「クオリティと面白さとアンケートの関係」についてのツイートの続き。

「クオリティと面白さとアンケートの関係」についてのツイートの続き。 前回はコチラ 講談社モーニング編集長、島田英二郎氏は語る;「編集チームの考える『良い作品』と、読者にとっての『面白い作品』との乖離を、どう埋めていったらいいか?」 http://togetter.com/li/60884
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島田英二郎 @asashima1

昨日の「クオリティと面白さとアンケートの関係」についてのツイートの続き。雑誌の編集部がアンケートをどう見ているかには、みなさん興味おありのようで。俺もあります。他所の編集部はどう見てんだろ?

2010-10-20 21:01:27
島田英二郎 @asashima1

昨日は「面白い」は「おいしい」とよく似てるといいました。質のいい料理がおいしいと感じてもらえるとは限らない。いいもんつくっても「おいしい」と感じてもらえなかったら全然価値がないのかというと、そういうもんでもないとは思う。

2010-10-20 21:01:44
島田英二郎 @asashima1

確かにいい素材を最高の腕で調理した料理であっても、その人の舌に合わなければおいしくない、と言われるかもしれない。でも、ある程度の訓練を受けた料理人や評論家は、その味は理解するはず。もちろん好みはあるけど「うまくない」とは言わないはず。

2010-10-20 21:02:01
島田英二郎 @asashima1

やはり見識のある人にはわかる「客観的美味」は存在するんじゃないでしょうか? ピカソの絵は一般人には難解だけど、その価値を認めない美術家はいないでしょう。アンケートが高くても低くても、厳然としてクオリティの高い作品は存在すると思います。

2010-10-20 21:02:14
島田英二郎 @asashima1

実際単行本はなかなか売れない作品であっても、作家や編集者の多くが(好きか嫌いかは別として)「クオリティは認めざるを得ない」作品は山のようにあります。クオリティをとるか、面白いと思ってもらうことをとるかは、多くの作家さんにとって永遠のテーマなのでは?

2010-10-20 21:02:27
島田英二郎 @asashima1

「読者がクオリティについて来てくれるのを期待する」か「こちらが工夫して読者に面白いと言わせるか」。そのどっちをとるかのジレンマと言い替えてもいいです。トータルでいえば、どっちもアリ、というか、どっちの姿勢も絶対必要だと思います。

2010-10-20 21:02:40
島田英二郎 @asashima1

ある雑誌はこういう姿勢だし、ある作家さんはこういう姿勢だし、またある作家さんは、ある作品にはこういう姿勢だけど、別の作品に関してはああいう姿勢をとった、ってことでもいいし。漫画界全体のなかでいろんな姿勢をとる人がいるのが健全なのだと思います。

2010-10-20 21:02:55
島田英二郎 @asashima1

私は「漫画週刊誌」というのは「こちらが工夫して読者に面白いと言ってもらう」ことを基本姿勢にするべきだと思います。それが私個人の「週刊誌」の定義です。基本姿勢だから、中には例外作品も含まれます。っていうか、例外もないと「雑」誌にならない。

2010-10-20 21:03:07
島田英二郎 @asashima1

世界的に見れば読者の漫画リテラシーが異常に高い恵まれた国であるからこそ、こういう姿勢でやっていきたいと思っています。すごくハードだけど、新人さんが最初にそういう姿勢でプロに入るのは意味があると思う(もちろん逆の姿勢を貫くことにも意味があるでしょう)。

2010-10-20 21:03:19
島田英二郎 @asashima1

ああ、アンケートのことでひとつ言い忘れてたわ。昔から思ってたんだけど、アンケートには絶対的な限界があって、それは読者の潜在意識は反映できないってこと。読者が「今面白いと感じてるもの」しか計れない。

2010-10-20 21:03:31
島田英二郎 @asashima1

言い換えればお客さんが「潜在意識では面白いと感じてるもの」はアンケートではわからない。今は面白くなくても、そのうち面白くなるものだってある。その可能性がある作品こそ大事。作家や編集者ってのは基本的に「顕在意識」よりは「潜在意識」を相手にする商売だと思う。

2010-10-20 21:03:44
島田英二郎 @asashima1

「すでに今みんなが面白いと認めるもの」だけ追いかけてると、必ず行き場のないところに追い込まれていく。「まだ誰も面白いと思ってないこと」はなかなかカネにならないし、永遠にならんかもしれないけど、それでもそれやんないと、100%絶対に必ず間違いなくどん詰まりになる。

2010-10-20 21:04:02
島田英二郎 @asashima1

そういう発想で雑誌を運営していくのはそれなりにリスキーかもしれないけど「安全な雑誌運営」のが長期的にはもっとリスキーだと思う。「安全な雑誌運営」なんてものがあると思っている人のがよっぽどロマンチスト。リアリストなら「リスクは避けられない」と考えるはず。

2010-10-20 21:04:14
島田英二郎 @asashima1

「すぐカネになんないし、永遠になんないかもしんない」って、考えてみればまさに「新人」のことだよな。でも、だからこそ新人育てようとしない編集部は絶対どん詰まりになると思う。

2010-10-20 21:04:25
島田英二郎 @asashima1

100%こっち(出版社)の都合でもの言ってっけどね。でもそういうこっちの都合にのっかってモーニングのページかっぱらってやるぜ!って人はぜひ御応募を。次回MANGA OPENは11月30日締め切りです。http://morningmanga.com/news/800

2010-10-20 21:04:47