大罪戦闘企画

《幕間記録》
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筋トレがんばりたい深海 @_dsea

「――なんなんだ、この城は」 遠目から見たとき、妙に薄暗い雰囲気だとは思ったが、廃墟同然じゃないのか、この城は。 「ああ、もう」 散らかっているのは落ち着かない。大体あの庭もなんだ。荒れ放題にもほどがある。無造作に伸びたままの枝葉、通路だろうが木だろうが無関係に覆い尽くした蔦。

2013-11-27 18:28:57
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

ふざけるな、と言いたい。というか、城を歩き回っている間に何度零したかわからない。 「己を秩序と言うのなら、もう少し、何かあるだろうが…!」 歯軋り。散らかっている状態というのは本当に受け付けない。だがこの城を掃除してやる義理もない。

2013-11-27 18:32:40
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

しかし己の精神衛生上、ここに居続けるのはとてもよくない。 城から出て、庭園へと向かう。 先ほど秩序の傲慢がいた場所を、そのまま通り抜けようとして、傲慢ではないものがいることに気付いた。キィと、軋む音が耳障り。 「……誰、かな?」 虚ろな声。

2013-11-27 18:35:55
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

また軋む音がして、それが車輪の音と気づいた。 「――貴様こそ、誰だ」 「…私は、Perezaだよ」 「…怠惰か。……οργή、だ」 「οργή、オルゲー、…ああ、憤怒か。…あのひとも、憤怒だった」 「ここに居た、傲慢を知ら―――、…今、なんて、言った?」

2013-11-27 18:41:55
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

ペレサと名乗った男がこちらを向く。死体じみていると漠然と思った。しかしそれよりも今は優先するべきことがある。秩序の傲慢よりも先に、そちらを片づけなければならない。 「…アロガンサ、だったかな?彼なら、気晴らしだと言って、どこかへ。」 「そちらは今はいい。貴方は、今、何と言った?」

2013-11-27 18:45:04
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

何処を見ているかも定まっていないような目をゆっくりと瞬かせた怠惰の、その遅々とした動作に苛立ちながら言葉を待つ。 「……ああ、きみではない憤怒を、知っているよ、と」 「それは、何処で?」 「さあ。知らないよ」 気付いたらそこにいて、気づいたらここに居たんだから。 「――そうか」

2013-11-27 18:48:14
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

もうこれ以上何を問うても無駄か。 「きみは、どこへ?」 「貴方の言う憤怒を探しに」 「どうして?」 「私が憤怒であるから。それ以上でもそれ以下でも、それ以外でもない」 「…そんな、もの?」 「そうだよ」 「……ずいぶんと、面倒くさそうだ」 「…それはまた、怠惰らしい言い草だな」

2013-11-27 18:50:33
筋トレがんばりたい深海 @_dsea

無言で背を向ける。乱雑な足取りで歩き出す。 「――いって、らっしゃい」 「―――――」 背後、怠惰に送り出す言葉を告げられたことに一度振り返り、 「……………」 返事を、返すことはせず、庭園を抜けた。

2013-11-27 18:53:31

――とある大罪

ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

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2013-11-27 19:24:41
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

来客があったらしい。傲慢の城の中に、見慣れないものが一つ、あるのが分かる。 顔を合わせる義理も無いからと、起き上がってもそのまま無視する。傍のテーブルの上に置いてあった眼鏡を見つけて、手を伸ばして拾い上げる。 ——別に、無くてもいい程度の物なのだが。

2013-11-27 19:36:04
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

客はどこかの部屋を与えられたのだろう。色欲が帰って来ると厄介だ、そう判断して立ち上がって。 「また行くのかい?」 「……文句でも?」 「いいや、別に」 傲慢の声。舌打ちを零す。わざわざ気配を殺していたのかと。背後を振り返れば、傲慢は開いたテラスからその外を見下ろしていた。

2013-11-27 19:36:09
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

「そろそろ、ラフスーが帰って来るね」 「どうでもいいわ。……やっぱり、分かってるんじゃない。誰かに所有されるのは嫌いじゃなかった?」 「所有されている気はないな。僕に糸を付けて躍らせているつもりなら、己の身体に異変が無いかを確かめるべきだね」 ——舞台、演劇、死の語り。

2013-11-27 19:36:11
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

騙らせる者が居ると、傲慢は言う。それすら自分にはどうでもいい。場所が用意されているのなら好都合だ、好きに、動き回れるのなら。 「いってらっしゃい。何か用意しておくものはあるかな」 「静かな寝床」 「了解したよ」 その声に背を向けて、扉へと。何があるかも構わず、潜り抜け——

2013-11-27 19:36:14

――とある大罪

エメロード @actKrwz

――――――――――。

2013-11-27 20:21:52
エメロード @actKrwz

「はあ、いっぱいたべたぁ!」 満足げにその腹を撫で、暴食は金を揺らしながら、傲慢の屋敷へと帰還する。少女の螺旋を描く髪に留まっていた雀蜂も何処か気分良さげな羽音を鳴らし、ぱちりと弾けて、消え。 ――それを眺める、深紅が双つ。 「帰ったんだ、エメロード」 「ただいま、マーヤ!」

2013-11-27 20:21:58
エメロード @actKrwz

少女の声には幽かな笑みを返す。突き飛ばさんとするような勢いで抱き付いて来た暴食の、僅か紅潮した頬に触れて。 「エメロード、君は今、『幸せ』?」 マーヤ――嫉妬の問い掛けに、暴食の少女はきょとりと目を丸くして、こてんと首を横に倒す。 「しあわせ?」 「――ううん、何でも無いよ」

2013-11-27 20:22:00
エメロード @actKrwz

暴食にとって、食す事は当たり前の行為であり、それが幸せとイコールになることはない。あの暴食がそもそも幸せを知っているかどうかが怪しいけれど。 「とってもおいしかったのよ! そうだ、マーヤもいってきたらいいんだわ!」 少女の笑みにちりと心の底を焦がしながら、嫉妬はうっそりとわらう。

2013-11-27 20:22:02
エメロード @actKrwz

「うん、そうするよ」 少女の金をひとなでしてから身を離し、奥座敷をゆるりと指し示す。 「アセディが呼んでいたから、行っておあげよ」 「アセディ! そうだ、あたしあの子にお礼を言わなくっちゃ!」 ぱたぱたと足音を立てながら、少女は廊下を駆けていく。――残されるは、一人。

2013-11-27 20:22:03
エメロード @actKrwz

庭先、誂えたように用意された扉の前まで歩み、躊躇いも無く押し開ける。 「――幸せへの縁は、断ち切ってしまおうね」 呟きは、涼やかな風に溶け。扉はぱたりと、閉まった。

2013-11-27 20:22:05

――とある大罪

ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

白く短く、何処か無造作な白髪が揺れる。ピシリと伸びた背中は凛々しく、真っ直ぐに正面を捉える青海色の視線は高く。堂々と風を切り、その男−−『憤怒』は肩に座す彼女と共に白い廊下を行く。城のあちらこちらを行き来する木偶人形(メイド)たちには目もくれず、足早に。向かうは、大広間だ。

2013-11-27 23:36:52
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

彼の両腕には、目の覚めるような紅が抱かれていた。血とも焔とも分からぬ鮮やかな紅だ。その紅を−−昏々と、深い眠りにつく『暴食』を視界に映したのはいつのことだっただろうか。つい先刻だったか、それともずっと前だったか。時の狂ったこの城では、そんなことさえ正確には分からない。

2013-11-27 23:37:13
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

けれども−−と、『憤怒』は歩調を速める。とにかく、早く−−と、廊下の角を曲がろうとした、ところで。 遠く、後方から、カツン、と高い音。 「う〜ふ〜ふ〜」 次いで、耳朶を滑る、笑い声。 「おや〜?白髪のお兄さんではありませんか〜」 ある種の気味悪さを感じさせる明るい明るいその声。

2013-11-27 23:38:30