- uchida_kawasaki
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続)とにかくそんなわけで日本でもそれなりにバックラッシュがある(ここには書けない話もいろいろある)。他方英国では、90年代後半のBSE問題や遺伝子組換え作物(GM)論争を経て、欠如モデル的・PA的な科学技術理解増進から対話・参加に基づくパブリックエンゲージメント重視に舵を切った。
2014-03-22 14:48:52続)方針転換の象徴は、議会上院科学技術特別委員会が2000年にまとめた「科学と社会:第三報告書」。 http://t.co/cdi2ziewX4
2014-03-22 14:57:39続)で、いろいろパブリックエンゲージメント(政治的には、多様な市民が科学技術の意思決定に関与することと、専門家が科学技術の社会的問題・論争に関与することの両面を含む)推進のための施策や制度が2000年代の英国では進んだのだが、2007, 8年あたりの財政危機以降、状況が変化。
2014-03-22 15:07:51続)で、変化の原因の一つとしてJamesが挙げていたのが、財政危機で年配の行政スタッフが解雇され、パブリックエンゲージメントに関する「組織記憶」が消えてしまったこと。それで政策の先祖返りが起きたと。もちろん保守政権という背景もあるのだろうが。
2014-03-22 15:11:29続)で、2000年代のトレンドの返り咲きとして近年注目されてるのが「責任ある研究・イノベーション(Responsible Research & Innovation: RRI)」なのだそうで(これはこちらもそう見てた)、現状では英国よりブリュッセル(EU)で動きが大きいらしい。
2014-03-22 15:14:29続)ただし、Jamesによれば、RRIの実践は、規制政策などと違って何らかの強制力みたいなものがない自発的取り組みなので、かつての「企業の社会的責任」の話と同じで道具主義化・形骸化するリスクがあるという。(これも我々の問題意識と同じだった。)
2014-03-22 15:16:50続)他にもJamesとは面白い話をいろいろしたのだが(科学的助言制度の問題など)、それはまた別の機会に。とりあえず昨日のインタヴューの論点振り返り、終了(忘れないうちに書いておかないと後で報告書作成で苦労するので)。
2014-03-22 15:19:02続)もう一点だけ。とくに、同じSTS研究者であるJamesと話してて強く感じたというか、再確認したのは、日英の問題状況の同時代性。実践・制度では、SASのような活動や組織がある分、英国のほうがちょっとコンテンツ豊富だけど、日本もいろいろ実はやっているし、問題意識は全く同じ。
2014-03-22 15:24:13続)しかも、どちらもそれぞれなりの文脈・背景で先祖返りが起きていたりする。ヒアリングを申し入れた段階でそう期待してたが、単に一方的に相手の話を聞きとるというより、共通するいろんな問題についてディスカッションできたのがよかった。その分、大変充実した楽しい訪問になった。
2014-03-22 15:28:09(それにしてもつくづく思うのは、若い頃にちゃんと留学できてたらよかったなということ。ヒアリングは、まぁ、いいのだけど[とくにここ数年、ヒアリング力が上がった気がしている]、喋る方は喋りたいことの半分くらいになってしまう。これがせいぜい7割くらいになるといいのだけど。)
2014-03-22 15:34:55SASについては納得できました。 RT @hirakawah: @tutiya なので「良質の啓蒙主義(というか、理念としては、本来の啓蒙主義というべきでしょうか)」と感じた次第です。
2014-03-22 17:48:43さすが週末。大英博物館は賑わっていそう。(今回は寄らない。今日はどこかカフェでお仕事三昧。) http://t.co/0dpQA4OAe8
2014-03-22 21:46:59今朝未明(@倫敦)呟いた件に補足。英国でパブリックエンゲージメントについて先祖返り(backlash)が起きている理由として研究仲間がもう一つ挙げていたのは「経済・財政が緊急事態につき、対話なんて悠長なことはやってられない」という空気が政府等で支配的になっているということ。
2014-03-22 23:41:33続)これは日本の先祖返りでも同様なのだろう。「緊急事態(emergency)」はこれに限らず、民主性など手続き正統性をすっ飛ばす(のを正当化する)常套句である。
2014-03-22 23:46:05続)そうやって手続き正統性を迂回することで、便益への期待だけでなくリスク等問題も疑われる新技術が、より社会に受け容れられる(socially responsible & robust)かたちで開発される可能性が縮小し、かえって経済的成功をも失うことにもなりうる。
2014-03-22 23:48:37続)まぁ、社会的に責任ある/応答的であることが即ち経済的にも成功する可能性が高いかどうかは仮説にすぎないのだろうけど。むしろ、そこは市場の設計次第であり、責任ある研究・イノベーション(RRI)を推すEUはISO等の規格を使って仮説を規範として実現しようとしてるのかもしれない。
2014-03-22 23:54:02