第０回「アメコミとクトゥルー神話」

闇に囁く方の森瀬 @TalkingMolice

さて、「ユニークどころ」の極北といいますか。問題作を紹介して、「前置き」の〆とします。1974年から1979年にかけて刊行されたアンソロジー"Star*Reach"に、マイク・ボスバーグによる異色の連作が掲載されました。 http://t.co/IdEubp0Kf9

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"HIGH PRIESTESS of SEXUAL FANTASY"！ 魔女リンダ・ラヴクラフトの登場です。記念すべき（？）一作目は"Star*Reach"第3号（1975年）に掲載されました。 http://t.co/P6heBT0e9Q

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老学者と若い助手が調査に赴いた廃墟は、魔女リンダ・ラヴクラフトの住処でした。リンダの甘い言葉に乗せられた学者は、助手と肉体を交換してリンダとイイことをしようとするのですが、あてがわれたのは－－というブラックなエピソード。 http://t.co/i4zmac1hhN

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リンダの素性が語られたのは第10号（1977年）。「NYMPHONECROMANIA」という物凄い字面をご覧ください。彼女はアブドゥル・アルハザードの弟子、そして恋人でした。右ページに見えるイケメンダンディがアルハアザードです。 http://t.co/SkvNBtk7xF

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リンダはウルタールの踊り子でした。特に説明はないのですが、「カダス」の語も作中に見えますので、夢の国出身なのでしょう。彼女に執着するヒヒ親父とアルハザードが対立し－－以後はまあ、魔術の修行シーンとかもありますけどメロドラマです。 http://t.co/8JAITYIGIs

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さて。このボスバーグが、自費出版の同人誌にて現在進行形で展開中の「最新作」があります。"Lori Lovecraft"です。初めてebayで見つけた時は、腹の底から大爆笑しました。 http://t.co/7GpVE4yk3S

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ロリ・ラヴクラフト－－ただし、ロリータの意ではなく、「ローレライ・ラヴクラフト」の愛称です。作者によれば、魔女リンダ・ラヴクラフトの発展形ではありますが、同一人物ではなく、別のキャラクターです。

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エピソード「My Favorite Redhead（ボクの可愛い赤毛ちゃん）」によれば、ロリはアラサーでパッとしないハリウッド女優。カルト映画監督デリック・ヴァンヴォンに新作"DAME IN DANGER"の主演に抜擢されます。 http://t.co/BCpRPMO7zS

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ヴァンヴォン監督はその昔、映画"DISCIPLES"で高い評価を受けたものの、オカルトへの耽溺からハリウッドで孤立したということです。ちなみに、件の映画については「あの乱交シーンは最高だったわ！」「あれは喪われた魂のための主人公の葛藤のメタファーなのだヨ」というアレな会話が－－。

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このヴァンヴォン監督、彼が崇拝するロック・ボーカリストのナターシャ・ライヒと共謀し、『ネクロノミコン』の断片を使って魔物を呼びだそうとしています。当然ながらヒロインは生贄として狙われているわけですが－－

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彼女を「可愛い赤毛ちゃん」と呼んでくれたイケメン俳優のアレン・ロバーツがそれを阻止しようと奮闘するわけであります。他のエピソードも、何だかんだでローレライがオカルティックな事件に巻き込まれるというもの。 http://t.co/PRfnotozI8

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と、まあこういったところで、ユニークどころのクトゥルー・アメコミの紹介を終了させていただきます。軽い前置きはこのあたりにしまして、明日は改めてアメコミ・ジャンルにおけるクトゥルー神話要素の流入史について、1950年代から説き起こす予定であります。（-,,,-　）

闇に囁く方の森瀬 @TalkingMolice

おっと。ロリ・ラヴクラフトの公式サイトはこちら。 http://t.co/Vlb2OGZ1lD