#僕の彼女の自傷癖がヒドい件(仮) 六話
- isibasitomo
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「ねえ………」 「なんだい?」 「そろそろ帰りましょうか」 「うん」 「ねえ………」 「なんだい?」 「また、お話したいわ」 「僕もだよ」 2
2013-11-01 17:54:58「ねえ………」 「君と僕しかいないし………聞いているよ、どうぞ」 「明日は日曜だわ」 「そうだね」 「………………」 「………………………」 「………………………………」 「………………………………………」 3
2013-11-01 17:55:40僕が折れた。 「………ケータイ持ってる?」 「持っているわ」 「番号教えてもらっていい?」 「●○●-◆○△●-▽○△●よ」 「OK、ワン切りするよ」 やがて鳴る着信音。 教室の左奥、窓際の席からだ。 一度も見たことがない、いわゆる黒電話の音。 席へと掛け戻るK。 4
2013-11-01 17:56:32「これ、あなたの?」 番号、と言う部分を省略して携帯電話の液晶画面を一目見たKが言った。 「うん、僕の番号だよ。いつでもどうぞ」 ※六話 4.5
2013-11-07 06:47:37「本当?」 「嬉しいわ、私、同級生(クラスメイト)に番号を教えてもらうの初めてだわ」 「………………………」 それで別れた。 5
2013-11-01 17:57:02枕元で静かに唸る携帯電話の振動で目が覚めた。 (寝てたのか………) 帰宅後、ぼうっとしている間に寝てしまっていたらしい。 時間を見ると午後の十一時。 (まだ『今日』………) あのKとの出会いからまだ一日経っていないのか。 7
2013-11-01 18:00:17「っと、電話」 電話の主は――― 「いやいやいやいや」 ―――まだ登録もしていない番号――― 「早すぎるだろう………」 ―――Kだった。 受信ボタンを押す。 「もしもし?」 「こんばんは………Kよ」 9
2013-11-01 18:10:51気のせいか少し声が高い。 電波状態が悪いのか、彼女のモノとは違う、耳障りな音が、彼女の雑音に混じり少し聞き取りづらいが、それでも電話口のKの貌は綻んでいるように思える、そんな声だった。 10
2013-11-01 18:12:13「うん、番号で分かったよ。どうしたの?」 「お話したいわ」 「いいけど………突然だね」 「突然お話したくなった時のために、携帯電話(こんなモノ)があるのだわ」 「………なるほど」 11
2013-11-01 18:12:46「ねえ………」 「大丈夫、聞いてるよ」 「会いたいわ」 「………………せめて明日にしないかい?」 「今日会いたいから、今、電話したのよ?」 「もう夜………十一時だよ」 「まだ今日だわ」 「………………」 嘆息(ためいき)をついた。 一応彼女に聞こえないように。 12
2013-11-01 18:13:30「どこに行けばいいのかな?」 「学校まで歩いてきているのよね?遠いの?」 「いいや、歩いて十分って所かな」 「じゃあ●×公園はどう?学校の近くだし、同じくらいよね?」 13
2013-11-01 18:14:42「ねえ………」 「………………………」 いちいち呼び掛けるこの癖は簡単に直りそうもない。 『 ね え ?』 「うん、なんだい?」 もう諦めた。 14
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