研究発表は「英語」か「日本語」か?

研究発表をする際に日本語で行うべきか英語で行うべきかについての論考をまとめました。
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Shingo Ito @iiiitoooo

1) 経験的に研究発表の良し悪しと用いる言語は直接は関係ない。母国語であろうと外国語であろうとわかりにくい発表はわかりにくいし、わかりやすい発表はわかりやすい。逆に言えば何語を用いるかは決定的な問題ではなく、だからこそ発表内容を正しく議論できる言語で発表すべきと個人的には考える。

2013-11-24 20:56:06
Shingo Ito @iiiitoooo

2) 外国語発表のチャレンジは大いに歓迎だ。特に国際共通語としての英語の重要性は論を俟たない。世界のトップレベルで戦うならば、英語は読み書きのみならず、相手の発言を聞き自分の意見を口頭で伝える力が必要である。その鍛練の場として研究発表会を使うことは決して悪い選択肢ではない。

2013-11-24 20:56:51
Shingo Ito @iiiitoooo

3) ただし、発表で外国語を使用する際には、発表者は前記のメリットだけでなくデメリットをも甘受する必要があるだろう。例えば、自らの言語力が不充分で意図した通りに伝えられない可能性、聴衆の言語力が不充分で意図した通りに理解してもらえない可能性、その為にまともな議論ができない可能性。

2013-11-24 20:57:22
Shingo Ito @iiiitoooo

4) 何かにチャレンジをする際に、メリットは享受するがデメリットは受け入れないというのは少々虫がよすぎやしないか。双方をしっかりと比較検討した上で、デメリットまでまとめて面倒みてやるという覚悟をもってチャレンジしてほしい。

2013-11-24 20:58:01
Shingo Ito @iiiitoooo

5) その意味で学生には選択権があってしかるべきだ。教員が何語で発表しろと一律に押し付けるには問題が些かデリケート。研究室ルールあるいは周りの空気によって半ば強制的に学生個人が慣れない言語を選択させられれば、不充分な言語力によって発表が残念な結果に終わることもあるだろう。

2013-11-24 20:58:27
Shingo Ito @iiiitoooo

6) 審査員の立場からすると、私の知る限り、研究発表内容や質疑応答に関する採点基準はあっても、外国語努力点の類の採点基準はないことが多い。つまり試験という観点からは外国語の使用による加点は通常ない。むしろ言語力が不充分でまともな議論ができない場合には減点対象になる。

2013-11-24 20:59:25
Shingo Ito @iiiitoooo

7) 以上を踏まえると、言語を自由に選択できる研究発表の機会に際しては、母国語および外国語で発表することのメリット・デメリットを知ってもらった上で、学生自身に責任をもって発表と議論ができる言語を選択してもらうのがよいと思う。自分で自分の発表のあり方を考えるプロセスが大切になる。

2013-11-24 21:00:06
Shingo Ito @iiiitoooo

8) 卒業研究に限れば発表は日本語で行う方がよいと考える。日本語を使っても科学を正しく議論できる学部生の割合が少ないのがその理由。彼らにとって慣れない科学技術用語はまさに「外国語」だ。まずはそれを習得し、科学を正しく議論する力をつけることが先決だろう。英語はそれからでも遅くない。

2013-11-24 21:00:45
Shingo Ito @iiiitoooo

9) 話は冒頭に戻るが、結局発表の際に一番重要なのは用いる言語ではなくて発表の「中身」である。しっかりしたスライド作りと念入りな発表準備と適切なコマ送りと丁寧な説明と聴衆への思いやりと熱い情熱があれば、何語であっても、発表はきっとわかりやすく面白いものになると信じている。

2013-11-24 21:01:44
Shingo Ito @iiiitoooo

10) 最後に、研究発表にはその人の研究に対する姿勢が諸に表れる。それはその人の生き様そのものである。だから実際は発表内容のみならず、言語や服装や表情や仕草や言葉遣いを含む全ての要素が評価の対象となる。言語などの些細な事柄にとらわれず「いい発表」を目指して我々は精進すべきだろう。

2013-11-24 21:02:44