- umi_tisn_kanri
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まぁ、居た。ご飯粒と干し肉をむしゃむしゃしながら果汁水のビンを抱えてる姿だったが、確かにそこに『無学』は居た。 「……『偽計』じゃん!ちゃんとご飯食ってる?辛かったらいつでもうちの海賊団に来るといいよ。ご飯だけは美味しいから!」
2014-03-02 22:52:26そして横にいる者も視界に収めた。 「『壊尽』はうちには来るなよ。取り分が減るし!」 『壊尽』は略奪品を奪わず壊す主義なのでわりと邪魔だったが。 「まあ、しかしそれでも今回はいいな。いっつもは邪魔ランク1位の『壊尽』サマも、今日だけは頼もしいランキングベスト3だった」 しみじみ。
2014-03-02 22:55:53そして次の食材に手を伸ばした。それを食べたら次の物資の箱に手をのばすに違いないのだが。 「あ、今オレは今見張る係やってるから。食いもん、な」もぐもぐ そして次の箱を開けかけて ガクガク震える。 「あの密閉式の悪魔の魚料理が入ってるんですけど!!あとで私刑だな、絶対」
2014-03-02 22:57:46『偽計』の言葉に応えることなく、ただ鼻歌を口ずさみ歩む。やがて辿り着いた船長室で、積み荷の食べ物を貪る『無学』の姿を見つけ、かけられた言葉に、ふはっ、と吹き出した。 「あはは、ひっどーい。少しくらいなら壊したって変わんないじゃん、いっぱいあるならさ」 けらけらと笑う姿は年相応に。
2014-03-02 23:23:28しかし、続いて聞こえてきた彼女のしみじみとした呟きには、目を瞬かせた。 「わあ、『無学』がそんなことを言うなんて、なんかあったの? めっずらしー」 瞬きは短く、船長室を見回して。——黒い鳥を見つける。それ以外何もいない。 「あれ、まだ揃ってない感じ? あの鳥は『誘惑』のかなあ?」
2014-03-02 23:23:32くるり、と見回した後、『無学』に向けて、言葉を投げる。むしゃむしゃと次から次に積み荷の中身に手をつけていく彼女に、目をやり。 「もー、食ってばっかだねえ。魚ダメだったけ? 要らないなら、俺に頂戴よ。手慰みに壊したい」 ちゃっかり、自身の欲求も織り交ぜながら、にっこり、と微笑んだ。
2014-03-02 23:23:36目に入ってきた『無学』の様子から、問いただす前に何故、そこで彼女が大人しくしていたのかを悟る。その様子と言葉に大仰に笑うと、 「いや、いや、失敬。海賊と信徒、あるいは海賊同士の抗争のある限り、私の得るものもなくなりませんでねえ。嘆かわしいこと」
2014-03-02 23:35:47そこまで言えば、先の笑いとは違い口元に手を当てて隠すように、静かに笑う。 「そういう訳で、割に良い物は食べさせて頂いていますよ。お気持ちだけ頂いておきます」
2014-03-02 23:36:15積み荷へ手を伸ばす彼女の様子には、なるほどなるほど、と頷いてから。 「実に立派な見張りぶり。私達ですら迂闊に手を出せそうにはありませんね、適任だ」
2014-03-02 23:36:43そこで部屋の奥に控える黒い鳥へと気づき、『壊尽』の言葉へ何やら返そうとした辺りで、震える『無学』の言葉に遮られてそちらへ注意を向ける。 「あれは実に好みが分かれますね、私も好かない。……使い道の思い付かないなら、いっそ【慈愛】への手土産にでもしてはいかがです?」
2014-03-02 23:37:17ああ、なるほど。と頷いた。『殉教』は言葉を現実に変える、経典読みだ。これぐらいの異臭を放っているなら黙りもするだろう。 「アハハッ、偽計サイコーッ 本当おもしろいよね、あーなんでそんなに色々思いついちゃうんだろー」 けたけたと笑い声をあげた。
2014-03-03 00:04:43しかし、と続ける。 「『誘惑』は来れないみたいだなあ」 黒い鳥の横に青白い鳥。 「ウチの船長からだ。何だろ。読むまでもないけど」 鳥の脚にくくった手紙の色は一種の信号である。
2014-03-03 00:04:47「『誘惑』の団が近くの団と小競り合いを始めたみたい ってなんじゃこりゃあ。バカか!バカだ!バカっていうほうがバカだった! でも存亡の危機だったんじゃ……まぁ、他の加護2つにいたっては参加する気がないみたいだし」
2014-03-03 00:04:51「つまるところこの三人で、大マヌケ信徒どもと殺りあわないといけないみたいだな 頑張るぞー。前祝勝ついでに、宴でもどうだ。この箱とかリッチっぽいぞ!!」 ばたん。 「……悪魔の魚密閉式でした……」 そういえば同じ包だった、と鼻を摘んで足蹴にし、『壊尽』に寄越した。
2014-03-03 00:04:57『偽計』の言葉に、ほおを膨らませ、 「えー。じゃあ、俺以外が持っていけばぁ。土産として持って行く前に壊すし、俺」 ぼやくように、そっぽを向いた。次いで、聞こえてきた『無学』の言葉と、新たに姿を見せた青白い鳥。それに、僅かに目を細める。 「『誘惑』たち、来ないのかあ、残念」
2014-03-03 00:29:24この状況なら、加護全員と顔を合わせることも出来るだろう、そう考えていただけに、吐き出した言葉には落胆の色が微かに滲む。 「ま、仕方ないか。『誘惑』たちの分まで壊して、壊せばいいだけだしねえ」 そう、細めていた目を緩ませれば、『無学』が足蹴にした包を手に取り、持ち上げた。
2014-03-03 00:29:27「え、なーに。壊していいの?」 問う声は歓喜を伴って響く。色が変わり続ける双眸が、にたりと弧を描き、『無学』と『偽計』を見つめた。
2014-03-03 00:29:31「それが我が加護、『偽計』ですから」 こともなげに言う。しかし急に途切れた笑い声に『無学』の視線の先、部屋の奥を見れば、そこには見覚えない新たな鳥が増えている。そちらへ向かい手紙を確認するのは『無学』に任せ、『壊尽』の言葉を聞くと共に床に膝をついて、適当に缶をあらためる。
2014-03-03 00:52:44「では言い出したことですし、私が一つ頂いていきましょうか。きっと喜んで頂けることでしょうね」 膨らみきった缶を一つ拾い上げて、そこで聞こえた『無学』の言葉を、至極当然といった顔で受け入れる。
2014-03-03 00:53:14「我々は『引きずってでも集まらせる』ような集団ではありませんからね。すべては自由意志に任せられる。連絡を寄越してくれただけ『誘惑』は有情な方ですよ」 落胆の声を上げる『壊尽』、気勢を上げる『無学』へ順に目を向けて、続ける。
2014-03-03 00:53:35「逆に言えばここには真に戦うつもりのある『加護』が揃ったということ。これは喜んでも良いことでしょう」 その後に、目を輝かせこちらを見つめる『壊尽』へはやれやれという表情を見せ、 「外でお願いしますよ」 と、視線で船長室からの退室を促す。
2014-03-03 00:53:53「壊していいぜ、けど外でな。オレはあんまり気にしないけど、『偽計』が ……まあ、自由な方が海賊って感じだしな。あんまりガチガチしたのは嫌だぜ、オレも」 同調しつつ、危険な食べ物と食えるものを仕分け始める。 「ガサツな仕事してんなァ」などとぼやいていた。
2014-03-03 01:18:48「ふふっ、そーだね。壊したがりの俺を受け入れてくれたくらいに自由だもんね。俺、みんなのそーいうとこ、好きさ」 二人の言葉にくつり、と笑みを落として、身を翻す。言われた通り、外へと向かった。 「んじゃ、壊したら帰ってくる」 ひらりと手の平を揺らし、青天へと歩を進める。
2014-03-03 03:46:09船長室から数歩。ある程度距離を取って、空に包を掲げた。自身はあまり気にならないが、『無学』が鼻を摘まんでいたくらいだ、異臭がするのだろう。 なら、砕いたりする壊し方では、ダメだろうなあ。暫し思案し、長い袖を巻き上げ、すらりと白い腕を空に曝け出した。 その手で、包を持つ。
2014-03-03 03:46:30