「わかっていないことに首を突っ込むべきではない」という言説について
「最初からよくわかってないことに首を突っ込むべきではない」とか、何度のど元まで込みあがってきたせりふだろう。それを何度飲み込んで、屈辱や不快感に耐えながら、もぐら叩きのように延々と説明を繰り返してきたことか。
2015-01-01 02:50:06マイノリティ当事者が、人文・社会科学的な研究対象になることについて、「モルモット扱いはごめんだ」とか、「お前らは一方的に見て自由に解釈する側にいて、こちらは反論の余地もなく一方的に見られて解釈される側にいる。この非対称性こそが差別構造の映し鏡だろう」などと批判することがある。
2015-01-01 03:04:06ぼく自身、「わかってねぇなあ」と感じる在日研究に対しては、それに近い批判をしてきた。「それは収奪であり、暴力である」と厳しく批判することもあったし、「マジョリティの感性だな」みたいな皮肉を言うぐらいならいつものことだ。
2015-01-01 03:08:03何度も何度もそうした失望を味わってきたので、日本人による在日研究とかを読むときは、いまでも身構えて気鬱になる。だから、自分の研究分野の研究群をフォローするのは、じつはけっこう苦痛なんだよね。
2015-01-01 03:10:44にもかかわらず、たとえ玉石混交であろうとも、日本でエスニシティ研究、レイシズム研究に新たに参入してくる人が増えてほしいと願わなかったことはない。なぜなら、「研究がない」ことの問題と、「研究されない」ことの問題を知っているから。それは、存在がない、問題がないことと同義なんだよね。
2015-01-01 03:13:04たとえ問題設定がマジョリティの視座に偏っていようと、たとえ解釈が一方的であろうと、たとえ調査のプロセスで無理解から失礼なことが生じようと、それでもぼくは研究はなされるべきだと思う。存在がない、問題がないことにされてしまうよりは、はるかにマシだから。
2015-01-01 03:20:45原理主義的なポスコロの沖縄研究者が、「本土の人間は沖縄研究に手を出すべきじゃない」みたいなことをいうのだけど、そういう発言って、「沖縄研究の需要は当然ある」「沖縄の研究はされるべきだと思われている」ことを前提にしてるわけでしょ。ぼくは「余裕があるなぁ」と感じるんだよね。
2015-01-01 03:22:26(80年代前半までの歴史研究などを除けば)在日研究なんて、日本にはずっと存在しなかったわけでね。誰も問題を知らない。問題があるという議題設定の重要性からして理解されない。それ以前に存在が知られない。ぼくはそんな状況をずっとみて育ってきた。そういうのって、けっこうしんどいもんだよ。
2015-01-01 03:26:01だから、「モルモット扱いはごめんだ」とか、「お前らは一方的に見て自由に解釈する側にいて、こちらは反論の余地もなく一方的に見られて解釈される側にいる。この非対称性こそが差別構造の映し鏡だろう」などと批判しつつも、その批判を乗り越えて立派な研究をしてほしいと思うんだよね。
2015-01-01 03:28:38反レイシズム運動だって一緒。00年代に入ったあたりから、そこに問題があるということをずっと報道してくれなかった。当事者団体の代表がすっごい時間をかけて準備をして国連まではるばるアピールに行って、やっとマイノリティに好意的な勧告を出してくれても、ベタ記事扱いでほぼスルー。
2015-01-01 03:32:06無償化問題あたりから少しずつ報道が増えだしたものの、ほとんどは「どっちもどっち」的なものが多かった。それを厳しく批判はしてきたものの、それでも、記事になるだけまだマシだと思っていた。「ないこと」にされるよりははるかにマシだから。
2015-01-01 03:34:42「理解してないなら書くなよ」なんてぜいたくは、たとえ思っていても、口にする余裕がなかったというのかな。メディアカバレッジを増やして、中に良質な記事が出てくることを期待する。そのために、やる気はあるけど不勉強な記者さんを育てたりもする。そんな地道なことの積み重ねだった。
2015-01-01 03:40:10少なくともぼくは、ダメなところを批判しつつも、この問題にたくさんの人が参入してくれることを強く期待している。「完全に理解してないなら書いちゃダメ」とか、「当事者じゃないから研究しちゃダメ」みたいなことを悩まずに、果敢に参入してほしい。
2015-01-01 03:43:35あんまりひどいものでないかぎり、そういうのが結果としてちゃんと当事者にも還元されるから。言論市場、研究市場を広げるための頭数になるだけでもいいから。と、ぼくは思う。
2015-01-01 03:45:2280年代末まで研究が少なかった理由は、日本の人文社会科学教育に「差別」や「マイノリティ」という概念がなかったからです。さらにその理由は、重要な問題だとは理解されていなかったからなんでしょう。 RT @YasudaHid: なぜ頭数が少ないのですか、その原因を教えて頂ければ幸いです
2015-01-01 03:54:02