「企業の募集要項、見ていますか?」冊子公開と論点提示

ブラック企業対策プロジェクト発行無料冊子第2弾(2014年2月19日公開) 嶋﨑量・上西充子・今野晴貴「企業の募集要項、見ていますか?―こんな記載には要注意!」 下記よりSlideshareの閲覧とPDFダウンロードができます http://bktp.org/news/588 続きを読む
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上西充子 @mu0283

21:もう1つ、第4に、入社時に(本当は必要な)書面での労働契約の締結を行わず、実際に働いて給与明細をもらう段階になってから、60時間の残業をしているのに月給が22万円しか出ない、おかしい!という場合がある。

2014-02-20 13:06:54
上西充子 @mu0283

22:この場合、「22万円に60時間分の残業代は含まれているんだよ」と使用者があとから言っても、そういう契約内容に労働者は合意していない。そのため、争えば、使用者側のそのような主張は通らない。

2014-02-20 13:07:21
上西充子 @mu0283

23:こう考えていくと、第2のケース(残業代を含んだ給与を募集段階で示す)は、第3のケース(入社時に初めて、給与額に残業代を含んでいることを明かし、労働契約を結ぶ)に比べると、「説明しているだけ、まだまし」と考えることもできる。

2014-02-20 13:07:37
上西充子 @mu0283

24:だが募集要項の月給22万円に60時間分の残業代が含まれていることに気づかないまま応募し、入社時の労働契約で「月給22万円(基本給151,000円、60時間分の割増賃金69,000円)」と内訳が書かれた書面に、残業代を含んで22万円であることに再び気づかずサインすると、

2014-02-20 13:07:53
上西充子 @mu0283

25:その労働者は、気づかないまま、60時間分の残業代を含んで22万円、という労働条件に合意したことになってしまい、争うことが非常に難しくなる。その意味では、第2のケースが良心的とは言えない。やはり、募集の段階で「月給151,000円」と示すべき。

2014-02-20 13:08:10
上西充子 @mu0283

26:改めて第3のケース(入社時に、募集要項とは異なる労働条件で労働契約を締結させる)について。募集要項と異なる労働条件で労働契約を締結すること自体は、違法ではない。

2014-02-20 13:08:21
上西充子 @mu0283

27:例えば月給20万円で募集している求人に対し、「自分はこれだけ高い能力があるから月給25万円で雇ってくれ」と労働者が交渉し、使用者が同意すれば、月給25万円の労働契約を締結することが可能になる。原理的には、そういう可能性も考えられている。

2014-02-20 13:08:39
上西充子 @mu0283

28:けれど実際には、募集要項より好条件で雇ってもらえる可能性なんてほとんどなくて、募集要項より悪い条件で働かざるを得ないケースは山ほどある。新卒なら、募集要項を見るのは今頃のタイミング。そして、入社は1年以上先。

2014-02-20 13:08:52
上西充子 @mu0283

29:入社段階で募集要項とは労働条件が違うことがわかっても、1年前には戻れない。もうこれから就職活動を再開するのは難しい、と考えて、諦めて入社することも多いだろう。

2014-02-20 13:09:04
上西充子 @mu0283

30:そのように労働者側が弱い立場にあるということを利用して、そして、募集要項と労働契約の内容は異なっていても違法ではないということを利用して、故意にニセモノの好条件を募集段階で提示する企業がある。

2014-02-20 13:09:37
上西充子 @mu0283

31:冊子では、そういう企業のおかしさに気づくためにも募集要項をよく読んで保存しておくこと、労働契約の段階でおかしいと思ったらサインせずにきちんと労働条件を確認することが必要であることを書いた。

2014-02-20 13:09:51
上西充子 @mu0283

32:さらに、悪い労働条件を隠したうえで曖昧な労働条件で人材を募集する行為(第2のケース)も、応募する人の弱い立場につけ込んで募集要項とは異なる契約を結ばせる行為(第3のケース)も、いずれも(法的にはともかく)「社会的には絶対に許されない行為」だと述べた。

2014-02-20 13:10:00
上西充子 @mu0283

33:さらに冊子ではこう述べている。「悪意を持った企業の脱法行為を許していると、就活中の学生が無知につけ込まれて被害に遭ってしまうだけでなく、正しい採用活動をする企業が損をして、

2014-02-20 13:10:10
上西充子 @mu0283

34:(つづき)悪意を持った採用活動を続ける企業(=離職率が高い、ブラック企業が多い)を利することになってしまいます。このような状況が続く限り、いつまでたっても、このような問題のある企業が排除されず、悪循環となってしまいます。」

2014-02-20 13:10:22
上西充子 @mu0283

35:つまり私たちはこの冊子で、「それは違法じゃないからしょうがないんだ」という姿勢はとらず、「違法じゃないことをいいことに、いいかげんな募集要項で求人する行為がまかり通っている、それでいいのか」という問題提起をした次第。

2014-02-20 13:10:33
上西充子 @mu0283

36:実際に、「違法じゃないから」と、実際の労働条件とは異なる高い労働条件を募集段階で示す行為を、暗に使用者に許容しているように思える書籍もある。実際に、そのようなアドバイスに従って、法に触れないぎりぎりのところを戦略的に行う企業もあるだろう。

2014-02-20 13:10:43
上西充子 @mu0283

37:記者会見の質疑で今野さんが次のように語っていた。労働市場が円滑に機能することが大事だということは多くの人が語る、けれども、募集要項が実際の労働条件を的確に反映していなければ、求職者の求職コストも、実直に募集を行う企業の募集コストも無駄に高くなるのに、

2014-02-20 13:11:04
上西充子 @mu0283

38:そのことが問題にされていない。それでいいのか、と。

2014-02-20 13:11:31
上西充子 @mu0283

39:そういう次第で、「企業の募集要項、見ていますか?」というこの冊子は、就活を行う学生さんたちに注意を促す冊子であると同時に、内容的な踏み込みは十分ではないものの、

2014-02-20 13:11:41
上西充子 @mu0283

40:募集要項の記載が曖昧であるという問題(第2のケース)、さらに募集要項と実態が違うという問題(第3のケース)についても、問題提起を行い、社会的に論議が高まることを期待している冊子でもある。

2014-02-20 13:11:50
上西充子 @mu0283

41:実際、この前のTBS「サタデーずばッと」http://t.co/d4x8mpOvbm (今回の筆頭著者の嶋﨑量弁護士がゲストコメンテーター)やEテレ「明日から役立つワークルール」第1回のように、求人票の内容や労働契約の内容を問う機運は社会的に高まっている。

2014-02-20 13:12:43
上西充子 @mu0283

42:かつては、労働条件が曖昧でも、労働者側も問題にしてこなかった。問題にしなくても、そう大きな問題にはならなかった。けれど、若者の使い捨ての問題が表面化している今日、労働条件が曖昧なままでは、長時間のサービス残業をさせられて使い捨てられる危険は高まっている。

2014-02-20 13:13:06
上西充子 @mu0283

43:だから、募集要項の内容(わかりやすい労働条件の提示を!)や、募集要項と労働契約の関係(労働契約と異なるニセモノの高い労働条件提示を許さない!)について、社会的な論議が高まる方向に向けて、この冊子も寄与できれば嬉しい。

2014-02-20 13:13:29
上西充子 @mu0283

44:さらに、ブラック企業対策プロジェクトとしては、この問題についての政策提言も行っていきたいと考えている。以上。

2014-02-20 13:13:40

「固定残業代」は長時間タダ働きの指標となりうる

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