トゥー・レイト・フォー・インガオホー #4
「アー……多分バッチリだ」スカラムーシュは頷いた。副機関室を制圧したことで、このビルのシステムの何割かを自由に出来る。少なくとも、これで、目当ての連中を1階から逃す事は無くなった。ニンジャスレイヤーにとって必要なのはこれに加えて主機関室の制圧だ。情報はそこにある。恐らく敵も。22
2014-02-19 00:33:20死臭漂う11階廊下を二人は移動し、エレベーターに辿り着いた。階数表示のLEDが「YCNAN」の文字を瞬かせる。警報音も鳴っていない。「何階だ」エレベーター内に滑り込み、スカラムーシュが問う。答えるように、階数ボタンの4階が点滅した。ギュグン……下降Gの中、二人は無言だ。 23
2014-02-19 00:38:30「ブッ殺してやる」スカラムーシュはニンジャソードを引き抜いた。「どいつを殺しゃイイのかもわからんが」ポーン!「4階ドスエ」合成マイコ音声が鳴り響き、エレベーターがフスマ戸を開いた。5階に吹き抜ける高い天井と円柱、ライトアップされたプールとバイオ松が彼らを出迎えた。そして敵が。24
2014-02-19 00:45:37死臭漂う11階廊下を二人は移動し、エレベーターに辿り着いた。階数表示のLEDが「YCNAN」の文字を瞬かせる。警報音も鳴っていない。「何階だ」エレベーター内に滑り込み、スカラムーシュが問う。答えるように、階数ボタンの4階が点滅した。ギュグン……下降Gの中、二人は無言だ。 23
2014-02-19 22:25:00「ブッ殺してやる」スカラムーシュはニンジャソードを引き抜いた。「どいつを殺しゃイイのかもわからんが」ポーン!「4階ドスエ」合成マイコ音声が鳴り響き、エレベーターがフスマ戸を開いた。5階に吹き抜ける高い天井と円柱、ライトアップされたプールとバイオ松が彼らを出迎えた。そして敵が。24
2014-02-19 22:25:41「スッゾオラー!」「ザッケンナコラー!」クローンヤクザ達が一斉にアサルトライフルやチャカを構えた。巨大ダークスーツに身を包み、ホッケーマスクを被ったスモトリヤクザも数名。彼らはポケットからナックルダスターを取り出し装着する。「アイエエエ!」プールから水着オイラン達が這い出す。25
2014-02-19 22:29:48プールを挟んだ奥、カドマツの列で隔てられたデスクスペース、男がUNIXモニタから顔をあげた。スカラムーシュはそいつの顔に覚えがある。クライアント。シバだ。否、つまり、シバを名乗った男だ。男は口の端を歪めて笑った。スカラムーシュのニンジャ洞察力は透明な防護壁の存在を見て取る。26
2014-02-19 22:35:56デスクスペースにはその男一人ではない。もう一人、奇怪なアトモスフィアの男がいる。最初その男はオメーンを被っているように思えた。だが違った。外科手術だろうか。男の顔は不自然な笑顔に固定されているのだ。二人の男は椅子から立ち上がると、闖入者を指差した。BRRRRTTTT! 27
2014-02-19 22:40:17襲い来るアサルトライフル銃弾!「イヤーッ!」スカラムーシュはデスクスペースの二人に向かって殆ど反射的にスリケンを投げた。KLINK!KLINK!防護ガラスは白く光り、スリケンを停めてしまった。何らかのテクノロジーなのだ。一方ニンジャスレイヤーは斜めに跳んでいた。「イヤーッ!」28
2014-02-19 22:44:56BRRRTTTTT……スカラムーシュは数発を避けきれず被弾。ニンジャアドレナリンが痛みと恐怖を掻き消す。彼は頭上でニンジャスレイヤーが落下してきた影とぶつかり合った瞬間をかろうじて視界に捉えた。天井からのアンブッシュだったのか?「「イヤーッ!」」 29
2014-02-19 22:50:51ぶつかりあい、互いに跳ね返ったニンジャスレイヤーともう一人は、プール両端のコマイヌ・マーライオンにそれぞれ着地、オジギを繰り出した。「ドーモ。レッドラムです」「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」アンブッシュ者はニンジャだった。赤い刀身のカタナの二刀流。赤熱している。 30
2014-02-19 22:55:09「イヤーッ!」スカラムーシュは柱の陰へ転がりながらスリケン投擲!「グワーッ!」クローンヤクザ一人が脳天にこれを受けて倒れる。BRRRRTTTT……凄まじい銃弾が返ってくる!「イヤーッ!イヤーッ!」スカラムーシュは身を乗り出してはスリケンを投げ、また投げる!「イヤーッ!」 31
2014-02-19 22:58:13「グワーッ!」一人倒れ、また一人倒れるクローンヤクザを乗り越え、踏み潰しながら、スモトリヤクザが迫る。スカラムーシュはかかっていこうとするが、ZZZZTTT!足元に激しい銃弾が着弾!緩やかな手摺り階段の踊り場に設置されたミニガンからの掃射だ!「畜生」スカラムーシュは再び陰へ!32
2014-02-19 23:02:31「貴様がニンジャスレイヤーとやらか」レッドラムが二刀流を構える。「ここに現れたということは、すなわちサーガタナス=サンを殺したという事だが……」「でなくば、何だ」「不足なし」グルグルと喉を鳴らし、ニンジャ剣士は笑った。 33
2014-02-19 23:07:31「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げ、同時に跳んだ。「イヤーッ!」レッドラムは飛来したスリケンを切断し、やはり跳んだ。「イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」空中で激しい衝撃音と光が二度弾けた。二刀流とヌンチャクのぶつかり合いだ。「「イヤーッ!」」34
2014-02-19 23:08:55防護壁の奥ではシバと笑顔手術の男がハシゴを登ってゆく。スカラムーシュは焦った。だが……「ドッソイ!」「ハッキヨホ!」銃撃のリロード時間をついて、柱を回り込んでくるスモトリヤクザの巨体!「ドッソイ!」アブナイ!スカラムーシュの目が殺意に燃える!「イヤーッ!」襲いかかる!35
2014-02-19 23:15:04「イヤーッ!」ニンジャソードをスモトリヤクザの脇腹に突き刺す!「グワーッ!」「イヤーッ!」スカラムーシュはソードの柄を踏み台に蹴り、跳躍!高さを稼ぎ、ひるむスモトリヤクザのホッケーマスクとフェイス・トゥ・フェイス!「イヤーッ!」「グワーッ!」横薙ぎガントレット爪! 36
2014-02-19 23:19:50ホッケーマスクごと顔面を切り裂かれ、スモトリヤクザは悶絶仰向け転倒。着地したスカラムーシュは脇腹から突き出たニンジャソードを掴み、傷口を掻き混ぜた。「アバーッ!」サツバツ!そこへもう一体スモトリヤクザ接近!「ノコータ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」振り向きガントレット爪攻撃!37
2014-02-19 23:25:13「マッタ!マッタ!」手のひらをかざして後ずさるスモトリヤクザを、スカラムーシュは追撃にかかる。「イヤーッ!」「グワーッ!」横薙ぎニンジャソード!腹が裂け血が噴き出す!スカラムーシュはさらに追撃……BRRRRTTTT!「グワーッ!?」ナムサン!柱の陰から出た途端に弾の嵐! 38
2014-02-19 23:28:55ナムサン!スモトリヤクザもろともズタズタのボロ屑とすべく浴びせ掛けられる掃射!「グワーッ!」スカラムーシュはキリキリ舞いするスモトリヤクザをかろうじて掴んで引き寄せ、肉の盾とする。BRRRTTTT……「ウオオーッ!」そのまま手摺り階段めがけ突進!狙うはミニガン砲台のヤクザ! 39
2014-02-19 23:32:26「イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」一方、プールサイドではレッドラムとニンジャスレイヤーが互いの得物をぶつけ合いながら動き回る。「グワーッ!」「アバーッ!」巻き込まれたクローンヤクザが死に、首や手が吹き飛ぶ。「アイエエエ!」乳房もあらわな水着オイランが逃げ惑う! 40
2014-02-19 23:45:09レッドラムはニンジャスレイヤーを睨んだ。「得物が違う。私のヒート・ケンはテックと匠の技のハイブリッドだ……差が出て来たぞ」ニンジャスレイヤーは己のヌンチャクを構え直す。武器の限界が近いか。「確かに貴様は強い、ニンジャスレイヤー=サン。だが、 貴様を超えることに意味がある」 41
2014-02-19 23:55:14ニンジャスレイヤーはじりじりと摺り足で間合いを測る。赤い目が燃える!「イヤーッ!」レッドラムの斬撃が襲いかかる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクで反撃!打ち返す!だが二刀目が襲いかかる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは鎖で受ける!「モラッタ!」 42
2014-02-20 00:12:17