12/1-7twnovel

2013.12.1-7
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おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 人生を物語にたとえて作者が自分である、それだけのことを何か深刻めいた修辞を散らして飽きもせずに呟く。嫌気がさした。私は私の物語、いや人生を書くのを止めた。〈了〉しかし、終わらない。私は何度も〈了〉しかし〈了〉またいつものあれに気付くのか。私は作者ですらない、と。

2013-11-30 08:18:46
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 否定できない普遍の真理を込めよ、と作詞の先生は説いていた。真昼が怖い、と書いたら、ありがちだね、とため息もついてくれない。戦争のない平和な社会を望む、と書いたら、酷評すら返ってこない。そもそもぼくは詞なんか学びたくない、と叫んだら、君は満点だ、と隣の子をほめた。

2013-11-30 08:19:05
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 三歳一ヶ月の幼児である私に、未来方向から知性と自我を与えた者がいる。誰なのか、考えるまでもない。それはともかく、私は知ってしまった。お気に入りの包丁と野菜、携帯電話、消防車、顔のある機関車、食材の妖精たち、絵本の動植物、何もかもこの世のホンモノではなかったのだ。

2013-11-30 08:26:32
くろのす @ks18sk

クラスで浮いてる可愛い女の子がいる。彼女が浮いていて近寄り難いらしい。もったいないなぁ、仲良くなればこんなに楽しいのに!僕は、彼女がいつか風に吹かれてふらふらとどこかへ行ってしまわないかと心配なんだ。 #twnovel 浮いてるから。少しだけだけど、地に足が着いてない。物理的に。

2013-11-30 08:28:12
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

それは夕日を蒸留した特製の酒だった。世界が夜に閉ざされて随分経つ。私の手元に残った黄昏色の酒はもうわずかしか残っていなかった。これを飲み干してしまえばもう夕日を思い出すことは出来ないのだ。私は頭から酒を浴びる。そしてライターで火を点けると地平線目指して駆け出した。#twnovel

2013-11-30 09:03:41
ヒンジ @hinge_

#twnovel 夜明け前、屋根に登り上から垂れた紐を引く。引く、引く、引き続けると、空は次第に明るくなる。紐の最後に黄色のテープが見えるまで引けば任務完了。その頃には、空はすっかり明るくなって朝が来る。寒い日は腰に応えるけれど、欠かせないのだ。太陽が消えてしまった、あの日から。

2013-11-30 09:06:47
𝕤𝕙𝕚𝕣𝕠 @yakak21

#twnovel もう会えないんだね。逢う度にこれが最後と覚悟してたけど、やっぱり辛いや。君がとても好きだった。恥ずかしがり屋な君が笑顔になる瞬間、幸福に包まれるんだ。だからいつもふざけてばかり。「ありがとう」云うと、君は目を瞠り次の瞬間微笑んだ。独り占めしてきた笑顔の解禁だよ。

2013-11-30 09:34:54
春雪 @haru_taxi

その日、都会に真っ白で冷たい雪が降った。舞うようにも見えるそれは綺麗で、触れるとすぐに溶けてしまう儚さがあった。前野祐一は病院の屋上で煙草を吸いながら手の平で溶けていく雪を見ていた。#twnovel

2013-11-30 09:58:27
春雪 @haru_taxi

「やっぱ寒いな」貸し出された入院着だけを着て肌を刺すような寒さの中立っていた。祐一は病室に帰りたくなかった。同室者で一番年老いた男が死んだのだ。優しい人で物腰が低く家族からも愛されていた。昨夜、もがき苦しむような呻き声が聞こえた。#twnovel

2013-11-30 10:05:23
粉粧楼bot @fenzhanglou_bot

身体を深く重ねた分だけ、情も深く重なってゆく、と、信じていたかった。あなたは身体ではなくて、情を重ねているのだと言うけれど、本当はそんなことは思っていないと、あなたの眼を見ればその色がちゃんと教えてくれる。このまま信じたふりが続けられるといいのだけど。 #twnovel

2013-11-30 10:16:18
なないろサイダー @sette_colori

宅配便で届いたのは大きな箱だった。開けると男の子が眠っている。そばにいた両親が口を開く「前からお兄ちゃんか弟が欲しいって言ってたでしょ」「ボタン押して、どっちがいいか選ぼうな」言われるまま押してみる。目が開いた。「…お兄ちゃん」呼ぶと彼はにっこり笑った。 #twnovel 兄妹1

2013-11-30 10:17:11
なないろサイダー @sette_colori

兄は優しくて、なんでもできる自慢の人だった。でも時々ピタリと動かなくなる。最初は驚いたが、充電が切れただけよと母は言った。それ以外はごく普通の人間のように見え、私は……… #twnovel 「あら、あなた、あの子ももう充電切れちゃったわ。そろそろ買い換え時なのかしら」 兄妹2

2013-11-30 10:18:29
なないろサイダー @sette_colori

宅配便で届いたのは大きな箱だった。開けると女の子が眠っている。そばにいた両親が口を開く「もう充電ももたなかったでしょ?だから最新型の買っちゃった」「妹か姉かおまえの好きなように選びなさい」スイッチを押す。目が開く。君とはどれくらい一緒にいられるのかな。 #twnovel 兄妹3

2013-11-30 10:19:14
xxx000pan000xxx @xxx000pan000xxx

工場のせい #twnovel 「工場ができてこの街は不幸になった。まず老人が死んだ。次は若者。そして子供まで。みんな工場のせいだ!」 「その亡くなった方ですが、お年寄りは老衰での病死、少年少女は速度超過運転での交通事故、幼児はおもちゃ誤飲での窒息。これもすべて工場のせいですか?」

2013-11-30 10:20:29
春雪 @haru_taxi

暫くすると静かになったが、なんだか嫌な感じがした。誰かがナースコールを押したのか入って来たナースは慌てた様子を見せた。その後、駆けつけた医師などが心臓マッサージや電気ショックを行った。只事ではない騒ぎに同室者は唖然とその様子を見ていた。祐一もその1人だった。#twnovel

2013-11-30 10:22:12
春雪 @haru_taxi

あの光景は一生忘れることなんて出来ないだろう。後で聞いた話では男は心臓発作を起こしたらしい。「俺もいつか……」死ぬ。そう思うだけで背筋がぞくりとした。「まぁ、足の骨折如きで死ぬわけないか」自分が可笑しくて思わず声を上げて笑う。#twnovel

2013-11-30 10:28:48
春雪 @haru_taxi

なのに鼻の奥がツンとすると両目から涙が溢れ、煙草を持ってない右手で目元を覆う。バイク事故で路面に強く叩きつけられ、体が動かなくなって周りの声にも瞳だけで反応していた。「ああ、ここで終わるのか」と悔しかった。一歩間違えれば自分も死んでいたのだ。#twnovel

2013-11-30 10:35:22
ヒンジ @hinge_

#twnovel ここでは番号で呼ばれる。呼ばれたら順番に暗い谷底に突き落とされるんだ。みんな悲壮な顔で自分の番を待ってる。なぜ落とされるのかは解らない。嫌だと喚く者はいない。僕の番号が呼ばれた!背中を押されて堕ちてく。僕は、谷底に体を叩き付けられると「おぎゃぁ!」思わず叫んだ。

2013-11-30 10:41:05
春雪 @haru_taxi

「……ううっ」人の死が雪のように消えてしまう瞬間を間近で感じ取った祐一は、悲しい筈なのに肌を刺す寒さと地面についている両足に、ただ「生きている」という喜びを噛み締めた。#twnovel

2013-11-30 10:41:25
ヒンジ @hinge_

#twnovel たぶん私は何かが酷く欠落してて悪気なく人を傷つけてしまったりするのだと思う。それに気付いたのは彼の側を離されてから…「修理に出してた彼女、引き取りに来たんですが」彼が迎えに来てくれた!「心のネジ緩んでたから締め直しておいたよ」恋人修理工場の主が満足そうに笑った。

2013-11-30 10:42:37
ヒンジ @hinge_

#twnovel 空は青かった。それとは対照的に彼の心は曇ってたんだ。思い返せばその兆候はどこかしこに見え隠れしてたのに…見たくないものを見ようとしなかったから何も記憶に残ってないんだ。「元気で…」最後にそう言った彼の顔は覚えてないけど…あのとき空は青かった。それだけは覚えてる。

2013-11-30 10:43:43
ヒンジ @hinge_

本音なんて何一つ言えないこんな性格だけど、こうすれば何だってフィクションに出来そうな気がして…素直になれるんだ。届かなくていい。ただ発したいだけ。もう何が本音なのか自分でも解らないけれど。僕は、置いたペンをもう1度取って、君宛のラブレターの最後に #twnovel と書き足した。

2013-11-30 10:47:37
ヒンジ @hinge_

#twnovel 今日は「世界が反転する日」1日だけ、空は赤く、太陽は青く、夜は黄金に、月は黒くなる。私は朝から気分が良く、彼は機嫌が良かった。何て幸せな日なんだろう。1日の終りに彼が、私の目を見つめて囁く「君を愛してる。生涯かけて大切にするよ」黄金の闇の中で黒い月が歪んでいた。

2013-11-30 10:49:12
真木野聖 @sei_makino

シャワーを浴びるのに服を脱ぐ。まだ傷跡が残っている。故郷の島で受けた傷だ。当分は消えねぇだろう。心の傷よりは先に消えるだろうか。随分銃弾を喰らっちまった。そんな事より俺が発した1発の銃弾の方が重かった。友の生命を一瞬にして奪ったんだからな。身体が勝手に反応した。 #twnovel

2013-11-30 10:56:35
☯️青山藍明&トトちゃんとラブちゃんとリズさん @rangming

窓の外から、ぼんやりと光る顔が、顔だけが私を見ている。監視しているつもりなんだろうか。どちらにしても、本人は、もうここにはいない。この世にいない、と表現した方が正しい。何もできないんだから、怖くもない。義母は口をパクパク鳴らした。入れてなんか、やらない。 #twnovel

2013-11-30 11:08:57
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