「八百万」化する西洋、「一神教」化する日本

shinshinohara @ShinShinohara

八百万(やおよろず)化する西洋、一神教化する日本。東洋化する西洋、欧米化する日本。逆説的なねじれ現象が進行しつつある。

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西洋では最新の科学の成果、たとえば脳科学や分子生物学、「ミツバチの科学」にみる生物学にいたるまでの幅広い分野から、特に指揮命令系統もなしに「愚かな」要素が寄り集まって情報処理し、集団として賢明な判断を下す「衆知」の研究が進んでいる。リーダーのいない「八百万」化だ。

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日本の科学も同様の成果が上がりつつあるが、科学の分野に浸食しつつある気になる傾向がある。優れたリーダーだけが優れた成果を上げる、という「一神教」的思考だ。多くの人は愚かだから、優れた人間に権限と資源を集中させた方が効率がよい、とする考え方だ。

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日本が「一神教」化するのには理由がある。財政難、景気悪化だ。研究員に等しく予算を振り分けたくても資金がない。やむを得ず特定の人にだけ予算を集中させざるを得なくなっている。その状況を正当化するために「優れた人間」という「一神教」的思考がもてはやされている。

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かたや西洋はただひとりの神と比べればどの人間も些末な存在。神と比するほどの賢明さがあるはずがない、という潔い諦めがある。このためかえって西洋では「我ら凡愚の人間が衆知を集めて少しでも賢明な判断に近づかなければ」という「八百万」的発想を取りやすいようだ。

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逆に日本では神が八百万いるので、人間まで八百万の多様性があると収拾がつかなくなるという、ポピュリズムを恐れる気風が強まっている。せめて人間は優れたリーダーのもとで「神の代理人」のように絶対的権限を与えた方がうまくいく、と思われ始めている。擬似「一神教」化だ。

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一神教を信じる西洋が人間社会で「八百万」化が進み、八百万の神を奉る日本が人間社会で「一神教」化が進むねじれ現象。しばらくはこの傾向が続きそうだ。