■「なっ!?」ででどんとイクはぎょっとして声がする先を見た。けまるである。毒針を受けたのに至って元気そうなけまるである。「いや冷静に考えてどっから毒針出てくるんだよ、阿呆かな?」
2014-02-19 07:43:30■「ついでに言うとDSじゃ人を殺せねーわ」「残当やね、あ、色違い出たわ」康一くんと皆川。「ニチアサで過呼吸とか茶飯事だからね」「私が養ってるボスがこんなタイミングで死ぬわけ無いでしょ?」さかしろとすないぷ。
2014-02-19 07:46:13■「ポケットのあのねばねば……オレンジがかったあれは限定パッチールキーホルダー。指輪はイクさんあたりが遺体を確認するときにつけたのでしょう」医者が共犯であれば容易い。
2014-02-19 07:49:13■「ででどんさん、あんたはプロット通りの殺人を……ジョーカーになることを請け負った。そもそもプロトオーガ氏にきた殺人予告も俺たちを集めるためのデタラメ」けまるは懸賞感覚でここにきていたが、それはとりあえず置いておく。
2014-02-19 07:51:13■「そうだ……と言いたいところだが少し違う。父は……俺が殺すまでもなく病気で死んでいた。だから俺は父の意思を次いで、この海上ロワのジョーカーになった」
2014-02-19 07:55:08■ででどんは大分頑張った。綿密に計画をねり、偽装し、疑心暗鬼と適当な人間たちにつけ込み殺害していった。熱いバトルもなく、淡々と。それは彼の性分には合わなかったが、父のプロットの遵守のためであった。
2014-02-19 07:57:08■「そのリレーは待った!」おうむは、豊満な胸元から書類を抜き出しばら撒いた。ひらひらと落ちていくのは、ででどんの知らない父のプロットであった。
2014-02-19 08:01:14■「こ、これは……!」そこには、推敲され直したプロットがあった。ジョーカーであるででどんが改心し、対主催として父と決戦するプロットが。
2014-02-19 08:02:28■通常五人近く殺しておいて改心対主催など許されたものじゃない。非難轟々だ。それでも父は、息子の熱い展開力に賭けてプロットを作りなおしたのだ。その原稿は、けまるがかち割った金庫に保存されていた。
2014-02-19 08:04:13■「いや今更改心してもブタ箱だけどね?」康一くんが煽る。「今そういうこと言うとトカチックリムされるよ」けまるも微妙に空気と流れを読む。
2014-02-19 08:05:27■「そうか……俺は……」ででどんが膝をつく。すないぷは無言で促す。そっと、差し出された腕に手錠がかかった。ジョーカーは改心したが主催は居ない。中途半端な海上ロワイアルは終わりを告げる。
2014-02-19 08:07:31■事件の顛末はこのとおりだ。船はロックを解除され、港に戻った。みんな無事を喜び、死者を弔った。殺人とは関係のないところで急性アルコール中毒車が出ていたが無事救急車に運ばれていった。
2014-02-19 08:09:04■「いやあやっぱりクソメガネはクソだわ、かえって艦これしよ」けまるは早々に事件のことなど忘れて家路についた。けまるがなぜこの会場に呼ばれたのか知るものはいない。
2014-02-19 08:10:44