お玉さんのほぼ日刊御手洗潔レビュー(1)

お玉さんによるほぼ日刊御手洗潔レビュー。 『占星術殺人事件』、『斜め屋敷の犯罪』、『糸ノコとジグザグ』、 『紫電改研究保存会』、『疾走する死者』の5本を収録。 続きを読む
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、明日は『斜め屋敷の犯罪』! ……これも長くなりそうだわ(>人<;)

2014-02-07 00:08:56
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、ほぼ日刊御手洗潔レビューその2『斜め屋敷の犯罪』です。 1982年11月講談社刊行。 東西ミステリーでは21位。 御手洗潔の次なる冒険は、おかしな館で起こった二つの奇妙な殺人事件の究明でした。 言わずとしれた館モノのハシリ。みんな大好き館モノ( ´ ▽ ` )ノ

2014-02-08 00:10:02
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『斜め屋敷の犯罪』に関しては、二十数年ぶりの再読だったのだけど、やっぱり大トリック、あの大トリックは鮮明に覚えてましたよ。 …… ……んっ、これ、あの大トリックを使用した二番目の殺人より、小さなトリックの組み合わせで構成された第一の殺人のほうが、 …… 面白えんじゃね?

2014-02-08 00:10:32
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

ご存知の通り『斜め屋敷の犯罪』は、読者への挑戦状が添付されており、読者は、 ①第一の殺人(上田殺し) ②第一の殺人の際、三階のクミの部屋の窓に浮かんだ男の顔事件 ③第二の殺人(菊岡殺し) ④庭の模様の謎 ⑤発火を含む第三の事件 の謎を解かなければいけません。

2014-02-08 00:10:57
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『斜め屋敷の犯罪』は、犯人を当てるだけなら、ものすごくカンタンなミステリなのですが、 ①と③をどのようにして行ったのか? ②の顔とは何だったのか? ④の図形に込められた意味は何なのか? ⑤は何故行われのか? などを考慮すると、難解極まりないわけ。これ、解けた人って、いるの?

2014-02-08 00:12:00
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というか読者への挑戦状のそのあとに②の顔がゴーレム人形のそれだと判明するデータを出すのは、アンフェアだと思うのですが……(>人<;)

2014-02-08 00:12:37
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、あの超絶大トリックですが、……やっぱスゴイの一言なのよ。流氷館の特性とアレ(綾辻行人絶賛のアレですね)のミックスはヤバイよね。 あの部屋を無くして流氷館の特性だけでトリックを提示したとしてもスゴイと思えるのだろうが……、分かりにくくするためにそこまでやるのか! レベルだ。

2014-02-08 00:13:36
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

③は大トリックをより効果的に見せる付強も徹底している。ビリヤードの話とか、牛越警部のその当夜における位置や、長い棒を使ったかも?という仮定とか……。 御手洗潔が語る真相に破壊力を与えるためのいろいろな仕掛けがウレシい。 また例のアレが、最終的に犯人の致命傷になるのもグット!

2014-02-08 00:15:28
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そして今回の『斜め屋敷の犯罪』の再読で③の大トリックより感心した①のトリック! ハッキリ言って上田殺しの動機は最悪ですし、あのダイイングメッセージはアタマかかえたよ、なのだが、この殺人を成立させる細かなトリックの連携は最高すぎる。手首に巻かれた紐なんかは、俺好みすぎるわ♫

2014-02-08 00:16:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

密室での鍵のかけ方をちょっと賢い大学生が解き明かしてしまうエピソードも好きだなぁ〜☆ その後、首無しバラバラ人形と謎の棒の前に停滞しちゃうのも。 このトリック、読者がよく考えれば判明できる匙加減なんだよね。 ただ直後に重なる②の事柄がカムフラージュになってるのだよ。

2014-02-08 00:17:13
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

ここでネタバレだが、①の上田殺しで生じた現象は計算づくからの結果だが、②の空に浮かぶ不気味な顔などは犯人にとってのイレギュラーから生じた現象。 ①のバラバラ人形の体と②の人形の首で、②が上田殺しの流れより発生したかのように読者に印象づけさせるわけ。すごい騙しのテクニックだわ。

2014-02-08 00:18:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、②の窓に浮かぶ顔だ。『占星術殺人事件』では見られなかった、犯罪の中での偶発事項が不気味な現象を誘発する、その萌芽がここに見られる。 『斜め屋敷の犯罪』の段階ではその偶然が事件の象徴までには昇華されてないのだけどね……(事件の中心軸はゴーレム人形より流氷館の構造とアレです)

2014-02-08 00:19:32
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

ここもネタバレ。 『占星術殺人事件』では非難轟々だった犯罪動機、そこに繋がる④の庭の模様の謎。 上田殺しの動機はもう最低最悪だが、大トリックで葬り去られる菊岡殺しでは、以後の島田荘司作品で本当に、本当に多く見受けられる「正直やりすぎなトンデモ動機」、その萌芽も感じられる。

2014-02-08 00:20:08
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『斜め屋敷の犯罪』は上田殺しの動機がネックなんだよね。ここを上手に処理できていれば、ラストのあの告白からの④の謎の解明でかなり感傷を誘えるのに……、ね。 思ったんだけど、御手洗長編の犯人で死刑確定なの、この事件の犯人だけじゃないかしら?(占星術のあの人は精神鑑定で逃げられそうだ)

2014-02-08 00:20:35
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

(よく『斜め屋敷の犯罪』のあの大トリックが後続の新本格系統の作家さんへ影響を与えたと言われているけど、上田殺しの動機もその後の作家さんの、深層的なところで、後押しになってるんじゃないかなぁ……。とふと思った)

2014-02-08 00:21:11
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そして⑤の発火と第三の事件。 う〜ん、アレよね、これも読者へのカムフラージュとしての側面もあるんだよねぇ。事件の連続性という推理小説の無意識の枷を利用しているんだよね。 しかし、このパートの出来事を読者への挑戦状の範疇に入れるかな〜。ちょっとどころじゃない意地悪さだ

2014-02-08 00:21:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

よく言われる『斜め屋敷の犯罪』での御手洗潔はエキセントリックすぎて、もう完全に変態の域まで達している! 読者にとって安心できない探偵だけど、⑤のアレを考えると、あの変態性も趣向を成立させるための補助線として見ることができ……、いや考えすぎか。 やっぱキャラが固まってないだけよね

2014-02-08 00:22:05
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『斜め屋敷の犯罪』の島田荘司は、『占星術殺人事件』のアレに匹敵する大トリックを用意しつつも、異常なまでの小技を組み合わせた快作だ。 御手洗潔の登場までが長いし、出て来てからも僕らがよく知っている御手洗潔じゃないのだが、お話自体は僕らがよく知っている島田荘司のものとなっているよ

2014-02-08 00:22:42
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

最後に超絶ネタバレ! 『斜め屋敷の犯罪』に挿入されている図版は、……ほとんど意味がない! Σ(゚д゚lll) http://t.co/aGLlSVNF7J

2014-02-08 00:23:47
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで『斜め屋敷の犯罪』おしまい( ´ ▽ ` )ノ ごせいちょうありがと〜 発表順なので、明日は『糸ノコとジグザグ』

2014-02-08 00:24:39
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、ほぼ日刊御手洗潔レビューその3『糸ノコとジグザグ』です。 「小説現代」1985年4月号にて掲載。 短編集『毒を売る女』に収録されていますね。(テキストは講談社BOX 『島田荘司 very BEST10』を使用してます) といっても、実はこの短編、つい先日まで未読だったのです

2014-02-09 00:20:59
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

昔いんなぁとりっぷの霊友会でお馴染みの「ラジオ図書館」、でのラジオドラマで聞いていた。それと御手洗潔シリーズの番外編的扱い(あの人が御手洗潔なのは99%確定なのですが)、そんな事前情報を聞いていたので、ついつい読む機会を逸してたの。 というのが『糸ノコとジグザグ』未読だった原因。

2014-02-09 00:22:17
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

だが、今回のマラソンを敢行しようと思ったキッカケの一つ、原点火先生の『ミタライ』! その第一話にてしれっと御手洗が登場しており、内容もメチャクチャ面白かったので、慌てて収録本をポチッたという次第なのです。(『ミタライ』での島田荘司自身の自作解説がブッ飛んでるので、コレも必見だ!)

2014-02-09 00:22:38
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

…… あれれ! これ、漫画の『糸ノコとジグザグ』のほうが、……面白いんじゃないかしらΣ(゚д゚lll) 都市を暗号化するという上面の謎は同じだけれど、原作小説のテーマであった漠然とした孤独が、『ミタライ』では林DJの心情が明確となり、より自殺に対して真摯な物語になっている

2014-02-09 00:23:13
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

1985年の発表当時の世俗はよく知らないが、一年に一度のクリスマスの夜に、わざわざあの人を心配して300人もの人が集まるという内容に、都会の孤独というテーマが重なり見えて感動的なのだが……、 『ミタライ』でのバイクをすっ飛ばしながら熱く生について語るDJ林が、カッコよすぎるんよ。

2014-02-09 00:25:52