アイヌアニメ「この砂赤い赤い」ライナーノーツ
@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。ポンオキキリムイが頭からかけているのは矢筒。アイヌ伝統文化の基本的な「荷物のかけ方」は額から後ろにかけるが、矢筒も同じ。子供なので本物ではなく、おもちゃの弓矢。でも神なので不思議な力がある。
2014-04-06 14:23:41@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。ポンオキキリムイはどんな服を着ているのか。ただの人間の子供の服だろう。悪魔の子は異界の者らしく「黒い小袖」にした。小袖の模様については原文に手がかりが無い。話の内容から「クルミ」をあしらってみた
2014-04-06 14:29:06@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。悪魔の子が登場時に木の上から飛び降りてくるのはアニメ的演出。手にクルミの実を持っているのもアニメ的演出。朗読テキストが原作そのものなので、それとの差異はアニメオリジナル要素と思ってよいです。
2014-04-06 14:31:30@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。「いつでも悪魔の子は様子が美しい、顔が美しい」というのが印象的なフレーズ。かつて高畑勲・宮崎駿らがアニメ『太陽の王子ホルスの大冒険』を作った時にはこのイメージがヒロインに投影されたらしい。
2014-04-06 14:37:49@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。でも、原文からは少女ではなく少年と解釈すべきだろう。「美しい男性」というのはアイヌの口承文芸では定番。アニメでは美少年にしたつもりだけれども、どう見えるのだろうか。
2014-04-06 14:39:15@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。今回のアニメではこの「悪魔の子」のほうがキャラが立っていて、ポンオキキリムイの影が薄くなっちゃってる感がある。でもこれはしょうがない。というよりそれが正解だろう。
2014-04-06 14:40:20@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。悪魔の子は「ポンオキキリムイ、遊ぼう!魚の根を絶やして見せよう」という。まず「名前を呼ぶ」のは相手に対して「正体見破ったり」という宣言。魚を絶やすのは「人間を害するため」。悪神だからね。
2014-04-06 14:44:34@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。カムイユカラ「神謡」は基本的にカムイ「神」つまり動植物や火・水などが主人公になることが多いけど、オキキリムイなど特定の人間ぽい神が主人公になる話がある。オキキリムイは人間の味方というか人間の代表
2014-04-06 14:50:31@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。カムイユカラ「神謡」におけるカムイたちは、その動物種の代表ともいえる。例えば『アイヌ神謡集』の第4話は、兎の代表としての兎神の話。そういう意味ではオキキリムイは「人間の代表神」ともいえる。
2014-04-06 14:53:13@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。そういうわけでオキキリムイの話というのは基本的に「オキキリムイが人間たちを守る話」もしくは「オキキリムイが人間の代表として他の神々と交渉したり戦ったりする話」である。今回のアニメはその典型。
2014-04-06 14:54:45@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。ただ、オキキリムイやアイヌラックルを人間の代表神とみなす私の説明は、昔から他の研究者の受けがよくない異端説。オキキリムイへのカムイノミがないことも一緒に説明できるんだけどね。
2014-04-06 14:57:55@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。いずれにしてもオキキリムイが人間の代表神とみなす私の説明自体の当否と、今回のアニメの構成や演出は関係ないのでご安心を。
2014-04-06 15:02:51宮澤賢治「毒もみの好きな署長さん」では、山椒を皮を焼いた灰を河に撒いて魚を殺しますが、クルミの殻を包む皮にも毒があるとのこと。悪魔の子が「クルミの弓と矢」を魚殺しに使ったのは、これと関係が? RT @itangiku https://t.co/eyLL9Cseq7
2014-04-06 15:05:05@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。悪魔の子がクルミの矢で水源を射ると魚が死ぬ。クルミには僅かに毒素があるらしい。昔これで「毒流し漁」をしたという説もあるが、立証されたわけではない。とりあえずはファンタジーと考えておくべきか。
2014-04-06 15:06:28@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。さて、毒を流した悪魔の子はサンチャオッタミナカネアン「ニコニコしている」<口の端で笑っている=ニヤニヤ笑っている。これでは絵的にあまりよく分からないので、アニメでは大口を開けて笑っている。
2014-04-06 15:08:56@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。「ニヤニヤ笑いの悪魔の子と策略家ポンオキキリムイの駆け引き」を真正面から描く演出にしたいのもやまやまなんだけど、これを朗読にかぶせた子供向けアニメでやるのは激ムズである。誰かやってください(笑
2014-04-06 15:12:36@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。矢は漫画的な形状にしてある。矢羽もいわゆる「漫画の矢」。なお、あくまで「子供用のおもちゃの弓矢」なので矢尻はない。実際に残されているおもちゃの矢は、先が刺さらないように安全加工してあったりする。
2014-04-06 15:15:10@ryomichico 銀の殺菌効果についてはどうなんでしょうね。まあ、酒を造るときに炭を入れるのと同じ、効果がありそうで、実際には分かりません。「赤い」のは先にもツイしたとおり別のサケヘの混入か、内容が変化したかでしょうね。
2014-04-06 15:18:08@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。悪魔の子が「胡桃の弓矢」の毒で魚を全滅させると、ポンオキキリムイが「銀の弓矢」で水を浄化して魚を呼び戻す。実は知里幸恵の草稿ノートでは弓矢ではなくmarekマレクという魚用の鉤銛になっている。
2014-04-06 15:20:08@itangiku アイヌアニメ2。第一話『この砂赤い赤い』。見た人向けネタバレ解説。鉤銛のほうが分かりやすいが、知里幸恵自身が本来どっちで聞いていたのか(/覚えていたのか/話すことにしていたのか)は不明。そのうち研究が進めばある程度推測はできるようになるだろうが。
2014-04-06 15:22:26アイヌアニメ「この砂 赤い赤い」https://t.co/eyLL9Cseq7 砂が赤い、という描写は作中に出てこないのですが? 砂が赤いといえば一般には酸化鉄。水銀原料の丹の場合もあり、これだと毒性も。それとも「毒もみ」の結果、砂が赤く染まる? @itangiku
2014-04-06 15:18:17@itangiku 昔話がすべて自然科学と直結しているわけではないと思いますが、「文系」を越境して「理系」的側面から、学際的に可能性を推論してみることは、意味のあることだと思います。あくまでも推論で、断定はできないけれど。
2014-04-06 15:21:53理系的考察だけではなくて、言語的考察も非常に興味深いです。「言葉」は簡単に混入したり、音が同じことから意味がスライドしたり、そこから新たな物語が発生したり、千編変化! RT @itangiku 「赤い」のは先にもツイしたとおり別のサケヘの混入か、内容が変化したかでしょう。
2014-04-06 15:24:29@ryomichico そうですね。ただまあ「クルミで毒漁をしていたかどうか」に限っていえば結構怪しいですね。魚にはたぶん効きません。むしろクルミに含まれるジュグロンによる他の植物への生長阻害を見てそう思いついた、ということなんだろうと思います。
2014-04-06 15:27:55