[公開読書]サードプレイス —コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」―【第13章〜解説】

サードプレイス —コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」― http://www.amazon.co.jp/dp/4622077809/ 2013年10月25日初版 みすず書房 続きを読む
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白川陽一 @shirasan41

「若者の集まる場所として、ショッピングモールは青少年の家には遠く及ばない。開いているべき時間より遅く開き、早く閉まってしまう。成長をうながす活動や機会の提供が少なすぎる。決して立派とはいえないたぐいの価値観を押しつける。

2013-11-09 12:47:46
白川陽一 @shirasan41

そして、都市景観からほかのたまり場が消される度合いに比例して、ショッピングモールは若者を引き寄せる。若者の暇つぶしの場所として、ないよりはましだが、ろくなものではない(P445)。」

2013-11-09 12:47:55

第14章 めざすは、よりよい時代…と場所(P447〜P465)

白川陽一 @shirasan41

第14章 めざすは、よりよい時代…と場所 「現在と未来に授けられる数多くの教訓はいずれ、公共生活を台無しにした勢力との対決へと、見識ある大衆の意思を向かわせるだろう。(中略)私はアメリカ人の人生観と態度に、最終的な変化が、少なくとも三つの領域で起こると予測している(P450)」

2013-11-09 12:48:24
白川陽一 @shirasan41

(1)便利さへの回帰 取るに足らない便利さ最も重要な便利さを混同すべきでない。「本当に便利な文化なら生活に必要なものが住まいのすぐ近くにある。それは楽に歩いて行ける距離にある(P452)」。基本的な社会問題を解決しない便利品は、私達の知覚や認知、社会的儀式の喪失を促しているのだ

2013-11-09 12:48:39
白川陽一 @shirasan41

アメリカでは生産活動の分野はかなり整ってきている。仕事は首尾一貫していて単純だし、仕事中に必要なものは手近にある。もし社会の中で生活が生産と同じ位の重要さだと捉えられていたら、もっと私たちの生活はシンプルで充実していただろう。多くの人は、働くのは楽だが暮らすのは厄介だと感じている

2013-11-09 12:48:47
白川陽一 @shirasan41

楽に歩いていける範囲に必要なものがそろっていることは、活気あふれる近隣地域の決定的特徴であり、共通点(P452)」であることを思い出そう。 車を出さなければ消費活動や気分転換が出来ないのは不便である。現代の近隣住区は施設間の繋がりがないので、子供をお使いにも出せなくなっている。

2013-11-09 12:49:00
白川陽一 @shirasan41

「すぐ近くの施設を利用し、そこに徒歩で定期的に通うことによって、地域住民は事実上、気軽な社交の環境を作り出し、その恩恵を受ける。徒歩という移動手段は、車を使った移動では不可能な、人との触れ合いをもたらす。住民たちは、店の人びとや近所の人びとを知るようになる。

2013-11-09 12:49:08
白川陽一 @shirasan41

そういった大勢のなかから、気の合う少数の人を見つけることができる(P453)」。深い友情を築く者もいる。「そして全員に、調整弁のようなものがそなわっている。それぞれが自分の好きなだけ、近隣住民のことに没頭したり関わったりできる。関わりたくない人は、関わらなければいい(P454)」

2013-11-09 12:49:15
白川陽一 @shirasan41

このような生活を表す形容は「気軽な(カジュアル)」である。これは偶然(アクシデント)非公式(インフォーマル)から生まれる。気軽なふれあいがある近隣住区はみんな協力的だ。気軽な環境は多くの努力を必要とせずに多くのニーズを満たすし、個人では把握しきれない要求も満たしてくれる。

2013-11-09 12:49:25
白川陽一 @shirasan41

サードプレイスは「ひとまとまり」の友人を提供する(3章参照)ので、そこでの定期的な関わりから、個々の人間は事実上そこに集まる仲間全体と友達になる事ができる幅広い人間関係は人を元気づけ心豊かにする。断片化した世界は一体化する。知恵も増す。思いも寄らない出会いは様々な恩恵をもたらす

2013-11-09 12:49:32
白川陽一 @shirasan41

気軽な環境は、結局サードプレイスの自生地だ。サードプレイスという場は、実のところ、ひとたび地域の人々と知り合いになったらつきあってみたいという人間の願望が形になったにすぎない(P456)」 これからの郊外が活力を持つ為には、多様性を生み出し受け入れる意欲をもたせる事が大事である

2013-11-09 12:49:42
白川陽一 @shirasan41

ロサンゼルスの最近の調査によると、アメリカ人は自分の住宅地に今の土地利用規制(ゾーニング)で許されている以上の多様性を受け入れてもいいと思っている。 自動車について→過剰な自動車依存はアメリカ人の生活の質の低下を招いた。しかし自動車は維持費もかかるし、環境への不可も甚大だ。

2013-11-09 12:49:57
白川陽一 @shirasan41

「住民が生活の共有を望まないのは、社会と個人に関わるほとんどの問題に合意をする事が難しいから」という言説が社会学で溢れている。しかしオルデンバーグは「合意は交流や関わり合いの後にくる」、つまり、合意が難しいから関わらないのではなく、関わりたくないから合意を言い訳にしてると主張する

2013-11-09 12:50:06
白川陽一 @shirasan41

(2)自己啓発(セルフ・ヘルプ)の限界 自己啓発本は孤独な人に役に立つ場合もあるが、豊かな暮らしや幸福は個人で実現できると説くことが多く、個人を取り巻くその時の環境や経験、集団を見えにくくする。自分の人生に責任をもつ事を勧めるのは結構だが、幸せは完全に個人の手中にある訳ではない。

2013-11-09 12:50:16
白川陽一 @shirasan41

幸福が個人次第という考えは、政治的潜在力も弱める。自分達の問題の原因が個人ではなく、国家にあると理解していたら、個人の問題は政治の問題になるだろう。自己啓発や心理療法は即効性はあるが根本治療にはならない。いずれ彼らは、自己啓発の限界を悟り、公共に関心がある個人に目覚めていくだろう

2013-11-09 12:50:23
白川陽一 @shirasan41

(3)場所の力 私達の生活や人間関係は地上に固定され、抑制され、場所の力が影響を与えてる事を忘れてはならない。その点、環境心理学の発達は心強い。諸々の経験は、それを導く力のある場所で起こるという視点は重要だ。そして人間は、自らの能動的な力で経験を付け加えたり差し引いているのである

2013-11-09 12:50:34
白川陽一 @shirasan41

アメリカ人が場所の力に自覚的になった時、サードプレイスが新たに続々と生まれ、コミュニティは息を吹き返し、日々称賛されることになるかもしれない。立ち上がろう。都市は今のままである必要はないのである。

2013-11-09 12:50:40

解説(マイク・モラスキー)(P467〜P480)

マイク・モラスキー:米国出身、日本在住の日本文化研究者、早稲田大学教授

白川陽一 @shirasan41

解説(マイク・モラスキー) オルデンバーグの提唱する「サードプレイス」とは、地元に根付いた小ぢんまりした人間中心の社交の場の事。「third place」は日本語で「第三空間」と訳されるが、オルデンバーグの概念は特定の具体的場所を指すから「第三の場」「第三の場所」の方が的確な訳

2013-11-09 12:50:52
白川陽一 @shirasan41

スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」。しかし、第一版が刊行された1989年はスタバ現象がまだ注目されておらず、本書ではふれられてない。また、オルデンバーグは「演出されたアットホーム」よりも、アメリカで減りつつあった地元の有機的な場所をサードプレイスと見なしたかったようだ

2013-11-09 12:51:00
白川陽一 @shirasan41

オルデンバーグのアメリカ社会の批判はおおむね的を得ている。私的な場所への引きこもり、マイカーの普及と郊外の拡大、都市の空洞化など。また、物質的な豊かさがアメリカ人の生活を貧しくするという指摘は他の論者もしてきたが、オルデンバーグはサードプレイスの衰退という語りからそれを論じている

2013-11-09 12:51:07
白川陽一 @shirasan41

アメリカ社会は消費社会になってしまったが、サードプレイスは人間を単なる「顧客」ではなく「個人」として扱うとオルデンバーグは指摘する。また、彼はサードプレイスはそれ自体が楽しい場所のみならず家庭と職場にも貢献してると述べる。個人・家庭・職場・社会全体にサードプレイスは重要なのである

2013-11-09 12:51:28
白川陽一 @shirasan41

サードプレイスの論点に「人を平等にする(leveling)(P69〜P73)」という刺激的な指摘がある。これによって「サードプレイスは日常生活で個人的な関係をもたないような相手と友好的な交流をもつ機会を提供してくれる(P471)」。このことは地位の高低に関わらず有益だと彼は述べる

2013-11-09 12:51:42