大カトーは如何にしてカルタゴ滅亡を唱えるようになったか

タイトルの通りに進めるつもりがなんか色々と脱線して長くなりました。あ、あくまで基礎的な話に重点をおいて纏めたものですのであしからず。
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私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

カルタゴは元々、緑豊かで地中海随一の生産量を誇る北アフリカの食料生産の独占と海上交易路の経済力を元に台頭、発展してきましたが、大カトーはその実態を初めてその眼にしたローマ人の一人と言えるでしょう。

2014-02-07 00:00:34
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

そして、大カトーは次にカルタゴ市を中心としたカルタゴ傘下都市を巡り、ここでも衝撃を受けました。あの過酷な講和条約により重い賠償金を課せられ、海外植民地や交易中継点を失っても、その経済圏を本国に縮小させはしましたが何処も活気に溢れ、国力も人口も増加傾向にあることを知ったのです

2014-02-07 00:06:22
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

なお、この時期にはカルタゴはほぼ賠償金を払い終えていたと言われています。

2014-02-07 00:07:58
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

最後に、大カトーは港を見、そこに大量の船舶用の木材が積み上げられているのを見たという話があります。大カトーはこれについては衝撃と同時に危惧を覚えたのだとか。何故なら、その木材が商船に使われても、軍船に使われてもカルタゴはさらに経済力もしくは軍事力を復活させるであろうからです。

2014-02-07 00:12:03
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

(流石に軍船の製造と所持は条約にて制限を受けたままだったのでこの時期のカルタゴがそのようなローマを挑発する真似はしなかったろうと思いますが)

2014-02-07 00:13:16
東乃りんざ@サバイバルダンス @rinza_touno

@centurio_P とにかくカタルゴは滅ぼさねば!に繋がるのかw

2014-02-07 00:16:56
Nuregon @Nuregon

@centurio_P 一括で残りの賠償金を支払うと申し出たことあるんでしたっけ… 手足もがれた状態でそうなんですから脅威ですよね

2014-02-07 00:14:47
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

実際、この「最期の繁栄」と言われる第三次ポエニ戦争直前のカルタゴは文字通り繁栄しておりました。それは農場から齎される都市を潤す食料、カルタゴ市が古来から抱えていた商工業の生産物、その食料や生産物を輸出に回して得た交易収入とアフリカ傘下都市からの貢納による巨万の富。

2014-02-07 00:24:18
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

毎年200タラントを払うよう言われた賠償金(銀一万タラント)を敗戦後10年で一括払いできるとローマに伝えた話は実に有名ですね。さらにこの時期のカルタゴはローマを初めとしたイタリアにも数多くの食料輸出をしており、一面的見方をすればイタリアは「胃袋を握られていた」ともいえる状態でした

2014-02-07 00:26:44
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

これはイタリアの各種遺跡からカルタゴ産であろう生産物が見られ、逆にアフリカのそれらからはカンパニア産イタリア産といえる生産物が多く発掘されていたことからも伺えます。

2014-02-07 00:28:30
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

大カトーの有名なエピソードとしてイチジクがあります。大カトーは見事なアフリカ産のイチジクを握り、人々に示しながら「このようなものを産出する豊かな地が、船で三日の距離にある」と説きました。それはイタリア胃袋を握る存在が三日という余りにも近い場所にあるという危機感を煽る為だったのです

2014-02-07 00:36:27

そして、大カトーは動いた

私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

さて、カルタゴが如何にしてカルタゴであるのか、というのをまじまじと感じ取った大カトーをはじめとした使節団は(肝心の仲裁はカルタゴが不服を表明した為、紛争は継続されました)ローマに帰還し、同時に元老院と市民達に猛烈な反カルタゴキャンペーンを始めました。

2014-02-07 00:49:59
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

大カトーの一派は「カルタゴはもはや嫉妬や憎しみの対象ではなく、懸念の存在とすべきである。かの国は近く、着々と成長し続けている」と説き、大カトーに至っては「完膚なきまでに破壊すべきである」とまで主張しました。

2014-02-07 01:02:19
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

実際に、幾度叩いても復活するカルタゴにヒステリックな不安や何かを抱いていたローマ人もいたといえるでしょう。その多くは大カトーに同調し、カルタゴ破壊論を唱えました。

2014-02-07 00:59:48
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

元老院はこのキャンペーンに揺れ、ナシカをはじめとしたカルタゴ存続論(カルタゴという脅威がいなくなれば、昨今のローマの緩みがちな規律と緊張は完全に弛緩してしまう。潜在的な敵は維持すべきであるという主張)を唱える一派と争いながらもカルタゴ滅亡を決意していくのです。

2014-02-07 01:05:31
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

そして、継続していたヌミディアとカルタゴの紛争をきっかけにローマは軍団を集結、介入を決意し、カルタゴは真っ青になりつつも和平の道を探るもローマの高圧的な主張に撥ね退けられ、カルタゴ全てが絶望と諦観に満ちた悲劇的な第三次ポエニ戦争へと突入していくわけですが……以降は別の話ですので。

2014-02-07 01:08:06

後は余談です

moltoke◆Rumia1p @moltoke_Rumia1p

@centurio_P  (・w・;) しかし、食糧供給減と資金源としてのカルタゴはそれなりに美味しい存在 だったのでは・・・;; 潰してしまった後に反動がきそうな;;

2014-02-07 00:29:25
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@moltoke_Rumia1p つまりはその生産と富を一括に管理し、蓄えているカルタゴという存在が脅威と感じたわけで、その中心たる存在を消してしまえば、後はローマに管理者が変わるだけだったのです。実際、後に北アフリカの食糧生産と富はローマが管理しますし

2014-02-07 00:38:20
moltoke◆Rumia1p @moltoke_Rumia1p

@centurio_P  (・w・) あー、なるほど。というか、それなら単にカルタゴを 併合してしまえばよかったような。農地に塩を撒き殲滅するような対応をやるのは 明らかに潰されても潰されても生き返るカルタゴに恐怖してた感じが。 ゾンビ相手にしてるみたいに

2014-02-07 00:42:48
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@moltoke_Rumia1p 農地に塩をまいたか、というのは伝説的であって、実際にしたかというと結構疑問があるのですよ。また、破壊した都市と土地に撒いたというだけで農地に撒いたとはわからないのです。実際にそのヒステリックな恐怖というのがローマの一部にあったのは事実ですが……

2014-02-07 00:55:17
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@moltoke_Rumia1p また、カルタゴ市の破壊は悲劇的ですが、実際には当時の戦争マシーンと化したローマによって灰燼に帰した都市(コリント等)は結構見られるものでもあり、「慣例的」に都市を滅ぼしたのだという意見もあります。もちろん宿敵カルタゴへの怨念も加わってはいましたが

2014-02-07 00:57:59