実話公害訴訟映画「エリン・ブロコビッチとシビルアクション」

4
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

昨日、機内映画で『エリン・ブロコビッチ』を観た。実話に基づくものなのだけど、和解金が米国公害史上最高額の3億3300万ドル(当時だと300億円くらい)というのも演出抜きのリアルだったのね。ジュリア・ロバーツが演じたエリン本人も美人さんなのも驚き。

2014-03-20 17:21:47
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)ちなみに米国の実話公害訴訟モノ映画ではジョン・トラボルタ主演の『シビルアクション』というのもある。こっちはブロコビッチのような鮮やかな勝利にはなってないのよね。トラボルタ演じる弁護士は破産しちゃうし。ここに物語の比較紹介があった。 http://t.co/Erp9DEvuQB

2014-03-20 17:30:39
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)このシビルアクションの話はボストン市郊外のWoburnという街で起きた公害事件なのだけど、この汚染発覚の発端は「子供の白血病が増えてる。何かおかしい」と思った地元の母親たちが自力でやった疫学調査だった。

2014-03-20 17:34:48
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)Woburnの話を最初に知ったのは、14年前の今頃、 @M_shirabe さんとJSI Centerという環境公衆衛生コンサルNPOにヒアリングに行ったときのこと。当時の所長の女性が、この親たちの運動出身の方だった。元は高校の国語教師で、後に公衆衛生の修士を取得している。

2014-03-20 17:42:32
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)以下、当時の報告書から抜粋:「1979年がWoburnにとっての転機となった。4月には、約15年に渡る住民からの苦情の末に、有機化学物質汚染が甚だしいことからマサチューセッツ環境保護局は東Woburnの2つの飲料水用井戸を閉鎖した。」

2014-03-20 17:43:41
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「7月には、EPAが、350エーカーのIndustriplexを、国内最悪の有害廃棄物処理場として認知し、開発を停止した。そして、その年の10月に、小児白血病の子供を持つ両親が、地元の教会で会合を開き、1平方マイルの範囲内で8例の小児白血病患者がいることをつきとめている。」

2014-03-20 17:44:16
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「しかし、この時点では、市民は有毒廃棄物や汚染地下水の問題について多くを理解しているわけではなかった。また、Industriplexや2つの井戸の汚染問題が公的に認知されたにせよ、その影響によるAberjona川流域全体の汚染が認知されたわけではない。」

2014-03-20 17:45:01
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「当初、この問題についての住民の「会合」は、各家庭の台所や街での立ち話、あるいは子供のスポーツ試合の観戦中に行われた。そうして、コミュニティ内で集められた情報や歴史的な記録などが共有され始めていった。」

2014-03-20 17:46:01
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「ついで、これらの問題関心を共有する、政府、学界、産業界の鍵となる人物を同定するとともに、メディアの協力も取り付けていった。1980年の4月1日、最初の公開ミーティングが地元教会で開催された。」

2014-03-20 17:46:35
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「その際には、小冊子を配り、デモを行い、新聞記事を書くような活動を行うとともに、新聞・雑誌・テレビ局の代表を招いている。また、個人ベースでは、議員、地方行政官、地方/連邦の環境・公衆衛生省庁の役人などを招待している。」

2014-03-20 17:46:57
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「このイベントが、Woburnの市民団体の公式の発足となり、後のFor A Cleaner Environment(FACE)として知られるコミュニティーベースの市民組織の形成へとつながった。」

2014-03-20 17:47:29
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「1980年代の初めに、FACEの代表は、国内の有害廃棄物処理場の調査と浄化のためのファンドを提供する連邦Superfund Actのサポートにより、連邦議会公聴会で証言を行った。また、マスメディアを市に招き、有害物質処理場とその周辺領域のツアーを開催した。」

2014-03-20 17:47:58
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「さらには、記者会見を開催するとともに、マサチューセッツ州知事、議会議員、環境・公衆衛生関連の役人を招待している。しかし、結果として行政は行動を起こしたものの、その内容ははかばかしいものではなかった。」

2014-03-20 17:48:23
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「1980年代の半ばにMITがAberjona River Watershed Superfund Basic Research Projectという調査を行い、Industriplexや汚染された井戸などが陸水学的に結びついていることを明らかにした。」

2014-03-20 17:49:07
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「この結果は市民団体にとって大変貴重なものであったが、それを以ってしても汚染問題への対応を根本的に変えることはできなかったし、現在でも、汚染浄化は遅々としてしか進んでいない。」

2014-03-20 17:49:52
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「なお、小児白血病については、1980年代初頭にマサチューセッツ公衆衛生局が、地域で発症率が高いことを示すこととなる調査を行ったが、飲料水汚染との関係を示すには証拠が不充分であった。」

2014-03-20 17:50:33
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「1985年に、ハーバード大学公衆衛生学部がFACEのボランティアとともに、小児白血病と汚染水との統計的連関を明らかにすることになる調査を行った。」

2014-03-20 17:51:18
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)「しかし、この研究も、調査にボランティアの協力を得たこと、汚染水と白血病を結びつけるという当時の科学的知見を越える結果を得たことから、激しく批判された。結局、1996年になって、やっとマサチューセッツ公衆衛生局が明確にこの2つを結びつける調査結果を発表している。」(引用終)

2014-03-20 17:52:01
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)住民発の調査から始まり、MITやハーバード大学がそれに協力したこと。それでも因果関係の証拠立ては困難で、住民と一緒にやってるとか科学的に問題とかで批判される。規制当局が認めるまでは17年もかかっている。現在の日本にとっても示唆的。(もちろん国内的には水俣病という前例。)

2014-03-20 17:56:09
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

続)映画『シビルアクション』との比較でいうと、僕らがJSI Centerで伺った話には弁護士という「主人公」は登場しなかった。"Community-based Research"について聞くのがこちらの調査目的でもあり、センターの活動趣旨でもあった。もう一つのシビルアクション。

2014-03-20 18:00:25