超高齢者肺炎診療の方向性は?~寺本先生による誤嚥性肺炎講演会&第13回呼吸器感染症フォーラム~

超高齢者肺炎に関連した2つの講演会のレビューです.
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⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

【講演会Rev】この他にも,質量分析機器MALTI-TOFMS(Moussaoui M, et al. CMI 2010)は菌株相同性によるアウトブレイクの検出,耐性因子の検出,混合感染の同定が可能.フローサイトメトリーのセルソーターFISHMAN-Rは貪食像を高感度で検出する

2013-10-20 12:19:40
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【講演会Rev】また,我々は菌ごとに匂いがあることを経験的に知っているが,この匂いを検出する電子鼻であるガスクロマトグラフィーが開発されている(JCM 2010;48:4235-8/COPM 2012)

2013-10-20 12:22:11
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【講演会Rev】セッションⅡ:「薬剤耐性菌肺炎診断:分離菌と起炎菌の鑑別は可能か?」MRSAについて,藤本卓司先生(市立堺病院総合内科部長).大阪の感染症の病院といえば市立堺病院.フォーラム初登場.

2013-10-20 12:27:05
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【講演会Rev】黄色ブドウ球菌は市中肺炎の原因微生物としては頻度が低い.海外からの報告は保菌を含んだデータのため水増しされている可能性がある.倉敷中央の石田先生の報告では前向き観察研究で市中肺炎のうち黄ブ菌は2.1%と報告している(Chest 1998;114:1588)

2013-10-20 12:30:43
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【講演会Rev】市立堺病院の検討でも小規模研究ではあるが,市中肺炎では黄ブ菌の頻度は6%(第48回日本呼吸器学会).一方,院内肺炎においては神戸大学の岩田先生の報告で黄ブ菌が38.2%(MRSA 34.0%+MSSA 4.2%)と報告されている(JIC 2012;18:734).

2013-10-20 12:34:13
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【講演会Rev】真のMRSA肺炎の頻度はどれほどであろうか?上下気道からMRSAを検出したらそれはMRSA肺炎か?MRSA肺炎の診断は難しく,上気道定着をMRSA肺炎と誤診されやすい.確実に下気道から得られた検体からMRSAを検出してもMRSA肺炎とは限らない

2013-10-20 12:41:07
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【講演会Rev】気管挿管,気管切開,慢性呼吸器疾患などでは,肺炎を発症していなくても白血球とともにMRSAが多数存在し,貪食像さえも見られることがある.定着したMRSAが気管支局所の炎症を引き起こしているためであり,グラム染色の貪食像がすべてではない

2013-10-20 12:43:09
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【講演会Rev】定量培養,半定量培養もMRSA肺炎を診断する根拠とはならない.単なる定着でも菌量が多いことはよくあり,菌量が多いからといってMRSA肺炎を診断できない.逆に,培養途中の情報として培地上にMRSAのコロニーを認めなければMRSA肺炎を否定することができる.

2013-10-20 12:46:08
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【講演会Rev】喀痰グラム染色は海外の多くの研究でその有用性が否定されている.しかし,これらの報告はグラム陽性か陰性か,球菌か桿菌かの4パターンしか見ておらず(GPC-clusterやGPC-diplomaなどがない)極めて雑な報告ばかりで,これをもって有用性を否定すべきではない

2013-10-20 12:50:42
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【講演会Rev】補足:米国ではグラム染色が重要視されておらず,サンフォードガイド(熱病)はグラム染色による原因菌絞り込みが全く考慮されていない.このためサンフォードガイドばかり参照していると過剰カバーにつながり耐性菌を増やしかねないので,研修医はグラム染色を見る癖をつけましょう

2013-10-20 12:53:22
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【講演会Rev】グラム染色でGPC/GNC/GNR/GPRの4パターン分類しか考慮しない場合の人工呼吸器関連肺炎での有用性は海外報告のメタ解析で感度79%,特異度74%(CID 2012;55:551-61).より細かい形状パターンを組み合わせれば精度は上がる.

2013-10-20 12:58:37
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【講演会Rev】良質の気道分泌物のグラム染色で白血球とともにGPC-clusterが多数あり,有意な他の菌が見られず,かつ貪食像があり,症状・徴候・胸部レントゲンで肺炎を示す所見がそろえばMRSA肺炎の可能性が高まる.このような総合評価が必要である.

2013-10-20 13:01:07
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【講演会Rev】グラム染色の検体の質を上げる工夫がある.唾液が大半で膿性部分が少ないときは,生食を加えてスポイトで唾液を除く操作を3-4回行う.さらに紙の上にだし,ここが膿だろうというところをすくいあげる.プレパラートでは薄く膜状に内から外へ広げていく.

2013-10-20 13:03:53
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【講演会Rev】薬剤耐性菌肺炎診断:分離菌と起炎菌の鑑別は可能か?」緑膿菌について,宮下修行先生(川崎医科大学総合内科学1准教授).宮下先生はマイコプラズマやクラミドフィラ,百日咳の方が専門というイメージだったので緑膿菌について解析するのはちょっと意外

2013-10-20 13:06:57
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【講演会Rev】NHCAP治療区分C群の患者においては緑膿菌を考慮した抗菌薬がガイドラインで推奨されているが,C群の患者に抗緑膿菌活性のない抗菌薬を使用しても81%が治癒している.真の緑膿菌肺炎はどのくらいであろうか?

2013-10-20 13:12:58
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【講演会Rev】緑膿菌などの耐性菌はNHCAPや院内肺炎で重要な原因菌とされ,ATS/IDSAはリスク因子を有するなら耐性菌をカバーする広域抗菌薬併用療法を推奨しているが,逆に予後が悪化した報告がでている.緑膿菌をカバーした現在の抗菌薬推奨が本当に正しいのか議論されている

2013-10-20 13:15:49
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【講演会Rev】耐性菌リスク因子があればカバーするのではなく,各リスク因子をスコアリングして合計点数のカットオフ値を定めた方がよいとする報告がでてきている(ArIM 2008;168:2205/CID 2012;54:193-8/CID 2012;54:470-8)

2013-10-20 13:18:27
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【講演会Rev】本邦の市中肺炎+NHCAP1413例の解析で,入院歴,以前の抗菌薬使用,胃酸抑制薬,免疫不全,経管栄養,歩行不能などの耐性菌リスク因子をスコアリングすると耐性菌へのAUROCは0.79であった(AJRCCM 2013, PMID:23855620)

2013-10-20 13:24:29
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【講演会Rev】さらにこの本邦の報告では,耐性菌リスクはスコアリングすると市中肺炎とNHCAPで同等という結果が得られ,NHCAPガイドラインの内容とは異なる結論となっている.耐性菌リスクをより正確に評価することが求められ,本邦での肺炎治療指針の変更の必要性が問われている.

2013-10-20 13:28:20
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【講演会Rev】近年,耐性菌リスクを有する肺炎症例のすべてに必ずしも併用療法を行う必要はないという意見がでてきている(Curr Opin Infect Dis 2009;22:316-25).CAP,NHCAP,HAPの分類は必要か?アルゴリズムで1つにまとめられるのではないか?

2013-10-20 13:31:56
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【講演会Rev】丸山らがNHCAPの新戦略として,初期経験的治療選択のための多剤耐性菌危険因子を用いた2年間の肺炎患者455例(CAP 124例,NHCAP 321例)の前向き多施設共同コホート研究を行った(CID 2013, PMID:23999080)

2013-10-20 13:36:39
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【講演会Rev】本研究ではNHCAP群においてアルゴリズムに基づいた多剤耐性菌リスクスコア≧2は0-1点に比して多剤耐性菌が有意に多かった(27%vs2%).NHCAPの93.1%はアルゴリズムが適応され,広域抗菌薬を投与患者は53%のみであり,92.9%が適切な抗菌薬であった.

2013-10-20 13:40:34
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【講演会Rev】NHCAP群で多剤耐性菌リスク0-1は≧2に比して死亡率が有意に低く(8.6%vs18.2%),市中肺炎と同等であった.多変量解析では,初期経験的治療が適切であるにもかかわらず初期治療が失敗した場合は死亡リスクが72倍有意に増加.ADL低下例に重症が多かった

2013-10-20 13:42:14
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【講演会Rev】Attridge RTらの報告でも,広域抗菌薬の院内肺炎レジメンでなくとも予後に影響はないと報告された(ERJ 2011).倉敷中央病院1783例解析でも,抗緑膿菌薬を投与すると予後が有意に悪化.30日死亡関連因子はアルブミン濃度とPSIスコアであった.

2013-10-20 13:44:58
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【講演会Rev】セッションⅢ「薬剤耐性菌分離症例は抗菌薬で予後を改善できるか?」NHCAPについて,門田淳一先生(大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座教授).

2013-10-20 13:47:52