1) ワザ・スシ/エーリアス
「これ、アンタにサービスだぜ!」エーリアスは得意気にスシ・カウンターへと椀を出した。「オショガツ限定メニューなンだ」フジキドが顔を上げると、エーリアスの後ろでアキモトが目を細めていた。「食べていってください」「イタダキマス」フジキドは椀を持ち上げ、静かに口をつけた。 1
2014-01-05 01:37:19ダシからはほどよい塩気と温かい魚介の香り。大きさを揃えて切った根菜の下にシャケと四角いモチが見えた。「珍しいだろ、シャケだぜ」エーリアスが胸を張る。「若い頃に修行した店で覚えたものです」アキモトがフジキドの表情に答えた。「旨いです。とても」フジキドはもう一口ダシを啜った。 2
2014-01-05 01:39:19「鶏と菜ッ葉がネオサイタマ風なンだッて?」エーリアスが言った。「そうだ」「ナトリ・ゾーニですな」「ナトリ?」「名を挙げる、という意味だ」フジキドは椀から顔を上げ、モチを飲み込む。フジキドはかつて自身が食べたオゾーニを思い出そうとした。その味と風景は湯気のように遠く霞んでいる。 3
2014-01-05 01:40:15「エーリアス=サン、サケのオカワリを」フジキドは普段より少し多めにサケを飲み、スシを食べた。エーリアスとアキモトの前でほんの少しだけ饒舌になり、気分良くワザ・スシを出た。ストリートの喧騒を独り歩くうち、フジキドはふと思い立ち、コケシ・マートでモチと鶏肉、葉野菜を買った。 4
2014-01-05 01:40:37……というわけで絵も文も書かずに正月が終わったので、これから数日、ポツポツとオゾーニを題材にして短いのを流す予定です。連投になるからごめんなさい。
2014-01-05 01:50:25いま考えてるネタはサバジョ(名取雑煮カスタム)、双子(丸モチ入りミソ仕立て)、フジオ、ニチョーム(どんなのがいいかな)ぐらいなので、なんかリクエストとかがあったら喜びます。
2014-01-05 01:57:272)ネオサイタマ某所/サヴァイヴァー・ドージョー
一斗缶を改造した簡易コンロで鍋が沸く。フォレストはダシを一匙掬い、味を確かめた。バイオマガモの骨から出る力強い旨味。良し。「大将ォ! モチ、そろそろだ」別の一斗缶コンロからハイドラの声が飛ぶ。少し嬉しそうだ。「案外マメにやるよな、こういうの」ディスカバリーが鍋を覗き込んだ。 1
2014-01-07 00:34:24「行事食はなるべくやっておきたいのだ、皆楽しみにしているからな。戦況次第だが」フォレストは静かに鍋を火から下ろした。その隣でフロッグマンは茹でたマガモの肉を切り揃える。横からカマイタチが肉へと手を伸ばし、フロッグマンに手の甲をはたかれた。「オゾーニに入れるんだから食うなよ」 2
2014-01-07 00:35:13「チェッ」カマイタチは手の甲をさすっている。「でも意外とまともだよな、鳥のオゾーニ」「いや、去年はパクチー入ってたぜ」ディスカバリーが言った。「食料の備蓄状況によるのだ」フォレストが付け加えた。「モチがなかった年もあったぜ!」ハイドラが焼けたモチを椀に分けながら話す。 3
2014-01-07 00:35:50「それオゾーニって言うの?」カマイタチが聞き返すが、ハイドラは「知らねェ」と笑った。「代わりにセンベイが入ってよォ、セントールがスゴイ怒って」フォレストがふと顔を上げ、遠くを見た。「そろそろ哨戒に出た二人も戻る頃だ。盛り付けにかかるぞ」「ガッチャ」 4
2014-01-07 00:36:54モチの上にマガモの肉と葉野菜をのせ、熱いダシを注ぐ。人数分の椀が揃ったところで、セントールとファーリーマンが戻ってきた。野営地周囲には異状なし。報告が終わり、全員にオゾーニの椀が配られた。滋味を感じさせる香りがあたりを満たす。心なしかスパイシーだ。「イタダキマス!」 5
2014-01-07 00:38:583)廃ビルのアジト/フィルギアとスーサイド
点きっぱなしのテレビがジンジャ・カテドラルの様子を中継している。テーブルにはピザの空き箱、菓子やツマミの残り、コロナの空き瓶が散乱していた。スーサイドが身を起こすと元旦の冴えた空気が肌にしみた。「起きちまったよ」忍び笑いの方を向くと、フィルギアがドンブリを持っている。 1
2014-01-07 12:50:54「オハヨ。食うかい、オゾーニ」「オゾーニ?」「飲んだ後は欲しくなるだろ……汁っぽいのがさ」スーサイドは飲み過ぎの頭で考える。その間にフィルギアはドンブリの隣にカップを置いた。「節目に食うものって大事だぜ、ニンジャにとってもさ」フィルギアがドンブリのモチを一つカップに移す。 2
2014-01-07 12:51:39続けてインスタント・スイモノの袋を破り、モチに浴びせてヤカンの湯を注いだ。「ドーゾ……」「オゾーニ? これが?」「モチが汁に浸かってりゃオゾーニってわけ」スーサイドはマグカップを受け取った。人工香料のケミカルなバイオマツタケ風味。熱い汁が冷えた体を温める。 3
2014-01-07 12:52:01スーサイドはソファに伸びているアナイアレイターとルイナーを顎で指した。「アイツらのは」「ネボスケにゃ冷えた焦げモチ」フィルギアは意地悪く笑い、ドンブリの汁を啜った。「フー………」一息ついて、フィルギアは髪をかき上げる。「ドーモ。アケマシテ、オメデト。今年もヨロシク頼むぜ……」 4
2014-01-07 12:52:53kiddさんのオゾーニカラテに出てきた松茸のお吸い物と餅のオゾーニがおいしそうだからやってみた。実際うまい http://t.co/8zkxUsiieK
2014-01-13 19:18:44