大罪戦闘企画

第六公演《孤守唄》
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【魔王】 @Tokimine_Seo

「……まあ、カッとなったのは悪かったけど」 がりがりと気まずげに頭を掻く。頭に血がのぼって武器をとったのは、こちらが先だったから。

2013-11-17 18:51:54
華夏の勇者 @battle_atom

「だって、そう、違かったこと、ないもん」 今まで、一度も。 何度も騙されるくらいなら、最初から信じない方が、ずっとずっと楽だから。 「だからね、しんじないよ。きみのことも」 でもね、でもね、君は珍しく、僕のこと怖がらないから、演技かもしれないけど、こわがらないから。

2013-11-17 21:38:51
華夏の勇者 @battle_atom

…君を食べちゃう前に、すこしだけ聞きたいの。 「…ねぇ、ごはんと、ごはんじゃないものって、なにが違う、思う?」

2013-11-17 21:39:50
【魔王】 @Tokimine_Seo

「……そうか」 あの、どこでも口を出せる力。それに腹にも穴に似た口が開いている。自分の事を化け物と称するのは納得する。 信じない、と口では言っているけれど、話すというからには何か信じたい事があるんじゃないのか。

2013-11-17 22:09:11
【魔王】 @Tokimine_Seo

「メシとメシじゃないもの、かあ……難しいなぁ」 俺は食おうと思えば何でも食えるし、と付け足す。ゴミの中から瓦礫をひとつ引っ張り出し、目の前でごりごりとかっくらう。 「俺は食えれば何でもいいから。それこそこういう金属とかゴミとか」 そうして、生きられれば。

2013-11-17 22:09:18
華夏の勇者 @battle_atom

「たべられれば、みんなごはんなの?」 そしたら、世界中、みんなみんな、ご飯になっちゃう。 でも、今まさに、目の前で変な塊をごりごりと食べてる人間君にとって、それは間違いではないのかもしれない。 ホントに、変な人間だと思う。

2013-11-17 23:37:08
華夏の勇者 @battle_atom

…だからこそこうやって、お話が出来るのかもしれないけど。 この子が『餌』じゃなければいいのに、と思ったけど、 きっと、期待するだけ無駄だから、 …そっとその思いに蓋をした。 「…ありがとう。人間君。」 質問に答えてくれたんだから、お礼をしなきゃ。 ぺこりと、頭をさげた。

2013-11-17 23:38:15
【魔王】 @Tokimine_Seo

お礼と共に頭を下げる姿に、小さく笑う。 「おまえ律儀だなぁ」 その赤い髪をくしゃくしゃにかきまわして撫でようと、手を伸ばした。 振り払われてしまったら、それまで、だけれど。

2013-11-18 02:29:24
華夏の勇者 @battle_atom

何かが、頭の上にそっと乗せられる感覚がした。 …これはなんだろう、手?誰の手?…人間君の、手? 「……」 あ、駄目。駄目だ。 手を振り払って、頭をあげる。

2013-11-18 14:19:32
華夏の勇者 @battle_atom

食べれるものは、みんなごはん。 もし君が言う通りなら、君もやっぱり僕のごはんなんだ。 僕なんかとお話してくれた、変わった人間君。 君のその行動が、言葉が、ウソかホントかは、馬鹿な僕にはわからないけど。 「ね、お話、おしまい。…最後の言葉は決まった?」

2013-11-18 14:23:41
【魔王】 @Tokimine_Seo

手は、振り払われてしまった。予想していた行動ではある、けれど少し、寂しかった。 決定的に違うけれど、何か同じものを感じたのに。 「……納得、したか?」 俺の答えで。 何に納得するのかもわからないのに、ただ、そう零れた。

2013-11-18 15:26:25
華夏の勇者 @battle_atom

「…君が、変、てことは、わかったよ。」 それが僕の欲しい答えだったのかは、まだわからないけど。 「…聞ける、良かった。みんな、僕、質問する、前に、襲ってくる。話、きいてくれないから。」 終わり、終わり、もう終わり。

2013-11-18 20:06:16
華夏の勇者 @battle_atom

きっとこれ以上この人と一緒にいたら、僕はきっとこの人の事、食べられなくなってしまう。 だからその前に、食べてしまおう。 好きなものの事、『美味しそう』とは思うのに、『食べたくない』とも思うのは、きっと僕がまだ、化け物になりきれてないからなんだ。

2013-11-18 20:06:51
華夏の勇者 @battle_atom

『餌じゃないもの』を探そうとしてしまうのも、『ウソツキ』を信じようとして騙されてしまうのも、きっと、きっと、僕がちゅうとはんぱだから。 …なら僕は、完全な化け物になっちゃえばいい。 彼が言うように、食べれるもの全てを食らいつくす、『暴食』に。

2013-11-18 20:07:58
華夏の勇者 @battle_atom

…そうすればきっと、ひとりぼっちでも、もう何も感じなくなるから。 人間君のお腹。そこにある『口』を、『閉じる』。 もう、あの子の血を止めてくれるのは、何もなくなった。

2013-11-18 20:09:02
【魔王】 @Tokimine_Seo

こちらを変と称する彼に、何故だか笑いがもれた。押さえたくすくすという笑い声。 脇腹で血を止めていた『口』が消える。周囲がわずかに固まりかけていたが、それでも大きな傷からは、押さえをなくした血が勢いよく溢れた。

2013-11-18 21:34:37
【魔王】 @Tokimine_Seo

「ッげほ、げはっ……っふ、は」 口からも、血が溢れて。口端についた血を拭った。 「いいよ、食われても」 自分では傷は治せないし、この傷の深さじゃ、仮に彼を殺して喰えたとしても、助からない。 そんな無駄な肉塊を作るなんて、もったいないことはできない。

2013-11-18 21:35:23
【魔王】 @Tokimine_Seo

だったら、俺が食われてしまった方がいい。 「でも、ひとつ、頼んで、いいか」 じわ、じわと血は流れ、息は途切れがちになる。ピンクの瞳はそれでも、細まって、笑っていた。

2013-11-18 21:35:36
華夏の勇者 @battle_atom

「…たのみ?」 変なの、もう食べられるっていうのに、人間君は笑っていた。 僕に、たのみがあるといって、とぎれた息で、血だらけの体で、それでも僕を見ていた。 たのみって、おねがいの事だよね? 彼のおねがいとは、なんだろう、考えたってちっともわからないけれど。

2013-11-18 21:58:03
華夏の勇者 @battle_atom

「…いいよ。」 君は、僕が完全に、化け物になってしまう前の、最後のお客さん。 演技だろうと、最後に、こんな僕(メル)と話してくれた優しい人だから。 君だけは、特別。 「君のおねがいは、なあに?」

2013-11-18 21:58:41
【魔王】 @Tokimine_Seo

「…………髪、が、ほしい」 掌を上に向けて、物を欲しがる子供のように、手を伸ばす。 「お前の、さ、」 その、赤い髪を。 「すごく、綺麗で、美味そうだから」 「少しでいいから、くれよ」

2013-11-18 22:19:04
【魔王】 @Tokimine_Seo

あらゆるものを喰らうことができるようになった自分が、一番手軽で安定して手に入れられるもの。それが自分の髪だった。 それから、なんとなく機会があれば髪を手に入れては食べていたけれど。 「…………だめか?」

2013-11-18 22:19:07
華夏の勇者 @battle_atom

僕の髪に、彼のそのガリガリの指が、ほんの少しだけ、触れた。 紅くて、まるで血みたいな、僕の大嫌いな髪。 「…こんなのがほしいの?」 ああ、きみってやっぱり、変わってる。 でも、うん、いいよ。君が欲しいっていうなら、いくらでもあげる。

2013-11-18 23:19:02
華夏の勇者 @battle_atom

手のひらに『口』を作って、その手で後ろに束ねてた髪を握った。 ぶつり。音がして、手のひらの『口』が髪を食いちぎる。 紅い紅い、その束は、今にも指のすきまからするりってこぼれ落ちそう。 落とさない様に気を付けながら、はいどうぞ、って、人間君の前にさしだした。

2013-11-18 23:20:02
【魔王】 @Tokimine_Seo

差し出された束を、大事に、落とさないように受け取った。ほんのひとすじでも、落としてしまったらもったいないから。 「……あり、がと」 それを、口に運ぶ。口内でもさもさする赤い髪を、じわ、じわと噛みしめて、飲み込む。 ふっ、と息をついた。半ば虚ろなまなざしが、柘榴色の彼を見た。

2013-11-18 23:33:48
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