「歩の字」問題 ─「捗」の旁は「歩」ではない─

国家の漢字政策に翻弄される「歩」という漢字の物語
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風霊守 @fffw2

人名用漢字における「歩の字問題」は、昭和24年6月29日に法務府民事局が「「步」と「歩」のどちらでもよい」と答えたことで既に解決しており、現在も子供の名前に1点少ない「步」を使用することが認められている。

2014-01-12 18:01:59
風霊守 @fffw2

当用漢字の流れは、現在使われている昭和56年『常用漢字表』にも引き継がれ、戦後から現在に至るまで、左右に点があるバランスの良い「歩」の字が学校教育で用いられてきた。だが、これでハッピーエンドではない。

2014-01-12 18:02:28
風霊守 @fffw2

当用漢字や常用漢字に選ばれなかった漢字は、字形変更の対象外だったので、漢字の一部に「步」を含んでいたものは依然として点が足りないままだったのだ。だから今も「捗」や「瀕」の「步」には右側の点がない。なんだか可哀想に思えてくる。

2014-01-12 18:03:05
OKEI @OKEI521

歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩步歩歩歩歩步

2014-01-12 18:03:13
風霊守 @fffw2

ずる賢い奴もいる。「干渉」や「交渉」といった熟語で知名度を高めていた「渉」だ。こいつだけはうまいこと当用漢字表に潜り込んでいたので、字形変更の対象となった。「歩の字」界の裏切り者である。

2014-01-12 18:03:57
風霊守 @fffw2

昭和56年の『常用漢字表』制定時には、「頻度」や「頻繁」で知名度を高めた「頻」がちゃっかり割り込んできた。これにより「頻」の左側も「歩」になった。

2014-01-12 18:04:38
風霊守 @fffw2

時は流れ、平成22年、『改定常用漢字表』が制定され、遂に「進捗」の「捗」が常用漢字表に加えられた。だが、今更字形変更をしたら混乱が生じると思ったのか、なんと「捗」は右側の点がないままにされてしまったのだ!

2014-01-12 18:06:10
風霊守 @fffw2

このように「歩」や「步」を含む漢字からは、国家の漢字政策の変遷を垣間見ることができるのだ。(完)

2014-01-12 18:06:34
風霊守 @fffw2

ややこしい話をしたが、点がない「步」を含んでいる漢字に余計に点をつけてしまっても誤りにはならない。ちゃんと「許容字体」として認められているからだ。だから、漢字検定などでも特に気にする必要はないのだが、やっぱり気になる。

2014-01-12 18:07:05
風霊守 @fffw2

写真の二段目に載っているのが「許容字体」。このように漢字は異体字だらけなのだ。 http://t.co/gOJv8VNS35

2014-01-12 18:11:28
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