大罪戦闘企画

第十五公演《黒と金》
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華夏の勇者 @battle_atom

「ではその『退屈凌ぎ』とやらで遊ぼうか、お嬢さん。」 「……もっとも、随分と悪趣味な遊びだとはおもうがね」

2013-11-28 21:43:54
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

「……『ヒト』、ね。もうそんなモノでもないと思うけど」 くすり、初めて漏れた笑みのそれをそのまま零す。純粋な人間の身では大罪になど成れない、その精神(こころ)がどうであろうと。必ず変わり、歪むもの。 ——尤も、そんなことは、どうでも良い。この戦いの為に、自分は扉を潜ったのだから。

2013-11-28 22:12:23
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

「物騒でも悪趣味でも構わないわよ、どうせ大罪なんて他を貶めて汚して潰して奪い尽くすしかできないんだから」 指輪を三つ、落とす。小さい音を立てて水に沈むのを、聞き届けるより早く。 まるで跳ねるように水面を低く、金の剣を手に距離を詰める。向かう刃の下から斬り上げまずはその腕を、狙い。

2013-11-28 22:12:25
華夏の勇者 @battle_atom

迫る金の刃。落ち着いて一歩後ろに下がり、それをかわす。 一度距離をとるように、間隔をあけて再び太刀を握りなおしたが、いくら大罪雖も、女性に手を上げるというのはどうも気が進まないものだ。 しかし、だからと言って手を抜くのも、油断をするのも、相手に失礼だろう。

2013-11-29 10:56:27
華夏の勇者 @battle_atom

それが例え一を奪い合う敵同士であっても、いや寧ろそうだからこそ、常に仁義を示すべきだ。幼少の砌より、その様に教わり生きてきた自分にとって、彼女が言うような『大罪』としての在り方はやはり理解しがたいもので、…それ故に、【興味がなかった】のだ。

2013-11-29 10:56:54
華夏の勇者 @battle_atom

…きっと、自分は『大罪』としてはとんだおおうつけなのだろう。 自嘲するように小さく笑みを浮かべて、でもそれでいいのだ、と内心呟いた。 ――私は、私の在りたい様に、在ればいい。 軽く地面を蹴り、駆ける。 波打つ水面の波紋の様に、円を描いて、その刀を横に薙いだ。

2013-11-29 10:58:37
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

空振り、やはりこの程度で取れる程ではないか。先にも軍と言っていた、どこの時代のどの国のかはしらないが、なら多少は鍛錬も積んできているのだろう。思いながら、その男の顔に浮かんだ僅かな変化の色には眼を細め、しかし、その心もすぐに立ち消える。 ——どうだっていい、どうでも良い。

2013-11-29 12:49:24
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

すぐに身を引き立て直す。刃、片刃のそれが返されこちらを向くのを見て、水に濡れるのも構わずに姿勢を低く、刃はやり過ごす。 至近の空を裂く音と同時、地に触れた手、指の金を融かし索とし水の中に広げる。黒が目前にあるまま、大きく揺らめく水の下から、細い鋭い針として波間を割き黒を貫かんと。

2013-11-29 12:49:25
華夏の勇者 @battle_atom

「………っ!」 足元から、水面を割るようにして現れた細く鋭い何か。 反射的に身を後ろへと引いたが、予想外の場所からの攻撃だった為か、完全には避けきれず、その細い刃は脹脛を切り裂いた。 軍服が破れ、脹脛に真っ赤な一線が惹かれる痛みに僅かに顔をしかめる。 (……針…?)

2013-11-29 13:45:51
華夏の勇者 @battle_atom

足元を見やれば、金色に輝く鋭い針が、水面をかき分ける様にずらりと顔を覗かせている。 憤怒と名乗った彼女の手は水中にあり、よくよく目を凝らしてみれば、木の根の様に、針の元は全て彼女の手中へと繋がっていた。 そういえば、彼女は先ほども身に着けた装飾具を刃へと変えていた。

2013-11-29 13:46:25
華夏の勇者 @battle_atom

「…成程、面白い事をするのだね、君は。まるで奇術師だ」 刀を一度地面に刺し、ぱちぱちと軽く手を鳴らす。 こんな面白い物が見れるなら、この暇潰しも悪くない。 「…どうせ一度は死んだ身だ、今更この世に縋る必要もないしそうする気もないが……折角なら、どうか楽しませておくれ。お嬢さん」

2013-11-29 13:47:07
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

どうやら反射神経も良いらしい。思いながら立ち上がる。距離は再び、開いている。手から完全に離れて黒を裂いた金と、水の中に泳ぐそれらをすぐの場所に呼び戻す。環の形となったそれが複数、浮かび上がるのが視界の端に映る。自分には見慣れた光景。 奇術師、という言葉には、肩をすくめてみせた。

2013-11-29 14:16:54
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

「『魔女』だからね。できない事じゃなければ何だってするわよ」 一応の訂正を入れておく。手品扱いにされたままでは癪だ。手を叩く音、その仕草は賞賛か侮蔑か、どちらでも構いはしないが。 だがその後の言葉には、何度か眼を瞬かせる。腕を組んで、視線を落とした。 「……楽しむ、ねぇ……」

2013-11-29 14:16:55
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

楽しむ。その為にこれらを動かした事はない。まして他人を楽しませるとは。手持ち無沙汰に操る事はあったにせよ。 確かにこれは退屈凌ぎだ。その為に自分は来たと同義なのだが、そう言われてしまうと多少は考える部分もある。意味が歪んでいるような。 自分から仕掛けておきながら、思考に落ちる。

2013-11-29 14:16:56
華夏の勇者 @battle_atom

「…【魔女】か。詳しくは知らないが、西邦の絵本にその様なものがよく出ていたな。息子が好きだった。」 遠征から帰る度に、息子がよく異国の土産を強請っていたのを思い出す。 碌なものを与えた覚えがないが、絵本はその中でも特に喜んでいた様に思う。

2013-11-29 15:52:13
華夏の勇者 @battle_atom

絵本の中だと【魔女】は【魔法】とやらを使うらしいが、憤怒の元へと再び浮かび上がった金を見る限り、アレがその【魔法】だろうか。 …自分の様に血の流れる亡霊も居るくらいだ。今更魔女がいた所で、別段驚きもしないが。

2013-11-29 15:52:51
華夏の勇者 @battle_atom

「…そういえば、聞いてなかったね。私はこうして迷い込んできたわけだが、君は何故此処に?」 始めから此処にいたという訳でもなさそうだが、と。 思い耽っている様子の彼女に声を投げかける。 その瞳は、さも愉快そうに細められて。

2013-11-29 15:53:44
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

西欧の絵本という言葉には思案する中で少しだけ眉根を寄せた。ゆらりと揺らめくものが己の中に僅かに波を立てるが、しかしその言葉を見る限り、この黒はあそこの人間ではないらしい。そう判断して、『それ』は押さえ込む。 指を伸ばして、浮遊する環の一つを引っ掛ける。くるりと、回転させて。

2013-11-29 16:31:24
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

「私は暇潰し。何もしていないのは苦手だから。でも『傲慢(姫)』と『傲慢(硝子)』と会って殺って『傲慢(傀儡)』の所に戻って、それで二度目出て来てまた『傲慢(亡霊)』なんて、それはそれで平坦でつまらないわね」 指先で弄ぶ環はその外周に刃を象っていた。そのまま手慰みに、黒へ投擲する。

2013-11-29 16:31:25
華夏の勇者 @battle_atom

「…ああ、それは悪い事をした。もっとも、私は私(傲慢)でしかないのだから、どうしようもないが」 飛んで来た金の輪を刀で弾き、落とす。キン、と甲高い音がした。 「暇を持て余してるのは、どうやらお互い一緒の様だ。私の死後一体幾つの月が昇ったのか知らないが、余りにも蛇足な余生だよ」

2013-11-29 17:29:45
華夏の勇者 @battle_atom

心残りが全くないと言ったら嘘になるが、自分は生前の人生に、生き方に、それなりには満足していた。 だからこそ、亡霊としての今の在り方は、あまりにも宙ぶらりんで、蛇足で退屈で、落ち着かない。 「…返すよ」 水中に落ちた金の輪を拾い上げると、持ち主の元へと軽く放った。

2013-11-29 17:33:56
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

投げて返されたそれは元のように浮遊し、空中に留まる。見やりもせず、かわりに口を開いた。 「別に変われと言う気もないわ。引きが悪かっただけだもの」 それにしても傲慢だらけなのだが。同罪同士の潰し合いもここでは起こらないのだろうか、話を聞く以上、他にもこういった場がある事は明白だが。

2013-11-29 18:21:05
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

暇を飽かしているのは両方同じ、それには同意するが、その解消の方法にはどうやら差があるようだ。あるいは、あちらは解消という意識もないのかもしれないが。 つられて仕掛けてくるやもとは思ったが、どうやらそれは期待できないらしい。どうするかと、先程とは別に思考を巡らせる。

2013-11-29 18:21:06
華夏の勇者 @battle_atom

憤怒は、再び何か考え込む様に黙りこくってしまった。 大方、少しも行動を起こさない自分に業を煮やしているのだろう。 自分自身、血の気が多くないと言えば嘘になるが、かと言って自ら争いの種を撒く性分でもない。 相手が異性というのも相まって、どうも気乗りしきれていないのも、否定しない。

2013-11-29 20:13:02
華夏の勇者 @battle_atom

…だが、一度相手に答え刀を抜いた以上は、話は別だ。 「……打ち止めかな、【憤怒】君。」 小さく息をつき、一歩前へと進む。水を吸った靴は妙に重い。 刀を相手の目線に合わせる様に突きつけた。 「…遊ぶんだろう?私を動かしたいのなら、全力できたまえよ。そうすれば、私もそれに答えよう」

2013-11-29 20:14:48