社会問題に関する討議の作法 おもにネットで

今の日本は、暴力によって社会が変わる事はありません。身体的な行動を伴っているように見えても、言葉によって、しかも相手に働きかける言葉(発話行為)によって変えていくほかはありません。 その点では、ネットの中の議論が成立するという事は大変重要なことだと思います。今ネットの中では相手のフレーム自体を壊すような論法がしばしばとられますが、それで合意に至ったり、現実の改善につながることはないように思います。そして、そのような論法がとられるのは、それが発話の作法として共有されているからではないかとも思います。 ネットというと、匿名で無法な議論という印象があるかもしれませんが、過去のネットの歴史に於いて、ネットだからいつでも、各人が勝手なことを言い合って闘争状態になるということばかりではなかったということがわかっています。 続きを読む
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――エピグラフ――

河津聖恵 @kiyoekawazu

とにかくこのネットという壊れきったバンドラの箱から、不信と憎悪の汚染水が垂れ流されている状況を、リアルで何とかしなきゃ。私たちは、善によって結びついていかなければならないのだから。

2013-10-11 09:56:31
bcxxx @bcxxx

我々はもはやリアルではセパレートされ、狭い空間に閉じこもり、ネットでしか本来の意味では生きていないのだから、まずネットをどうにかしなければならないと思っています。ヘイトスピーチ規制はネットにこそ必要だと考えるのも、そのためです。@kiyoekawazu

2013-10-11 11:56:43

社会運動に関する討議倫理――多くはネットにおいて――

anon@絵描きモード @pochi_go

@han_org こんばんわ、今朝の「反婚」についてのついを見ていて思ったのですが、以前、先生が東京大行進で見かけた、沿道のとある女性のプラカについて、今ひとつポジティブな感想をお持ちでないようにみえたのは、→

2013-10-09 20:28:58
anon@絵描きモード @pochi_go

@han_org ものすごく大雑把ですが、「他人が作り上げた運動に、「批判」というカタチで乗るものではない」というような考えが基本にある…ということでしょうか?

2013-10-09 20:31:19
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go いや、いくつかの論点を混同されているようですね。どこから説明したらいいんだろう。

2013-10-09 21:24:08
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 最初の論点は、たぶん、「批判するならコミットしてほしい」というものですよね。これは、互酬性の原理を表現したものにすぎません。もらったらお返しをする、借りたら返す、そういう、対等な人間関係の前提となるギブ・アンド・テイクのルールを互酬性といいます。

2013-10-09 21:27:32
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 通常、互酬性の破れ―ーおごってもらうばかりでお返しできないとか、世話になるばかりでお役に立てないとかーーは心理的負担を生じ、権力関係の承認につながります。先輩におごってもらったり教えてもらったりするばかりだと、ついいうことを聞いてしまう、みたいな。

2013-10-09 21:31:42
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 互酬性というのは人類社会において非常に強い規範なので、たいていどこでも観察することができます。ところが、互酬性が破れているにもかかわらず、権力関係を発生させない特殊な状況もあるのですね。それは、差別が存在する状況です。

2013-10-09 21:33:59
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 支配されて当然、格差があって当然。そんな《二流の人間》から何かをもらったところで、そのありがたみは薄いーーそういう価値観が存在する状況においては、対等なお返しをしなければ申し訳ないという気持ちにならなかったりするのですね。

2013-10-09 21:37:17
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go ぼくのところには、ネトウヨからツイッターでたくさんの質問が寄せられます。「在日は2兆円以上の生活保護をもらっているというのに恥ずかしくないのですか」(←もちろんデマです)みたいなやつですね。

2013-10-09 21:39:23
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go ぼくはいわば専門家の端くれですよ。ぼくの返答は専門知識の提供です。ところが、専門知識を提供してもらいながら、「ふーん、お前の言い分はわかった。でも、この質問はどうだ」と次の質問を投げかけてくる。そこに、一切の感謝はありません。

2013-10-09 21:41:05
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go そこにあるのは、「お前の言い分を確かめてやろう、どうせ反日なんだろう?」という傲慢な態度だけです。自分は《裁く者》であって、在日のような《二流の人間》は《裁かれる者》だと前提されているのですね。こういう状況では、互酬性が破れているのに気づかれないのです。

2013-10-09 21:43:42
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 同じ在日コリアンの中でも、朝鮮籍の人たちはよりこういう状況に置かれがちですし、中でも、朝鮮総連の関係者は24時間こういう環境の中で生きています。簡単に批判するんですよね。人の生きかたそのものを簡単に批判する。それがどれだけ傲慢なことかという自覚すらなく。

2013-10-09 21:46:14
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 批判の中には、鋭いものと凡庸なもの、よく状況をわかっているものと何も知らずにイメージだけで口にしたような薄っぺらいもの、真摯なものと差別的な揶揄にまみれたもの、いろいろとあります。

2013-10-09 21:49:25
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go いつも一方的に批判や疑問を投げかけられる理不尽で非対称的な「非互酬性」の状況におかれたマイノリティは、批判に対する回答を収奪されないように、自己防衛する癖が身につきます。つまり、自分たちに投げかけられた批判を精査しようとするわけです。

2013-10-09 21:51:46
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 中でも重要な基準は、「それが真摯な批判なのか、それとも差別的な揶揄にまみれたものなのか」です。単に知らないだけなら学んでもらえばすむことですが、差別的な場合は疲弊させられるだけですからね。

2013-10-09 21:53:46
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go だから、あやしげな批判を受けたら、かならず問い返します。「あなたはどういうつもりでその批判をするのか。われわれが抱えている問題にコミットしようとして問いかけているのか、ただ収奪しようとしているだけなのか。」

2013-10-09 21:55:07
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go マジョリティがマイノリティに問いかけをしたり、批判をしたりするという行為は、常に、マイノリティから回答に要するコストを一方的に収奪する危険性とワンセットなのです。その危険性を自覚しているのか?……あまりに収奪されすぎたら、そう尋ねる癖がついてしまうのですね。

2013-10-09 21:58:40
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go こうした状況を知っているもの同士の間では、「批判をするということは、その問題にコミットする覚悟がある」と宣言することを意味します。「私もあなたがおかれた苦境を救いたい。そのためにこそ批判をしたい」という文脈での批判でなければならないのですね。

2013-10-09 22:04:48
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go ぼくは半月ほど前、ある女性のアクティビストに「批判をするということは、この問題に相応のコミットをする意思があるということですか」と詰め寄りました。期待していた回答は、「当たり前です、私なりに反レイシズムに参加する意思があるから批判するのだ」というものでした。

2013-10-09 22:08:28
anon@絵描きモード @pochi_go

@han_org はい、今ちょうど、その方との一件を思い出していました。あの時私も、「先生は厳しいな」と思ったのです。ただ、お相手の方に、「そうする力がある」と信頼されていたのだろうとも思いました。

2013-10-09 22:10:17
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go 多少レトリックは攻撃的でも、批判的でも、根っこのところでは「コミットするよ!」という宣言を期待していたわけです。なぜなら、あまりにも多くの、一方的な批判、一方的な質問、一方的な攻撃、一方的な収奪にさらされ続けていたからです。

2013-10-09 22:11:17
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

.@pochi_go まだ論点は一つ目だというのに、すでに話が長くなってしまいました。整理すると、「批判とコミットメント」が一体だというのは、解放運動にかかわる者にとってはある種の倫理的な前提のようなものなのですね。

2013-10-09 22:15:37