#トラ泊神戸支部~古衣は入れ替え時編

トラック泊地サーバー所属で神戸に支部を構える提督と、そこに所属する艦娘たちを描いたお話。 今回は古鷹と衣笠がメインのお話です。 二つ目のトラ泊神戸支部の第六戦隊話となります。一つ目は『加古の過去語り編』なのでこちらとあわせてお読みください。
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古鷹編

ですか @desuka_desuyo

貴女のことを意識するようになったのは、いつからだったのだろう。 貴女が再び心を開いてくれた時? それとも初めて貴女と出会った時? いや、私という存在が生まれた時から、もうすでにそうだったのだろう。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 00:25:25
ですか @desuka_desuyo

古鷹型一番艦、古鷹。古鷹型の長女として生まれた私だったが、姉として振る舞うことに違和感を感じていた。本来ならば私は加古型二番艦であったはずだからだ。名目上は妹であっても、どこかそんなことを感じれずにいたのだった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 00:38:58
ですか @desuka_desuyo

そんな私に妹のような存在が生まれた。同じ造船所で造られた彼女は、姿も私にとても似ているのだった。重巡洋艦青葉。改古鷹型とも呼ばれた青葉型重巡の一番艦である彼女は、私にとってはすぐ下の妹のような存在であった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 00:46:25
ですか @desuka_desuyo

そして共に育った私たちは、同じ戦隊の仲間として戦場に赴くこととなる。第6戦隊。私と青葉、それにお互いの妹を合わせた4隻からなる戦隊は、最新鋭艦には劣る性能であったが、それでもある程度戦果をあげていた。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 00:59:29
ですか @desuka_desuyo

そんな私たちに悲劇が訪れたのは、ソロモン海での戦いに勝利した帰りであった。潜水艦からの雷撃によって加古が沈没したのだ。一人少ない状態で私たちは帰路に就く。旗艦である青葉は自分のせいだと悔んでいたようで、何度も謝られた。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:09:21
ですか @desuka_desuyo

仲間の死。それも妹である加古の死の責任が青葉にあったとしても、私はどこか彼女を責めることが出来ずにいた。たしかに、青葉の指示が原因だったのかもしれない。それでも彼女を責めれないでいたのは、加古だけでなく青葉も、私にとっては可愛い妹であったからなのだろう。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:16:42
ですか @desuka_desuyo

そして一人欠けた状態の私たちに、運命の日が訪れることとなる。 夜の闇にまぎれて、私たちは進撃していた。ふと前を見ると青葉が発行信号を送るのが見えた。と同時に被弾する青葉。私は何が起こったのかすぐには理解できなかった。ただ、彼女を守らねばという思いが湧きあがった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:27:37
ですか @desuka_desuyo

その後のことは良く覚えていない。探照灯を照らして必死に敵へと砲弾を叩きこもうとしていたような気がする。気付けば私は身体中ボロボロで動くことさえ出来ずに漂っていた。そしてゆっくりと水底へと誘われていく。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:32:13
ですか @desuka_desuyo

そんな私が数十年後、人の姿となって蘇ることとなるとは思いもしなかった。とは言っても元は鋼鉄の塊。艦の知識や感情の多くは、この体本来の主の影響が大きい。それでもあの時染みついた多くの人々の思いが、今の私を作り上げていた。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:39:46
ですか @desuka_desuyo

真っ先に知りたかったのは、あの後青葉たちがどうなったのかであった。無事に帰ることが出来たのだろうか。そんな思いに突き動かされ、私は当時のことを知ろうと必死に資料を探した。その結果私は多くのことを知ることとなった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:44:08
ですか @desuka_desuyo

衣笠があの後の戦いで沈んでしまったこと。青葉も幾度となく傷ついたこと。それでも日本へたどり着いたこと。そのことを知った私は、青葉のことを誇らしく思った。あの時自らの命に代えても彼女を守って良かったとさえ思った。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:50:32
ですか @desuka_desuyo

だが私は、そのことがどれほど浅はかだったか思い知ることとなる。自らが沈没したことによって、自慢の青葉が貶されることとなっていたのだった。古鷹の沈没は青葉に原因がある。その言葉を見た私は自分の軽率さを呪った。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:54:22
ですか @desuka_desuyo

あの時、他にやりようがなかったのか。どうして周りのことを何も考えずに一人突っ込んだのだろうか。今更どうにもできないことを思い、悔やんだ。だからだろうか、それ以降私は人一倍周りに気を配るようになった。もう二度とあんな浅はかなことはしまいと、そう胸に刻んで。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 01:58:32
ですか @desuka_desuyo

それは鎮守府へ配属されてからも同じだった。あの時の仲間とも再会し嬉しく思ったが、それでも自らを抑えることは忘れることはなかった。そんな時、彼女と再会することとなる。人の姿の彼女は今まで見たことなかったが、それでも確信をもって彼女だと思った。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:06:11
ですか @desuka_desuyo

そして気付いてしまった。彼女の顔がどこか寂しげなことを。本当の笑顔なんて見たこと無いはずなのに、それでも皆との再会に喜んでいる彼女の笑顔は偽りだと思った。 「どうしてそんな顔をするの?」 気付けばそんなことを口走ってしまった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:11:27
ですか @desuka_desuyo

適当な言葉を返して青葉はその場を去っていった。私はその後姿を見つめるしか出来なかった。どうすれば昔のような関係に戻れるのだろうか。何が原因なのだろうか。そこまで考えて気付いた。自らの死が、青葉に重い十字架を背負わせてしまっていることに。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:17:33
ですか @desuka_desuyo

青葉の心を楽にしてあげたかった。でも、私が沈んだのは青葉のせいなんかじゃない、なんて言ったところで逆に彼女を苦しめるだけにしか思えなかった。どうすればいいのだろう。私はそのことばかり考えるようになっていた。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:22:45
ですか @desuka_desuyo

そんな状況が変わったのは、懐かしい三川艦隊のメンバーで出撃した時だった。特に強い相手がいるわけではなかったが、それでも重巡3人が小破することとなった。その1人であった私は偶然青葉を庇うような形で被弾したのだった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:27:53
ですか @desuka_desuyo

「どうして庇ったりなんかしたんですか」 普段は感情的な部分を見せない青葉が怒っているようだった。 「たまたまだよ。まぁ青葉が大怪我しなくて良かったよ」 「良くないです!」 珍しく青葉が大声を出す。前を進む鳥海が、こちらを振り向くのが見えた。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:32:34
ですか @desuka_desuyo

「どうして良くないの?」 「青葉のことなんか放っておいていいんですよ。代わりに傷つく必要ありません」 私の問いに青葉は、目をそらしながら答えにならなら言葉を返す。 「私は沈まないよ」 そんな言葉が不意に口を衝いた。青葉が目を見開いてこちらを向く。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:41:05
ですか @desuka_desuyo

「私は沈まない。今度は青葉とずっと一緒にいたいもの」 「青葉なんかと一緒にいても良いことありませんよ」 私の言葉を聞いて悲しそうな顔をして青葉は答えた。この言葉を言えば青葉を苦しめるのではないか。そう分かっていても聞かずにはいられなかった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:47:42
ですか @desuka_desuyo

「青葉は私のことが嫌いなの? だから一緒にいたくないの?」 何とも言えない表情をする青葉。それは……と呟いてから俯いてしまった。しまったと思ったが仕方ない。どうしようかと考えていると声を掛けられた。 「二人とも大丈夫?」 鳥海が心配して様子を見に来たようだった。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:51:35
ですか @desuka_desuyo

大丈夫です、とだけ言って青葉は先に進んでしまった。後を追おうとしたが鳥海に止められる。 「私が話しておきますから、古鷹さんは殿お願いしますね」 二人の様子を見て気を使ってくれたのだろう。私は彼女に任せることにした。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 02:57:42
ですか @desuka_desuyo

帰港すると青葉たちがドックへ向かうのが見えた。自分ではどうにも出来ないのが心苦しかったが、今は鳥海に任せるしかないと部屋へと戻ることにした。 部屋で休息していると青葉が訪ねてきた。いつにもなく真剣な表情を見て、何かあったんだなと思った。 #トラ泊神戸支部

2014-03-26 03:05:11
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