぬる夜もありて夢に見えしは(藤原俊成) #waka #jtanka 下の句『昔は寝る夜もあって夢にまで見てたじゃん』…ということは、今の私は寝ることも出来ず恋に悩んでることになります。縁語や掛詞を使わずにここまで技巧的に詠める俊成卿。

2013-10-11 16:10:11
銀ねず @ginn_nezz

有明の飽かで明けゆく空よりもとどめまほしき夕月夜かな(藤原俊成) #waka #jtanka 同百首。『(恋人が帰ってしまう)明け方の空よりも、(これから恋人がやってくる)夕方の月をずっと眺めていたい』、俊成卿はもちろん女性の立場で詠んでいるわけで、22さいですでに名女形だね。

2013-10-11 15:29:17
銀ねず @ginn_nezz

春駒の雲に入りぬと見えつるは野辺の桜の花ざかりかも(藤原俊成) #waka #jtanka 木工権守為忠朝臣百首。俊成二十二歳。なんか、若いね。かっけー。

2013-10-11 15:20:12
前へ 1 ・・ 5 6