ukiyo_do's twnovel

ukiyo_doのついのべ記録。
1
浮世堂 @ukiyo_do

ホットコーヒーが好きだ。家で飲むのがいちばん落ち着く。夏の夜、ベランダで熱の抜けた風を感じながら飲む。遠くで誰かが泣いている。近くで誰かが笑っている。夜に灯る家々の、あらゆる音が集まってくる。そっと目をとじて、コーヒーを飲む。苦味と香り。コーヒーと僕だけの世界。 #twnovel

2013-07-20 23:49:56
浮世堂 @ukiyo_do

ソファでテレビを見ていると彼女がお腹に顔をうずめてきた。「なんだこの腹は。油断しおってからに」はいはい。頭を撫でると「そこじゃないー」足をぱたぱたさせる。せ、背中?「ちーがーう!」ぱたぱた。あ、足か!「遠いよ」彼女がもぞもぞと動く。「これでいい?」…この小悪魔め #twnovel

2013-07-17 22:52:02
浮世堂 @ukiyo_do

三十代、四十代、五十代の俺が現れた。資格はとっておけ。金は貯めておけ。良い人を見つけておけ。好き勝手な事ばかりいうなと言うと、しょうがないだろお前なんだから、と返される。じゃあひとつだけ言う事聞いてやろう。なんだ?「生きてりゃそれでいいさ」みな霞のように消えた。#twnovel

2013-07-14 22:31:34
浮世堂 @ukiyo_do

「夏は流石に暑いわ」って言い出したのは君で、ぼくも同意したわけで。「暑いーもう汗でべとべとー」いつの間にかいつものように。「シャワー浴びなきゃ仕事いけないわ…」それはぼくも同じで。「もう…甘えん坊なんだからうちの枕さんは」それは君でしょ?いつものように頭を撫でる。#twnovel

2013-07-09 21:36:34
浮世堂 @ukiyo_do

「ぼくは嫁が欲しいんじゃなくてあの人がほしいんです」「その割にはしょっちゅうアニメ見てるよね」「…ア、アニメは二次元だもの」「じゃあDVD売っぱらっちゃっていいの?」「もちろん」「おーそこまで決心させたひとってだれ?幼なじみとして気になる」「それは…」言えるかよ。#twnovel

2013-07-08 12:48:51
浮世堂 @ukiyo_do

なんでもない一日。同僚の結婚式。ちょっと泣き虫で笑顔が素敵な彼は泣くでも笑顔を振りまくでもなく、幸せそのものって顔。その表情に心が締めつけられる。「お幸せに」小さくつぶやく。ふと目が合った。にこりと微笑み、頷く彼。そういうところ、好きだったよ。なんでもない、一日。#twnovel

2013-07-06 11:44:01
浮世堂 @ukiyo_do

「夜更かししよっか?」意地悪な面接官が上目遣いに僕を責める。頬を染めた顔はとても艶やかで、濡れた唇は微笑を絶やさず、眠たげな目だけが赦しを乞うていた。嗚呼、愛おしい。僕は彼女の髪を撫で、耳もとでそっと囁いた。「僕の胸の上でなら、眠ってもいいよ。眠れるのならね」 #twnovel

2013-07-04 00:14:13
浮世堂 @ukiyo_do

次こそ言おう。彼女の横顔を見つめながら小さいため息。ふと、心の声が。(おいおい、そんなんじゃ合格もらえないよ?もっと言葉にしろ!想いを伝えろ!遠回しにするなばか!)「あの! す、好きです」(よし 合格!)彼女は驚き、照れて、微笑むと僕の肩に身体を預けた。 #twnovel

2013-07-03 23:52:16
浮世堂 @ukiyo_do

胸の重みに気付く。あれ、いま何時…まあいいか日曜だし。少し残った深夜の酒と、甘美な重さ。目を開けると案の定彼女が。艶のある麗らかな黒髪を撫でた。最高の枕でしょ?「あったかくて気持ち良い」「起きちゃった?」「んー…枕さん…もっと眠らせて?」僕の胸がどくんと跳ねた。 #twnovel

2013-07-01 00:36:12
浮世堂 @ukiyo_do

彼からメールが来た。はずむ心をなだめながら読みすすめる。「お疲れ様」にため息したり、「また飲みにいこう!」にはしゃいだり。これってやっぱり恋なのかな?いっしょにいてすごく安心して、でもドキドキしたりして。いいムードになったら、きっと…きっと?うん。きっと。 #twnovel

2013-06-29 20:41:24
浮世堂 @ukiyo_do

バニラ色の空を見上げた。「今日はビッグムーンなんだって…って」まったく、膝の上で寝やがって。「くすぐったいってのに」頭を撫でてやるとすこし身をよじって、心地よさげに寝息をたてる。ね…どんな夢を見てるの?「…起きても覚めない夢」「え?」寝言か。「うん」起きろ! #twnovel

2013-06-25 20:43:14
浮世堂 @ukiyo_do

「キスでございます。そのままどうぞ」「そ、そのままって」「と言いますと?」「なんていうか…その、そのままって…生々しい!」「このぬくもりを、私の想いをそのまま召し上がっていただきたいのです」「え…まって心の準備が」「さあ冷めないうちに。次が揚げ上がりますよ」 #twnovel

2013-06-19 22:06:25
浮世堂 @ukiyo_do

弱虫過ぎた僕らは互いに楽しい檻の中で遊んでいたね。踏み込まず、退かず、二人の間の糸は張りつめたまま。この糸を手繰り寄せて、もうそろそろ檻を出ようか。想いを伝えて、そしたらもう少しましなふたりになっているかな。それともひとりになってしまうのかな。 #twnovel

2013-06-13 19:44:55
浮世堂 @ukiyo_do

遠くで大型マンションの数多の光が声高に叫んでいる。その横のなだらかな丘陵地帯に乱立する住宅たちの光が喚きたてる。住宅地の切れ目を電車が煌々と轟く。暗闇の川面を覗く。その圧倒的な黒に、視覚と聴覚を吸い取られていく。ああ、これが闇か。なんだかとても愛らしく思えた。#twnovel

2013-06-06 19:45:49
浮世堂 @ukiyo_do

ぐっすり眠る彼は横向きで少しまるくなってて、タイヤを抱えたパンダのよう。外の空気で冷えた部屋はちょっと寂しい。窓を閉めてベッドにもぐる。あったかいな、ちくしょう。タイヤの気分でまるくなる。背中があたたかい。そっと優しく抱きしめられる。「さみしかった?」寝てろばか。#twnovel

2013-05-23 23:46:45
浮世堂 @ukiyo_do

「起きてますか?」そっと後ろに囁きかけた。温かい背中越しに感じる静かな、やさしい音。「…寝てますか」彼女の足先が僕の足に。冷たい。「冷たいですね」ぎゅっと押しつけてくる。冷たいよ。ふくらはぎで足先をはさむ。暖かいでしょ?僕の背中はもっと温かいけど。 #twnovel

2013-05-13 22:27:56
浮世堂 @ukiyo_do

犬のおまわりさんはため息をついた。野良の喧嘩の仲裁や岡田家のパグの悩み相談、星野家のチワワの家出捜索。もっと血湧き肉躍る事件が!いや平和が一番…なんだけどさ。「おまわりさん助けて!」この声はシェパードのトム!どうした!「猫に餌とられたー!」餓死してしまえ「えっ」 #twnovel

2013-05-13 19:22:19
浮世堂 @ukiyo_do

科学者の家には立派な桜がある。毎年青い桜の花が咲く頃にはゼミ生たちとよく花見をする。青い桜にだれしもが興味を抱く。なぜ青いのか? #twnovel #TwnovelOFF 簡単だよ、ダイナマイトやコブサラダを作るようなもんさ。ああ、レントゲンも必要だな。あとは閃き。

2013-05-11 20:04:27
浮世堂 @ukiyo_do

「ほんと腹筋ないよねー。もうちょっとさ、腹筋やってみたら?」「いやだよ。腰とか尾てい骨とか痛くなっちゃうし」「腕立てもスクワットも出来るのにね。お姫様抱っこに憧れる乙女心に気付けよー」「なに、してほしいの?」 #twnovel

2013-04-06 22:49:35
浮世堂 @ukiyo_do

わかってる。あなたの目にぼくが映っていない事。わかってる。ぼくはまだ幼くて、頼りなくて、とてもあなたに釣り合わない事。わかってる。あなたへのこの気持ちをあきらめられないという事。わからない。あなたの声や、仕草や、その笑顔を夢見た後の朝、この寂しさを紛らわす方法が #twnovel

2013-04-04 21:48:26
浮世堂 @ukiyo_do

君は知っているだろうか。私の中に流れる赤々と燃える血さえ凍らせるほどのこの怒りを。私の何がいけなかったのか?なんでそんな事をしたのか?投げかけた疑問は正しい答えでしか帰ってこない。答えに縛らる。考えたくなくなる。なのにまた、プリンの怨みを想起する。#twnovel

2013-04-03 18:40:41
浮世堂 @ukiyo_do

吹いたら風だった。咲いたら花だった。そこにあるから、そうなったから、そうなのだろう。この気持ちも、そうなるのではなく、なったから、そうなのだろう。あなたを想っていたら、好きだった、というだけのこと。吹いたら風だった。咲いたら花だった。あなたと手をつないだら? #twnovel

2013-03-27 08:03:50
浮世堂 @ukiyo_do

その時計はネジを巻いても動かない。あの日で止まったんだ、と祖父が言う。何の日?と問うとばあさんが死んだ日だよ、と祖父が言う。なんで止まったの?と問うとばあさんが天国にいく時にこいつをお守りに持っていったのさ、と首に下げたネジ巻きを見つめながら寂しげに微笑んだ。 #twnovel

2013-03-26 00:18:32
浮世堂 @ukiyo_do

とろりとした秘密を瓶に詰めて持ち歩く。それはただ優しい光を宿したまま瓶の中で瞬き揺蕩う。「なにそれ?」「収納箱さ」微笑みながら答えた。「なにそれ。曖昧ね、いつもそう」僕の優しさが瞬く。「そう?」気遣いを仕舞った。「君って煩いなあ」次は何を仕舞おう。 #書き出し #twnovel

2013-03-15 22:20:23
浮世堂 @ukiyo_do

身を焦がし、削り、それでも突き進む。箒星は己を燃やしながら、引力に引きつけられながら進む。あの灼熱の恒星に身を落とすことを夢見ながら、みな夢半ばで燃え尽きる。#twnovel #twnvday

2013-03-14 22:17:23